ベン・トー 2巻
(集英社スーパーダッシュ文庫 アサウラ)
 


 全くもって筋違いではあるが、まずこれだけは言っておきたい------ガチだ。この作者はガチでメガドライバー(注1)だよ!!  『ガーヒー』や『デス様』辺りはまだ有名だから分かるとしても、『ファイターズメガミックス』や『バトルバ』、挙げ句には『マイケルジャクソンズ ムーンウォーカー』なんて持ち出してきた日にゃあ間違いなく筋金入りのメガドライバーだよ!! し、信じられん。まだ純血種のメガドライバーが生息していたとは……。それだけでも自分は本作を強烈にお勧めしたい!(いいのか)


注1)メガドライバー……かつて土星人以前に土星圏に生息していたと言われる先住少数民族。強烈なM属性を持ち合わせるものが多く、「苦しいほど面白い」「イロモノには味がある」「三度の飯を二度に減らしてもゲームを買え」などといった理不尽かつ奇っ怪な伝統文化の果てにその数を減らしていき、ついには姿を消したと伝えられている。

 ただ、一説によればその血脈は土星機→夢箱→ペケ箱と受け継がれたという意見もあり、未だ学会においても統一された見解は出されていない。また極めて希ながら純血種の目撃情報も寄せられており、ツチノコと並んで日本三大珍獣の一角として推す者も存在する。    
                                             
出典:民明書房





〜あらすじ紹介〜
  日々行われる半額弁当争奪戦の世界を知り、HP(ハーフプライサー)同好会での活動を続ける佐藤洋。ある日、佐藤の元に同じ歳の従姉妹・著莪 あやめが訪ねてくる。数ヶ月ぶりの再会は、しかし驚くべき陰謀劇の幕開けに過ぎなかった-----



 正直言ってビックリした。一巻を読んだときにはこの作者のポテンシャルを感じつつも、その荒削りさが目についたものだが。
まさか二巻でここまで化けるとは思ってもいなかった、というのが本作を読んでの正直な感想である。「流れるような」とまでは言わないが、脚本というかシナリオの展開が見事で、先が気になって読み進める手が止まらない吸引力は素晴らしいの一言に尽きる。相変わらず贅肉的な部分は多いのだが、本筋がしっかりしているため十分にその味わいを楽しむことが出来る。いわば直球が素晴らしいこそ変化球が生きる------いや、本作に対してこの例えは適切ではないか。主菜がしっかりしているからこそ前菜や付け合わせの妙味が生き、それが更に主菜の旨味を倍増させるという理想的なメニューを形成している。伏線の回収、オチの絶妙さ加減など、ほとんど文句の付けようがない。

 もちろん自分好みの要素も全開で、とりあえずティッシュと輸血パックを用意しておかないと
鼻血の吹きすぎで三面記事を飾ってしまいそうな勢いである。

 
「……諦めるな」「口を閉じろ、クソ野郎。どうしても言い訳がしたいってんなら拳で語れ。お前の声を聞いていると食欲が失せる」「その血をもって開戦の狼煙となれ」「漁夫の利作戦は中止……帝王を潰す!」「そうだろうか。少なくとも俺には、頼もしき同志にしか見えない」「空腹に震えろ、パッドフット!!」

 どこぞのスーパーの弁当名っぽく語るなら
「吹き荒べ鼻血! 千切れ飛べ毛細血管! 脳溢血なぞ糞喰らえ! この命尽きるまで燃え上がれ!!」みたいなノリで、どっちに転んでも三面記事を飾ってしまいそうではあるが、そんな些末事はどうでもよろしい。もちろんお約束のギャグも満載で、この緩急がただひたすらに楽しいのだ。



 そして今回特筆すべきは
登場人物があまりにも魅力的なことであろうか。お馴染みのレギュラーキャラもちろんのこと、顎髭、坊主頭、密かにファンになりつつある茶髪など名もないキャラでさえ活き活きと個性的に描かれているが、今回最大のキーキャラはやはりピアスだろう。初登場時はそれ程重要人物には思えなかったのだが……。これに関してはあまり詳しく語るまい。ネタバレにもなるしね。正直、脇役でこれほど深いというか、切ないキャラを作る力量は尋常ではないと思う。

 そして
自分の蝶一押しが今回初登場の著莪 あやめである。個人的には彼女が正ヒロインで決定。どこぞの脳髄が腐れたホモ同人作家など生ゴミの日にまとめてポイである(……何という手の平のリバースっぷり)。何というか、この絶妙な距離感が堪らんのよね。恋人というほど近くなく、親友というほど遠くない。時には敵として、時には仲間として、ゲームをプレイし、弁当を争い、そして共に戦う様はまさに”相方”。何でも知ってる、気心の知れた-----はずだった、自分の半身。だけど二人ともいつまでも子供ではいられなくて…………ギニャーーっ!! もうヒロイン決定でしょ!? 映画化決定でしょ!? でしょ、でしょ!?

 あと余計なお世話かも知れんが、若い男女が折角の休日に朝から晩までゲーム三昧ってどうよ?(←休日に一日中ペケ箱三昧の男)。俺もそんな相方欲しいなぁ……。あと先輩の影の薄さが尋常じゃなかったのがちょっと寂しいかも。
白梅はもはや厄神レベル。何というか『コロンボ』のうちのカミさんか、『スレイヤーズ!』の故郷の姉ちゃん並みの無敵キャラでは無かろうか。それからあせびちゃんには癒されるなぁ。二つ名は『死神』だがな!



 では、ここまで付き合ってくれた諸君。今回もメニューは豪華だぞ。存分に味わってくれたまえ。偽りの
帝王(バケモノ)、誇り高き最強(ウィザード)、湖の麗人(メガドライバー)、哀しき忠犬(ガブリエル・ラチェット)、そして戦場を切り裂く咆吼(バカでHENTAIな主人公)。とりあえず俺は、せっかくだからこの紅い空揚げ弁当を選ぶぜ!!(←これがまた美味そうなんだ)。


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