ペルソナ3
誰しもが子供の頃は良く泣くと思う。痛かったり、辛かったり、苦しかったり、悲しかったり、寂しかったり。ちょっとしたショックで泣くのは弱い証拠。それを証明するかのように、誰もが大人になると涙を流さなくなっていく。すぐ泣くのは子供みたいだから。格好悪いから。
-----だけど、今、俺は涙を流している。コントローラを握りしめ、テレビの前でダラダラダラダラ涙を垂れ流している。いい年喰った大人が大泣きするのは大変にみっともなくて、格好悪くて、困ったものである。しかし何が困るって、今の自分をちっとも格好悪くないと思ってしまうところが困ったものだ。
だから今こそ切に願う。一人でも多くの同志が、今の自分と同じように最高に格好悪くて-----最高に心震わせる涙を流すことを。それは恥ずべきことではない。喜びと感動に涙を流すことは、老若男女を問わず人間として当たり前のことなのだから。
〜プロローグ〜
幼い頃に両親を事故で失い、
親族に引き取られて校外へ移り住んでいた主人公。
彼は、家庭の事情で高校を移ることになり、
10年ぶりにかつて居た街を訪れることになる。
だか彼は、入居した学生寮が怪物の急襲を受けた事件で、
図らずもペルソナを覚醒する。
その能力を見込まれる形で、同じペルソナ能力を持つ仲間達から、
世界の裏に横たわる真実について知らされることになる-----
そうねえ、本作でまず自分が一番最初に、一番強調しておきたいことは、まさにゲームを遊ぶことの原点に立ち返る喜びがあるってところだろうか。なんか小難しく書いているけど、平たく言っちゃうと「家へ帰ってPS2を立ち上げるのが楽しくて仕方がない作品」ということ。残業帰りで遅くなって今一つ気力が乗らないときでも、とりあえず脊髄反射でPS2の電源入れて、おなじみのOPを見ているうちに「ちょっとだけタルタルしておくか(=ダンジョンに潜っておくか)」と遊びたくなってしまう。
そんな取っつきやすいお手軽さに反して、その中身の深さ、濃さは極上にして至高。その味わいの深さと絶妙のハーモニーは半端ない。本作を食事に例えるなら、ただの味噌汁だと思って箸を突っ込んだら、何故か特上松坂牛霜降りステーキが出現。しかも特濃フォアグラ仕立て、ってそんなに個性が強すぎる素材を掛け合わせたら持ち味を殺し----合わないィイイイッッ!!!(←巨大化)みたいな感じ。「RPG+恋愛シミュレーション」というと某RPGを思い出してしまうが、正直言って本作は次元が違いすぎる。「コミュ」というシステムで再現される人間関係はどれも唸らされるような深い&ハートウォームなストーリィばかりで、これだけでも十分にゲームとして成り立ってしまうほど。それに加えてメガテンシリーズ特有のペルソナ(悪魔)収集&合成&育成要素を織り込んで、なお両方の持ち味を相殺するどころか相乗効果で倍増させてしまう手腕はもう脱帽するしかありません。やっぱり「お手軽ライト感覚学園もの」の雰囲気を作り出したのが最大の勝因だろうか。甘い匂いで誘っておいて、蓋を開ければ底無しの電脳麻薬が待っている様は、まるで食虫植物の如し(笑)。「コミュストーリィの先も気になるけど、ペルソナ狩りもしておきたいし、ああああああ-------両方やっとくか」こうして今日もまた夜は更けていきます。
そしてお約束の最終決戦では、キレてます、キレてます、いつもより余分に血管が切れまくってます!!って感じで。無敵不滅のラスボスに対して、自分を信じてくれる皆の想いと絆を力に替えて挑むは最強にして純粋なる無色の救世主(。もうこの段階で自分の血管も理性もブチキレまくりで大変な事態になってます。「二度とこの世界に近づきたくなくなるくらいぶっ叩き潰してやるよ!! 俺は絶ッッッッ対に負けねェ!!」とか叫びながら、ミシミシと音を立ててコントローラを捻り潰しかねない体たらく(いつも苦労をかけて済まんなぁ、コントローラよ)。そして冒頭のシーン↑に戻ってしまうわけである。
ちなみに本作は音楽のレベルも高い、というかセンスが良いと思う。ラップ調の明るい曲に最初は戸惑う(特にメガテニストは)だろうけど、聞き慣れるとこれが良い味出してくるんだ。自分的にはサントラCDはマジお薦め。っていうか、本作をプレイしてサントラ買わなかったら嘘だよね? 『Changing
Seasons』とか『全ての人の魂の戦い』などもう燃え燃えですよ。『When The Moon's
Reaching Out Stars』とか『Mass Destruction』とか『Want To Be Close』とかもうノリノリですよ。『The
Pass is Open』でそれぞれのコミュのエンディングを思い出したりして、ちょっと涙ぐんだりしてますよ。『巌戸台分寮』でちょっとノスタルジックな気分に浸ったりしてますよ。ああ、良い買い物したなあ(しみじみ)。
あえて欠点(というか難癖)を指摘するなら、「あらゆる面において恵まれすぎている主人公が少し鼻につく」「アニメパートの絵(パース)がちょっと平板っぽくない?」「伏線がほとんどない蝶展開」などが挙げられるが、文字通り取るに足らない問題だ。その程度のことに文句をつけるのは、特上ステーキセットフルコースを前にして、「あー、俺って付け合わせのキャベツ苦手なんだよね」などと言ってるようなもの。そんなことを言ってる暇があるならさっさとステーキを食え。キャベツなんぞどうでも良くなってくるから。
とりあえず本作は2006年マイベストゲー最有力候補、というよりもはや我が人生におけるベストゲートップ3にランクインしそうな勢いである。とりあえずPS2を持っている人は購入しておいて損はないタイトルである、と断言しておこう。本作を世に送り出してくれた制作スタッフに心からの敬意と感謝と賞賛を。そして来るべき未来の同志達へ。君たちはとてつもない喜びと感動に巡り会う可能性を前にしている。その可能性の扉を開けて”こちら側”へ来てくれることを、そして共に熱く語り合えることを心から祈って筆を置きたいと思う。
ベルベットルームへようこそ(キャラ雑感・ネタバレ全開)
おしまひ