病気と治療

病気と治療

直腸がん

直腸がんの術前放射線治療は人工肛門を減らす

直腸は大きく、直腸S状部と上部直腸、下部直腸の3つの部分に分かれています。
そのなかでもっともやっかいなのが、肛門に近い下部直腸にがんが発見された場合です。

下部直腸にできたがんは、その上方、左右両側にあるリンパ節を介して、全身に転移することが少なくありません。
そこで転移のリスクを回避するために、専門的には側方リンパ節郭清と呼ばれるリンパ節の切除が行われることが一般的です。
しかしリンパ節の周囲には、排便、排尿や性機能に関する神経が密集しており、それらが損傷されると、さまざまな身体機能が障害を受けることになります。また、同じように腫瘍巣を完全に取り除き、局所再発のリスクを抑えようとすると、肛門が切除の範囲に含まれ、そのために人工肛門の設置を余儀なくされることも少なくありません。

直腸がんの術前放射線治療を行っている病院は、まだ少ないです。
現在当院では、1回に照射する放射線の線量が2グレイで放射線の照射と併行させながら、同時に抗がん剤の5-FUなどを点滴投与するという方法をおこなっています。
術前放射線化学療法と呼ばれ、これまでの術前放射線治療を発展させたものです。リンパ節郭清の対象となる下部直腸がんは、直腸がんの中ではもっとも多いものです。人工肛門や排尿障害、性機能障害などの合併症が手術単独ではときにあります。

最近、それを回避できる術前放射線治療+手術による治療法とおこなっています。
適応のある患者さん10名に行い、ほとんどの患者さんに有効で、著効例も少なくありません。
また、このような場合、手術時に人工肛門を回避し、自然肛門のまま切除が可能になる患者さんが出てきています。