

当科におけるフルニエ壊疽の治療経験
【背景】フルニエ壊疽は会陰や肛門周囲に発症する筋膜壊死を主体とした皮膚軟部 組織感染症である。急㏿な経過をたどり致命的となることもあるため迅㏿かつ適切な 対応が重要である。【対象と方法】2007年より2016年までに当院で手術を行った肛 門周囲のフルニエ壊疽4例を対象に、背景因子、術式選択、治療経過・転帰につき検 討した。
【結果】年齢は平均58歳(53-61)で全例男性、併存症は糖尿病が2例、ア ルコール性肝硬変1例、腎癌(スニチニブ治療中)1例であった。肛門痛発症から来
院までは1~2週間であった。発熱を認めたのは1例のみであったが、3例に血圧低下 を認めた。診断は肛門周囲の握雪感とMRI所見すなわち膿汁貯留と気腫像によって
なされた。手術は全例に肛門周囲の広範な切開排膿・壊死組織切除を行い、壊死範 囲が肛門前方に限局した症例と肝硬変で汎血球減少を認めた症例をのぞいた2例に
ループ式S状結腸人工肛門㐀設術を併施した。培養検査では Escherichia coli が3例、 Bacteroides thetaiotaomicron
が2例で検出されたほ か 、 Enterococcus faecalis 、 Klebsiella pneumonia 等が検出され、全例 で複数菌の検出であった。術後経過では呼吸不全、敗血症性ショックのため2例で人
工呼吸管理を要し、腎不全のため1例でCHDFを要した。全例を救命でき、入院期間 は平均55日(23~80)であった。人工肛門㐀設を施行した2例ではそれぞれ4病日、
10病日より食事を開始できたが、肝硬変の汎血球減少を理由に人工肛門を㐀設しな かった症例では食事開始まで1ヶ月を要した。
【考察】フルニエ壊疽の術後には主要 臓器障害を呈する症例が多かったが、集中治療により全例救命できた。肛門周囲に 広範な膿瘍形成を認める症例では、早期から経口摂取による栄養管理が可能という
点で人工肛門㐀設併施が望ましいと考えられた。