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◇ なぜ九州で焼酎が育ったか
その理由には二面性があります。好条件としては、やはり豊かな自然の恩恵です。照葉樹林が多く、森が深い。そこから生まれる清冽な湧き水があるからこそ、焼酎は生きてこられたと思います。もう一面は、芋焼酎の一大産地である鹿児島は、稲作に適さないシラス台地です。米不足は慢性的であり貴重な米を酒造りには回せない、ここにサツマイモと焼酎との運命的な出会いがあり、「芋焼酎」が誕生したのです。南九州は基本的には畑作地帯です、豊富な雑穀が収穫できるつまり蒸留に適した原料がふんだんにある九州だから、焼酎文化が育ったと言えるのでしょう。更に忘れてはならないのが、作り手と飲み手の両方にある強い「郷土愛」。この精神が焼酎を誇りある文化にまで昇華させたのでしょう。
◇ 焼酎発見
定説では、16世紀後半と言われていますが、1546年に薩摩地方に滞在したポルトガルの商人、アルバレスは「米から造ったオーラカ(焼酎)がある」と記述を残しています。又1559年鹿児島県大口市の郡山八幡神社から発見された木札に「永禄二歳八月十一日其時座主は大キナこすでおちやりて一度も焼酎を、不被下候(くださらずそうろう)。すなわち、神社の神職が大変ケチで、一度も焼酎を振る舞ってくれなかった・・・と不満を漏らしているのです。これが日本最古の焼酎の刻印と推測されます。
◇ 焼酎は海洋的な酒
九州は焼酎文化と清酒文化の両方が楽しめる大変幸福な土地です。大きく分けて、九州北部では、焼酎メーカーと清酒メーカーが共存していて、南九州の鹿児島では焼酎だけという分布になります。 焼酎と清酒では、製法から、テイスト、飲み方、場のシチエーション、肴まで、様々な点で違います。 清酒は醸造酒です。和の佇まいの案内でおいしい料理と一緒に少人数で悲しみながら楽しむ。一方焼酎は蒸留酒です、アウトドアで風に吹かれながら、大人数でにぎやかに明るく楽しむ。一言で言うと焼酎は大変海洋的だと思います。
◇ 乙類を本格的焼酎という
焼酎には甲類と乙類があります。 甲類は連続式の蒸留器を使った無味無臭のアルコールに近いタイプの「ホワイトリカー」。 酎ハイや料理酒に用います。 そして単式蒸留器を使って造る乙類焼酎、別名「本格焼酎」です。本格焼酎では蒸留する発酵液の原料の名前をとって、芋焼酎、米焼酎、麦焼酎、そば焼酎、黒糖焼酎・・・・と表示します。又同じ原料でも産地や製法によって随分違います。だから自分の味を探求していくのも、焼酎の醍醐味です。
◇ 本格的焼酎の魅力は香りと飲み方
本格的焼酎の魅力は芳醇な香りにあります。芋、米、麦、そば、黒糖・・・・原料本来の香りや個性が十分に生かされます。世界に数ある蒸留酒の中でも、これほど材料の特徴がはっきり出る酒は珍しいと思います。 そしてもう一つ、清酒と決定的な違いはいくら薄めても味が落ちないことです。 清酒の場合熱燗にするか冷やにするかですが、焼酎は、「割る」という飲み方がある。だから、食前、食中、食後、又一晩中でも飲めるし寝酒でも良く体調や気分で飲み方を自分にあった飲み方で飲める自由度がある。
◇ 焼酎は女性が支えた文化
男尊女卑のイメージが未だ残っている九州ですが、本当のところは建前なんです。明治時代鹿児島では婦人の手による「婦人心得百箇条」なる物があって「男を立てよ、機嫌を取れ、話を聞け」などと言った戦略が練られていたようです。 まあ薩摩オゴジョの合理的精神だったのでしょう。 ですから焼酎文化が続いているのも実は女性の賢さによるところが大きいようです。薩摩隼人は、毎晩、奥さんや子供たちを相手に飲んでいました。だから毎晩少しずつ飲む奥さんが一番のテイスターだったのです。
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