とある魔術の禁書目録
〜2巻〜



 大変乱暴な言い方をしてしまうなら、本作の内容はこの一言(一文)で済んでしまうのかも知れない------それは
上条当麻とステイル・マグヌスという二大スーパー馬鹿野郎の馬鹿頂上決定戦である、と。


 さて、ここで自分は読者の諸君に問いかけたい。貴方ならどちらを選ぶだろうか? 見ず知らずの他人を守るために体を張り、命まで賭けてしまうような
主人公系スーパー馬鹿と、本当に大切な人が(事情があるとはいえ)自分を忘れて恋敵と幸せそうに過ごしている姿を見て、「彼女が幸せならそれでいい」と笑って見守ることができるライバル系スーパー馬鹿と。つまりはそんな話だ。自分としては大変甲乙つけがたい竜虎対決ではあるが、あえて軍配を上げるとしたらステイルの方か。どうにもならないけどどうにかしたい、どうにかしたいけどどうにもならない、って精神的に辛いのよね(ああ、爺臭い)。

 客観的に見るなら本作には気になる点が幾つもあるのだ。前作でも「完全記憶に対する知識が無さ過ぎる二人の描写はどうよ?」と思ったものだが、今回もやはりツッコミ所は多い。それも枝葉末節の細かい部分ではなく、
脚本の根幹に関わる部分で。前半であれだけ吸血鬼の存在そのものを作品世界を揺るがす重大な要素として描いておきながら、後半部分では完全スルーになっていたこととか(しかもその存在を確実なものとして描いておきながら)。物理的に完成されていながら事実上は不可能だったアルス=マグナの実現方法とか(ホントに誰も思いつかなかったの? 少なくとも教会側は思いついてもおかしくないでしょ)。死にかけた姫神を救った当麻の右手の力とか(幻想殺しって過程はともかく、結果に対して波及効果で遡って影響しちゃ駄目なんじゃ?)。ちょっと装飾過剰気味で上滑り気味な書風とか(これが今風なんでしょうけど)。

当麻「……いい加減にしろよ、テメェ」

 だけど、そんな些細なことは、
名も知らぬ少女の最後に本気で激怒し”左手”で敵をぶん殴る当麻の前にはどーでもいい些末事になっちゃうんだよね。やっぱり男の子はこうでなくっちゃ! 昼間っから飲んだくれてるアルコール効果を差し引いても燃える燃える。甘っちょろいとか青臭いとかいくらでも言い様はあるんだけど、やっぱり燃え分は男児の必須成分ですよ。正しいヒーローの在り方ですよ。だからラザニアとかプリンは大目に見てやれ、当麻(笑)。

 ライバルでありパートナーでもあるステイルもいい味出してる。作品に良い意味での緊張感をもたらし、同時に和み感ももたらしている妙味。というか、
もう細かいことはいいからインデックスに突撃しろ! そこで一歩引いてどうする。このキン無し野郎め(笑)。


 後は”三年前の主人公”アウレオルスの最後と、一応本巻のヒロインでありながら全く存在感がなかった姫神に哀悼の意を捧げて、本レビューを終わりたいと思う。とりあえず燃え分さえ十分なら細かいことはどうでもいい、という人には本作はマジお薦め。
今どきの作風で古典的な主人公燃えを楽しむことができます。



おしまひ


 戻る