FifteenHounds
〜フィフティーンハウンズ〜



 さて、自分は今から読者の皆様に大変不躾なお願いをしたいと思う。この文章を読まれている方で、
自分に3千円のカンパをしてくださる方はおられないだろうか? 厚かましいと思われるかも知れない。お前の文章にはそんな価値など無い、と言われるかも知れない。乞食かよ、てめぇは、恥を知れと罵られるかも知れない。

 だが、それでもなお「カンパしてもいい」と言ってくれる方がおられるなら、その三千円を握りしめて東京在住の方は秋葉原へGO!! 地方の方はメロンブックスあるいはとらのあなの通販ページにGO!! そしてその3千円を使用して何も言わずに以下の作品を購入してもらいたい。

猟犬たちは追いかける。その存在の全てを賭けて。

3通り存在する、2051年の未来世界。
存在を許されるのは1つのみのため、他の時間軸を潰そうと異世界間で戦争が繰り広げられていた。
ところが激しすぎる争いは共倒れの様相を見せ始め代表者による勝負で歴史を決めることとなる。
選ばれた精鋭は5人ずつ、合計15人。
いずれ劣らぬ魔人の群れ。(一部の性癖面も含む)

だが舞台となった21年の世界で、戦いのさなか15人の中の誰かが無関係の少女を殺害する。

理由は不明。誰が手を下したかもわからない。
少女の恋人だった主人公は、名前を偽って未来人たちと行動を共にする。
彼女の仇をとるために。

交錯する思惑の行く末は。
少女を殺した犯人は、15人の誰なのか。
(公式HPより抜粋)





 「おいおい15人なんて多すぎないか」「数が大けりゃいいってもんじゃないだろう」などと思ったそこの君! 
謝れ! 『ダイ○ガーXV』に謝れ!! ……いやそんなことはどうでも良くて。自分も最初はそう思ったのよ。「おいおい、数多すぎないか。基本的に容量は限られてるんだから、キャラを掘り下げようと思ったら数を絞らなきゃ駄目だろ。だいたい長谷川』とか『橋本』とか名前普通じゃん」とかと思ったよ。プレイ序盤は名前が憶えられなくて、取りあえず適当に流してたよ。

 でも序盤から中盤にかけてくると、これがまたなかなかに……何だ……強烈に印象に残ってくる訳だ。「また出やがったよ、
ガチホモ野郎チンコ以外に言うことねぇのか」「アホな喋り方すると思ったけど、なかなかやるじゃないの、この童貞」「高倉健じゃないんだから、『不器用ですから』で全部片付けるなよ」「いいのか? この厨二病に世界の命運を預けていいのか?」という感じで変態スレスレ(一部完全アウト)の個性的なクソッタレ猟犬どもが、意地と命とプライドと世界の命運を賭けて悲劇と喜劇のロンドを踊り狂う様が最高に燃えてくるわけで。

 シナリオの完成度に関しては文句なし。あるシナリオではほとんど出番もないまま消えていったキャラが、別のシナリオではしっかりと語られていてちゃんとメリハリが付いているのがいい。伏線の張り方も見事で、
商業作品も含めてこれだけ綺麗に謎や複線が回収されている作品ってあんまり無いんじゃないかと思う。プレイしていて「あれ? 何かおかしくね?」と感じた違和感は、他のシナリオできっちり回収&説明されているし。死ぬときはあっさり死ぬシビアさも、ほとんどハッピーエンドがない救いの無さも、個人的にはいいと思っている。”殺し合い”の辿り着く結末ってそんなもんだよね。綺麗でもなければ、格好良くもなく、当たり前のように無慈悲で、下手をすると無意味でさえあって、そして大抵は笑っちゃうくらい冷酷なだけの結末。だからこそこのアホどもが命を賭けるだけの価値があったのだろうと思う。ED10.『LIKE TEARS IN RAINとED9.『SKY IS BLUE FOR ALL』の半端ねぇ落差が死ぬほど好き。いいじゃん、死も、憎悪も、涙も------蒼い空も、等しく万人に降り注ぐ。それを平等と取るか残酷と取るかは人それぞれだけど。

 音楽に関してもなかなかよろしい。特にヴォーカルが頑張っていて、OPの『VAMPIRE』もいいけど
EDの『雪景色』がお気に入り。ED回収のために散々聞かされたが、やっぱりこのレビューを書くときにも飽きずに聞いている。



 とまあ、褒め倒してきた本作ではあるが、実は欠点の方も決して少なくはない。
取りあえずシステム周りはもうちょっとどうにかならなかったのかと思う。やたらと停止するのであんまり役に立たないオートリード機能、強制スキップ使用が当たり前の甘すぎる既読判定、周回プレイ前提の割には少ないセーブ数など、ツッコミ所が満載である。特に本作は戦闘にしろ掛け合いにしろテンポというか疾走感が命だと思うので、それを阻害するような要素は極力排除して欲しかった。

 またグラフィック自体は手作り感全開でイイ感じだと思うが、複数の絵師が手がけている為か同一キャラのはずなのにあんまり似てないという事態が発生している。多少のブレは逆に味になると思うけど、
立ち絵とイベント絵があまりに違いすぎて首をかしげることもしばしば。もうちょっと似せる努力が欲しかったように思う。またカットイン自体は格好良くて気に入っているのだが、中にはシナリオ内容とグラフィックが一致してない事があるのよね。「お前さん、さっき右腕斬り落とされてたよね?」「あれ、眼帯してるんじゃなかったっけ?」みたいな感じで。細かいことかも知れないが、他の場面ではしっかりしているのだから、万全を期して欲しかったところ。

 あとは個人的な感想だが、主人公の「恋人の仇を討つ」という動機付けがいまいち弱く感じたというか、
お前さんさっきキッパリと振ってたよな? それで今更(元)恋人のためとか言われても、微妙に感情移入しづらいというか。プレイヤーの感情移入の点からも、後のシナリオ展開のためにも、ここは素直に普通の恋人同士にしておいた方が良かったのではなかろうか。ちょっと設定ミスっぽい気がしてもったいないと思う。



 というわけで。結論としては
確実に良作以上。ギャグもシリアスもバトルもミステリも楽しめる良い作品である。ただしこれは商業作品と普通に比しての場合。低価格三千円の同人作品という視点で見るなら傑作と言っても過言ではないと思う。久しぶりにガチでドキドキしながらプレイしてしまった。色々言いたいことはあるが、プラマイ計算すれば確実にプラスになるレベル。15人という登場人物に個性を持たせるだけでも大変なのに、それ以外の敵役脇役もなかなか味があって、評判倒れの最強君(えう゛ぁんげりおん)、いまいち憎めない癒し系、おっぱい担当というよりは貧乏くじ担当の元祖女神、メカっぽいというより虫っぽい相棒、敢えて王道(ネコミミ)を拒んで邪道(イヌミミ)を歩んだ勇敢なる馬鹿野郎など、色々バリエーションには事欠かない。こんな勢いと才気に溢れた作品が唐突に出現するから、同人というジャンルは侮れないと思う。では恒例の一言。



 
人気投票は是非ともマゾ姉に、マゾ姉に清き一票を! ------駄菓子菓子! 俺の中の悪魔の部分が囁く……敢えて……敢えてガチホモに、入れたい!!

 toraboF(以下F)「遂に絶技開眼しましたか」

 
そっちの意味じゃねェーーーッッ!!



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おしまひ


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