大神


 この作品の一番のポイントを最初に言ってしまうなら、「世界が美しい」ということだろうか(グラフィックが美しいという意味ではない)。



☆美しさとは優しさである
 順を追って説明しよう。まず目を引くのは個性的なグラフィックだろう。いわゆるアニメ調画像や、昨今流行りのCGカートゥーンではない、骨太で素朴な絵柄。
宮崎風水墨画アニメという感じか。お伽噺や昔話がそのまま流麗に動き出したかのようなそのグラフィックだけでも特筆に値するが、自分が一番気に入っているのは桜の花びらなのだ。主人公(主人狼?)のアマテラスは妖怪を退治しつつ、歪んでしまったあちこちの自然の回復も行うわけだが、回復に成功したときに画面一杯に舞う桜の花びらはマジため息が出そうなほど美しい。なんというか……「目に優しい柔らやかな美しさ」と言うべきだろうか。枯れ木に花を咲かせるだけのことがこれだけ面白いなんて知らなかった。この特徴的なグラフィックだけでも本作を推薦する十分な理由になると思う。


☆王道に欠点無し
 システムの完成度もまた文句の付けようがない。筆業(ふでわざ)というアイディアは思いつきそうでなかなか思いつかない。画面に筆で文字を書くことによって様々な効果を得られる筆業は使い方の工夫次第で色んな事が出来るし、
それ以上に素で面白いのだ。あるいは花を咲かせ、あるいは樹木を生やし、あるいは万物を一刀両断し、あるいは時間さえも操る。神の御業というものを単なる戦闘力でなくこうした様々な力で表現しただけでも十分評価に値すると思う。

 そして単に跳んだり跳ねたりするだけでも十分面白い完成度なのだが、
この筆業を組み合わせることによってアクションの幅が広がるのはやはり素直に感服してしまう。画面の隅々まで工夫を凝らした仕掛けが施されている世界と相まって、アクションゲームとしての奥深いポテンシャルを感じずにはいられない。難易度的には少し低めなのだが、「難易度が高ければ面白い」などという低俗なレベルを遙かに超越している本作においては瑕疵とも言えない事柄だと思う。


☆パンがないなら燃えを食べればいいじゃない
 もちろん世界観&キャラ&シナリオも素晴らしい。最初にズバッと言っておこう。
ジャンプ系ノリが好きな奴、「努力、友情、勝利」が好きな奴、『ONE PIECE』とか『ガンダムX』が大好きな奴は本作をやっておけ。そういうノリ(・・・・・・)だ。俺が保証しよう。いかにも牧歌的な雰囲気の中でとぼけたノリやら、お笑いノリも十分にあるのだが、それ以上に燃える作品だ。どいつもこいつもアホみたいに真っ直ぐで、バカみたいに熱血野郎ばかりだ。最終決戦に至っては「さあ、いくぜ! アマ公!----って画面が見づらいな。連続でプレイしてたから、画面がぼやけて……(ごしごし)……あれ? 俺、いつの間にか泣い-----目から汗が出ちまってるよ。止まんねーんでやんの。なはは(涙)」みたいなノリだったから。ガチで燃えるぞ。




 というわけで、これらの要素が組み合わさったらどうなるか、賢明な読者諸氏ならもうお分かりだろう。そこには「美しい世界」が出現する-----
目も心も和ませてくれる優しいグラフィック。遊び甲斐のある楽しいシステム。燃えに燃えまくるキャラ&シナリオ-----我々ゲーマーを魅了してやまない”本当に美しい世界”が!!


 あえて難癖をつけるなら「全体的に引っ張りすぎる傾向がある」事だろうか。上手く言えないが、感覚的に言うならちょっと「くどい」という感じか。プレイ時間とシナリオがほぼ正比例するRPGならともかく、アクションゲームはタイミングというか瞬間最大風速が重要だからもうちょっと短めにつくって畳み掛けるような展開にしたら、
日本ゲーム史上に名を残す大傑作になったのではないだろうか。まあ、欠点というよりは贅沢という感じもするが。




 以上が本作の感想である。上記の文を読んでプレイしたくなった人は手を出すのが吉。もちろんプレイしたくならなかった人も手を出すべし。なんて簡単な二択(笑)。では、諸君らの心が本作で癒されますように。

駄文日本昔話(プレイ雑感・ネタバレ全開)


おしまひ


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