「MIYAZAWA」物語・・・
リストラされ家族や友人からの信頼も失った中年の男が一人、いましも北の街の駅に降り立った。男の唯一の美徳は「どんな時にも笑顔と冗談を忘れない」というもので、それはどん底の状態ある現在も変わっていない。
男には青春時代に夢中になったものが二つあった。ひとつは宮沢賢治の「かたくて静謐で透明な詩世界」、そしてもうひとつは正岡子規の「病床の宇宙」であった。
学生時代にそれらの詩や俳句に親しんだ男は、結婚し就職すると家族を守るために、あたかも自分には「詩」も「俳句」もなかったかのように仕事だけにのめり込み、いつしか本を読まなくなり休日の映画にも行かなくなり、絵の前でふと立ち止まって自分の心のさざ波を眺めることも、音楽に身を浸すこともしなくなっていた。
「北へ行こう」関西に住む男にとって、賢治のコスモロジー(宇宙の構造/死生観)は北の空にしかなかった。出張ではなく「旅」に男は久しぶりに出発したのだった。
古びた旅行鞄、男はその鞄を持ってかつては目的を定めない旅に出たこともある。男は久しぶりにその鞄の中のポケットを開ける。中から出てきた手紙の封はまだ切られていなかった。差出人を見ると、男の胸に深い後悔と甘酸っぱい期待感が同時にやってきた。
それは、22才の彼が自分へ宛てた手紙だったのだ。
男はそっと手紙の封を切る。失われた23年間がやってきたとき、彼はMIYAZAWAとMASAOKAの世界に住み始めていた。
八戸公演:八戸市公会堂文化ホール
2007年6月30日 (土)
受付開始・開場 / 17:30 開演 / 18:00
2007年7月1日 (日)
受付開始・開場 / 16:30 開演 / 17:00
青森公演:青森県立美術館シアター
2007年7月7日 (土)
受付開始・開場 / 17:30 開演 / 18:00
2007年7月8日 (日)
受付開始・開場 / 16:30 開演 / 17:00