定期借地権による土地活用

 

定期借地権の近況


  平成20年1月1日から事業用定期借地権の存続期間が10年以上〜50年未満(10年以上30年未満と30年以上50年未満)に変わりました。50年以上は一般定期借地権があるので、今後は期間を気にしないで設定することができます。これまでの最長20年では、例えば重量鉄骨の店舗だと減価償却が34年なので、償却を14年も残したまま契約が終わってしまいましたが、これからは存続期間を34年に設定することができます。
 
なお、存続期間以外の公正証書による条件などはこれまでと変わりがありません。また、改正法施行前に設定された事業用借地権については、従前の法律が適用されます。

平成2013

ハワイの定期借地権
 ハワイのコンドミニアムや一戸建の別荘に借地権が多いのは一般的に知られていますが、それはキャピタルゲインだけを目的としないからです。買った物件は管理会社に委託し、自分たちが使わないときは賃貸に出しますが、欧米人は投資する場合、物件の利回りを重視します。収益還元価格は家賃と利回りで決まります。米国の不動産価格指標は、ドル単位表示でなく、利回りとして「何%」単位表示です。価格イコール利回りになっています。このため賃料収入とのバランスが取れれば、土地の所有に拘らずオーシャンフロント・ビューなどの高額の物件を購入します。日本人は利回りではなく売却益を優先するため銀行で借金をして購入しますが、彼らの多くは自己資金で購入します。借金では投資になりません、値上がり益が無ければ家賃利回りはローン返済に消えてしまうからです。もっともハワイの場合、彼らは儲けることではなく損をしなければ良いと考えているようですが…。日本の定期借地権も50年後のことよりその間利用するという考え方になれば良いのですが、実際には売却したときの損得勘定で考えている人が多い。
平成1811

  事業用借地権の底地評価

  事業用借地権に関しては今まで通り80%です。 ただし、下の表のように定期借地権の残存期間によって逓減率が変わります。

 

事業用借地権、建物譲渡特約付借地権設定後の底地割合

定期借地権の
残存期間

15年超

15年以下
10
年超

10年以下
5
年超

5年以下

土地評価割合

80

85

90

95

 

一般定期借地権の底地評価

一般定期借地権を設定した場合、相続税評価が普通借地権と同じ地域区分の借地権割合になりました。首都圏の住宅地の場合、D地域が多く評価は60%ですが、下記()のように定期借地権の残存期間によって逓減率が変わりますので注意してください。

 

一般定期借地権の底地割合

路線価図

評価倍率表

一般定期借地権の底地割合

70

55

60

60

50

65

40

70

30

75

 

 

定期借地権と賃貸住宅の併用

  ある土地を定期借地権で貸し、その保証金(権利金)で別の土地に賃貸住宅(アパート、 マンション)を建てる。賃貸住宅は無借金経営となりそっくり収入となる。更に減価償却や経費が控除でき、固定資産税、都市計画税はどちらも6分の13分の1と軽減される。又、相続税も定期借地は40%の評価減(借地権割合60%のD地域の場合)、貸家建付地は1821%の評価減になる。保証金を現金で運用するのと違い、償却資産に変わることで相続税対策になる。又、保証金は解約すると返還しなければならないが、定期借地権では建物を取り壊して更地返還とするとなっているので、転売や転貸はあっても中途解約は少ないのでは。仮に解約しても更地になるので次に貸すか売却するかの選択ができる。

定期借地権の実務

一般定期借地権を事業化する場合、まず立地条件によってマンションか一戸建のどちらかを選択し、それから事業方式を決定します。紙面の関係で以下に簡単にご説明します。

定期借地権マンション

地上権を設定し、権利金方式

  以前はマンションでも契約終了時、建物を解体して更地返還が多かったのですが、最近では、建物は現状のまま無償、あるいは有償(そのときの時価)にて地主に引き渡すというのが一般的になっています。現状のまま引き渡すというのは、建物解体積立金が不必要ということもあるが、その解体工事費がRCマンションの場合、高額になってしまうので、後のトラブルの発生原因に成りかねないということ等によります。地上権の設定は、一戸建のように借地権だと住宅金融公庫の融資が建物部分に限られ、保証金の融資が受けられない。権利金で地上権を設定すれば、権利金も融資の対象に含まれます。
(地上権は物件なので抵当権の目的物になるが、借地権は債権なので抵当権の目的物にならない。民法第369条)

man

弊社が企画し、リクルートコスモス(現、コスモスイニシア)が平成11年に初めて定借マンションを

販売した、ふじみ野の定期借地権マンションです


定期借地権付一戸建住宅

借地権で保証金方式

 建物は解体して原状回復義務というのが一般的です。代理方式の場合、定期借地権マンションのようにデベロッパ−が建物を建ててから売るというのではなく、土地の借り手が付いたら建築するので、建築会社にリスクがない。 
 
地主の注意点としては、売れ残った場合に土地が虫食いになってしまい、その土地の利用が限定されるのと、保証金の使途によっては課税されてしまう。

前受け地代

権利金は一時所得として他の所得と合算され総合課税されていましたが、平成17年度の税制改正で権利金を前受け地代として受け取れば毎年分散して課税することができるようになりました。前受け地代にすれば一時課税を免れ、地代と合わせ所得税として課税されることになります。つまり、契約期間50年間で五千万円の前受け地代だとすれば、毎年100万円に対しての所得税で済みます。また、借地人にとっても前受け地代部分は権利金や保証金と違い、期間によって毎年費用化(減価償却)が可能になりました。今回、制度化されたことにより、定期借地権は権利金ではなく、個人、法人を問わず前受け地代が大勢を占めるでしょう。

たとえば、土地価額の5060%位(目安です)を前受地代として地主さんが受け取ります。土地活用(前受地代で建物の一部を応分取得する)や事業の資金繰りとしても利用できます。また、相続対策としても有効です。一般定期借地権の相続税評価は55(最大)ですので、評価が下がって、生前に納税資金が確保できる。物納すれば土地はなくなりますが、定期借地権ですので、50年後の子孫の代には更地になって戻ってきます。1階を店舗や事務所にすれば、現在の事業を継続しながら、土地の有効利用ができるのではないでしょうか。
 ただ、大型商業施設等で前受地代方式の事業用定期借地権を設定するのは、一度に支払う金額が大きいのでテナント側で難色を示すかもしれません。

平成199

保証金
 
保証金は預かり金なので原則的には課税されません。ただし、注意しなければならないのは、それを自宅の建築費や別荘、遊興費等に充てる、或いは相続税を納税すると、その充当した預金相当額を、定期借地権を解除し保証金を返還するまでの間、各年分の不動産所得の収入金額として計上することになります。収入に計上する金額は、納税した預金相当額にその年の長期国債の平均利率を乗じて計算した利息相当金額になります。又、相続発生時には、預かっている保証金額の発生時点での1.7%(平成19年度)の複利年金原価率を控除した残りの部分に対して、相続財産として相続人に課税されてしまいます。

下の写真は、平成7年に弊社が企画・開発・販売をした定期借地権住宅、ニュ−タウン菅谷の開発当時のものです。

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