無数の管につながれた状態で脳死だと判定弟は無数の管につながれた状態で、処置室や手術室ではなくすでに一般病棟に移されていたからです。医師からは事故で頭を強く打ったので意識が戻らず、脳死だと判定されました。顔にはさほど傷がなく、心臓などの臓器はまだ動いているのに、意識が戻らないということを受け入れることができませんでした。
両親は弟の当然死を受け入れ医師は弟が生前に臓器提供のサインをしていたので、どうしますかと尋ねました。弟の突然死を受け入れることさえできないのに、臓器提供なんて考えられるはずがありません。しかし両親は弟の当然死を受け入れて、弟の意志どおりに臓器提供をすると冷静に答えました。 臓器を提供する意志を示していた両親はかねてから臓器提供をすることに賛成で、家族は全員提供カードを持っていました。弟の突然死を迎えるまでは、臓器を提供することに何の抵抗も抱いていませんでした。むしろ、臓器移植を待っている人が多い現状を知ってからは、移植をするのは当然だと考えてもいました。しかし実際に弟の突然死に向き合ってからは、弟を誰かに奪われてしまうような気がして、拒否感を感じるようになりました。弟の心臓はまだ動いていて、実際には目を覚まさないけれど、もし奇跡が起きたら目覚めるのではないかという考えが頭から離れなかったからです。 しかし弟が生前に臓器を提供する意志を示していたのであれば、弟の意志に従う必要もあると感じました。 |