一角獣は一角羊の夢を見るか
〜『ガンダムユニコーン』雑感〜


 掲示板にて『ガンダムユニコーン』の感想にご返信を頂いたときに、気になった単語を見かけたのでそれに関して思うことをつらつらと。あくまで雑感であり、憶測であり、妄想であることを予めお断りしておきたい。

『NT-D』

 ユニコーンガンダムがデストロイモードに入ったときに発動する謎のプログラム。普通に考えればNTの部分はニュータイプであろう、と想像が付く。そして恐らくDの部分は「ドライヴ」の略であろうと。


 しかしここでは敢えて異論を唱えてみたい。ユニコーンガンダムが対ニュータイプ用ガンダムという定義に基づくならば、ニュータイプ能力によって駆動するシステムというのはおかしい。ユニコーンガンダムはニュータイプ能力を持たない一般人がニュータイプに対して抗うためのモビルスーツなのだから。
 
 そこでNT-DのDは「デストロイ」の意味ではないかと提唱してみる。
ニュータイプデストロイ・システム。うむ、なかなか良い響きである。デストロイモードを実装しているユニコーンガンダムには相応しい名前ではないかとさえ思えてくる。だが、ここでこのシステムを「アンチニュータイプ」ではなく、その名の通り「ニュータイプ殺し」のシステムだと考えると……恐るべき推論が見えてくる気がする。以下、完全な憶測であることをお断りして話を進めていく。




 ビスト総帥は『パンドラの箱』(ラプラスシステム)を「人類の命運を左右するもの」と称した。初めに聞いたときは関係者特有のちょっと大げさな誇張表現かと思ったのだが……。仮に、仮にだ、このラプラスシステムがニュータイプの出現を予兆し、
そしてそれを否定するコンセプトに基づいて作られた、としたらどうだろう? そのキーであり先兵としてユニコーンガンダムを設計していたとしたらどうだろう? ある程度の辻褄が合ってくるような気がする。対ニュータイプ能力を持つユニコーンガンダムが、単に戦闘で有利になるようなコンセプト等という表面的な理由ではなく、ニュータイプそのものを人類の正統進化種ではなく人類に仇なす突然変異種として駆逐する判別プログラムに基づいて行動するキーモビルスーツという理由で設計されたならば、その能力にも、ビスト総帥の説明にもある程度説明が付くのだ。確かにそれは人類の進化(めいうん)にまで干渉する決定的なプログラムだから。デストロイモードが発動したときにパイロットが事実上の拘束状態に置かれるのも、この理由ならば納得がいく。ユニコーンガンダムが単に戦闘能力だけを追求したモビルスーツではなく、一種のジャッジメントシステムを搭載した半自律型粛正ユニットだとしたら?

 このコンセプトの恐ろしいところは
ユニコーンガンダムのパイロットがどちらを選んでも、思惑通りに事が運んでしまうことだろう。パイロットがニュータイプに対して否定的ならば、躊躇無くラプラスシステムを解放してニュータイプを駆逐すればいい。もしニュータイプに対して肯定的ならば……それでも事は成ってしまうのだ。ユニコーンガンダムが対ニュータイプ兵器として有効な限り戦場に投入され続けるだろうし、数えるほどしかいないニュータイプが戦場にしか現れない現状では結局天敵たるユニコーンガンダムによって駆逐されてしまう。過程と早い遅いが違うだけで、結果的にニュータイプは生き残ることができない。

 そしてこの推論を推し進めていくと第三の結論さえ見えてくる。ニュータイプが人類の正統進化種として生き残るための方法はただ一つ------
戦争を根絶することだ。ニュータイプが単に「戦闘に有利な突然変異種」として扱われない世界が来るなら、ニュータイプが民間人として平穏な暮らしをしていける世界が来るなら、その時こそユニコーンガンダムの”役目”は真の終わりを迎えるときが来る。そんな未来の選択まで視野に入れてラプラスシステム(ユニコーンガンダム)を構築したというのなら、それはイオリア・シュヘンベルグ並みの歴史干渉だろう。「人類の命運を左右する」という謳い文句にも納得がいくというものだ。




 ------以上。ロートルの完全な妄想でした。自分の考えすぎだとは思うが、ここまで妄想を逞しくしてくれる作品が生まれてきたということは純粋に喜ぶべき事だと思う。というわけで、今から第二話が楽しみ楽しみ♪



おしまひ


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