宇宙世紀00XX。
宇宙という未知のフロンティアに進出を果たしながらも、未だ戦禍の業から人類が逃れ得ない時代。
事の発端は些細な事件であった。
極東に端を発した地域紛争は周囲の思惑を大きく裏切り、周辺大国を巻き込みながら人類の未来さえ危ぶませる世界規模の大戦へと発展していった-----
「うちのやよいが一番可愛いンじゃあぁぁっっ!!」「美希ぴょんの敵は人類の敵! 死ねやゴルァッ!!」「MOE! MOEEEEE! L・O・V・E! HA! RU! KA!!」「いおりんの前には全てが無意味!」「大陸四千年最強癒萌娘! 亜図沙!! 萌萌! 癒癒!」「うちのメガネをいじめないで〜〜っ」「Ich kann fur Chihaya sterben!!(僕は千早のためなら死ねます!!)」「亜美真美はいいねえ。リリンが生み出した文化の極みだよ」「雪歩は俺の嫁」「Yukiho es mi novia!(雪歩は俺の嫁なんだよ!)」「真の良さが分からないなんて……君たちは憐憫に値するね」
-----人は何故同じ過ちを繰り返すのだろうか。
血で血を洗う戦火は拡大の一途をたどり終息の影さえ見ない状況で、遂に立ち上がる男達がいた。
「諸君、私はアイドルが好きだ。諸君、私はアイドルが好きだ。諸君、私はアイドルが大好きだ」
一千の古強者を率いて立ち上がる者。
「俺は偶像萌王(になるんだぁぁああぁっっっ!!!」
一つなぎのタイトル(を求め全道場制覇(に乗り出す者。
「―――体は剣で出来ている。
血潮は鉄(で 心は硝子(。
幾たびの戦場(を越えて腐敗。
ただの一度も敗走はなく、
ただの一度も(他のユーザーに)理解されない。
彼の者は常に独り 剣の丘(で勝利に酔う。
故に、生涯に意味はなく。
その体は、きっと剣(で出来ていた」
全てを失うことを承知で反英雄(を目指す者。
今、時代が大きく動こうとしている。
多くの代償と引き替えに群雄割拠を生み出し、新時代を担う多くの英雄達を輩出した混沌の時代。
後世の歴史において、この世界大戦は先の第一次王位継承(大戦になぞらえて、第二次萌娘制覇(大戦と呼ばれることになる-----
〜民明書房刊『愛怒留漫遊記』〜
というわけで。色々な意味でペケ箱の代表作品になりつつある『THE IDOLM@STER』の紹介である。この作品の魅力をちょっと長い一言で表すなら「自分の娘(五歳)が幼稚園の発表会で初めて主役を演じているのを、手に汗握りながら見守る初心者パパの心境」という感じだろうか。手塩にかけて育てた愛娘(が晴れ舞台で一生懸命歌ったり踊ったりしているのを見ると、思わず手に汗握っちゃうというか、ドキドキするというか、何とも言えない緊張感がある。「うおっ、そこで失敗するか!? ……まだだ。まだ先がある! 慌てるな、落ち着け」などと握り拳作りながら画面を応援している姿は、まさにそのまんま(親)馬鹿である。
だがズバッとぶっちゃけてしまうなら、こういうジャンルは入れ込んでしまった方が勝ちである。中途半端に醒めてしまうぐらいなら、最初から手を出さない方がよっぽどマシだろう。だから上の紹介文?でも書いたとおり、「感情移入した方が楽しい育成もの」という点でプリンセスメーカーに通じるものがあるのではないだろうか。
またアイドルをテーマに持ってきているだけあって歌などの音周りの充実や、コスチュームなどの衣装周りに力が入っているのもポイントが高い。真面目な曲に真面目な衣装で望むも良し。お笑い衣装に走ってみるも良し。個人的には『蒼い鳥』や『私はアイドル』『Here we go』『魔法をかけて』辺りがお気に入り。色んな組み合わせがある上に、意外な組み合わせを発見したりすることもあって、これだけでも十分楽しめると思う。
そしてイベント関連はなあ……(苦笑)。下手なギャルゲよりよっぽどギャルゲしてるというか、ほとんどエロゲ一歩手前というか。いや、これはこれで嬉しい限りなんだけどね。ちょっと微妙だなあ。
とまあここまで褒め倒してきた自分ではあるが、ここからは本作の欠点について述べたいと思う。まず最初に結論から言ってしまうなら本作は失敗作である(駄作ではない)と思う。以下にその理由を列挙したい。
まず、育成部分の単調性というか作業性はちょっと頂けない。ミニゲームの繰り返しなので、正直言って飽きてくる。一周のプレイ時間が決して短いとは言えない以上、この単調さはマイナスなのでは無かろうか。またプレイアビリティも決して快適とは言えない。もうちょっとスキップ機能を充実させて欲しかった。元々何周もさせるのが目的の作品なのだから、スピーディなゲーム進行をもっと意識すべきではなかったかと思う。
そしてこれが本作最大の欠点だと思うのだが、とにかく難易度が半端ない。単調な割には妙にタイミングがシビアなミニゲームや、簡単にはランクアップできないシステムのバランスと相まって、洒落にならない難易度になっていると思う。
正直なところ他のユーザーは一人のアイドルをコンプする(ランクA以上でクリアする)のに何周しているのだろうか。自分は何周してもランクAが取れるとは思えない。もうすでに自分は何十時間か本作をプレイしており、普通はこれだけプレイすれば(できるできないは別にして)ある程度クリアまでの道のりというか方法が見えてくるものだが、本作に関しては全く見えない。自分はこの『アイマス』が大好きでこれから先も細々とプレイしていくつもりだが、ランクAに辿り着くことはまずないだろう。
ジャンルこそ違うものの『ラストレイヴン』もその高難易度で賛否両論別れたものだが、体感的には『アイマス』の方が凶悪な難易度に感じる。何しろ『ラストレイヴン』は完全にACユーザーを対象にしたものであり、その難易度設定も当然ながらレイヴンとして必要な要素においてハードルを高く設定しているのだが、『アイマス』の方はギャルゲーマーを目的にした育成ものでありながら、必要な要素はシューティングゲーマーの求道者精神にも似たストイックなやり込み能力なのだから。余り上手い例えではないかもしれないが部活で例えるなら、野球やサッカーに比して知名度の低さから部員を集めにくいラクロス部(ラクロスやってる人、例に挙げてすみません)で、「偏差値60以上でなければスタメン無し」というハードルを設けているようなもので。どんだけスペシャルな人材を選抜するつもりやねん。それじゃ試合ができないのも無理ねぇよ、と言いたくなってしまう。
以上の要素から自分は本作を失敗作と判断する-----誠に残念無念だが。本来なら何万、いや何十万という人に遊んでもらえるほどのとてつもないポテンシャルを秘めた作品が、スタッフの難易度設定ミスによってその何十分の一(下手すりゃ何百分の一)のユーザーにしか遊んでもらえないんじゃ、失敗作と断定するほかないと思うのよね。一アイマスファンとしては非常に残念なことである。もっともっと沢山の人に本作を遊んでもらいたかったのに。もっともっと本作を楽しみたかったのに。自分の心情を正直にぶっちゃけるならリンゴの皮だけ楽しんだ感じ。「皮でこんなに美味しいんだから、実の方はもっと美味しいんだろうなあ……」などと夢想してみても、その実に手が出ない。出したくてもどうにもならない。本当に心の底から残念である。そりゃスタッフに恨み言の一つも言いたくなるってもんよ(苦笑)。
自分は『アイマス』を2007年マイベストゲー候補に挙げてもいいくらい大好きな人間ではあるが、流石に安易に人にお薦めはできない。以上の文を読んできてなお本作に手を出そうという人がいるなら、相当な覚悟と時間をかけるつもりで望んだ方がいいと思う。しかし素朴な疑問なのだが、本作をフルコンプリート(全アイドルランクAクリア)した人って存在するのだろうか。もしいるとしたら(皮肉でも何でもなく)それは一種の才能だと思う。
おしまひ