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こもあ生物学

日記帳27

免疫学


『ヒトと自然』 55〜59ページ

『免疫のはなし』
(紀伊国屋書店、科学選書10)

発生生物学 第4回

2004年10月26日 (火) 免疫2
 感染部位には何が起こるのか
 1)細菌が感染する
 2)食細胞が感染部位に到達する
 3)マクロファージ[食細胞と書いてあったすぐ次にマクロファージとあってとまどわさせられるが、同じものである]の酵素が細菌を分解し、抗原成分をばらばらにする
 4)抗原断片(エピト−プ)がマクロファージの細胞膜表面にMHC抗原とともに提示される
 5)ヘルパーT細胞がやってくる
 6)エピトープの鍵穴をもつヘルパーT細胞がエピト−プを認識する。そのときMHC抗原を同時に認識して抗原のエピト−プを認識する
 7)ヘルパーT細胞はリンホカインを分泌する
 8)リンホカインはB細胞を何回も分裂させてプラズマ細胞に分化させる。クローンが選択されるというのはこのことである
 9)抗体が作られて治癒段階に入る
10)マクロファージはリンホカインの影響で細菌を食べる速さがます
11)さらに、抗体がついた細菌はマクロファージには美味しく感じられる
12)一方、B細胞の方が抗原と遭遇すると、抗原と一定以上の親和性のある抗原レセプターをもったB細胞(Bcr)を刺激する。ふつう数個である。このBcrは抗原を取り込んで、表面に抗原由来ペプチドを提示するようになる。この抗原を提示したBcrを7)のヘルパーT細胞が認識して相互作用し、Bcrが増殖する。もちろんリンホカインもBcrの増殖に関与する

 二次免疫反応
 1)初回抗原によって分化したリンパ球はすべてが数日以内に死ぬわけではない
 2)記憶B細胞、記憶T細胞と呼ばれる非常に長命な細胞に変身するものもある
 3)脾臓などのリンパ組織で記憶細胞は休眠して、特異的抗原の再刺激を待っている
 4)IgMの出現をまたないでIgGが出現する
 5)だから、初回感染時はIgMがまず出現する

2004年10月22日 (金) 免疫1
 8歳の少年に牛痘を接種した
 1)ジェンナーは少年院や農家から貧民の子供を集め、牛痘の膿疱からとった膿を接種し、その後しばらくしてから今度は天然痘にかかった人の膿疱からとった材料を接種して調べた
 1776年5月14日、8歳の少年に「乳しぼりの娘の手の腫れ物から取り出した物質」を接種した。翌日、少年は発熱、頭痛、食欲喪失を示した。その次の日は元気になった
 2)数ヵ月後ジェンナーは、その少年に天然痘の膿疱からとった試料を接種した。少年は天然痘にかからなかった。人類が免疫によって守られ安全になる端緒となった

 1910年までに免疫系の基本的なからくりが分かった
 1)生体は、異物と判断した物質(抗原)に反応ぢた、それらから身を守る
 2)生体は二種類の防御体制をもっている
 3)定着性あるいは遊走性の細胞で、侵入した細菌などの外敵を食い滅ぼすように専門化したもの(食細胞)
 4)血液中の液性成分中のある物質(抗体)によるもの
 5)抗体は抗原の刺激に応答して作り出され、その抗原と特異的に結合して中和する
 6)補体が抗原-抗体結合体と組み合わさると溶菌がおこる

 抗原の特徴
 1)免疫系の専門家細胞が異物と感知するものを抗原という
 2)高等脊椎動物は、われわれの知っている抗原だけでなく、「未来」の抗原に対しても同じように対処可能な免疫系をもっている
 3)抗原にはタンパク質、脂質、糖質がある
 4)10,000da以上の分子量が必要である
 5)エピトープの形で抗原性を決定する
  アミノ酸の鎖は三次元の立体で、そのペプチドの中の6〜12個のアミノ酸の連なりで抗原性を決定している。この部分をエピトープという。アミノ酸1個の違いが識別される
 6)均一なポリマーには抗原性はない

 抗体の由来は幹細胞である
 1)抗原識別能力は10の15乗に相当する(別冊日経サイエンス)
 2)抗原レセプタも10の15乗存在する(別冊日経サイエンス)
 3)体内には2x10の12乗個のリンパ球がある
 4)リンパ球は、赤血球、白血球、血小板、リンパ球などのすべての血液細胞を作り出す「多能性造血幹細胞」から生じる
 5)多能性造血幹細胞は、骨髄中にいて、リンパ系幹細胞、骨髄系幹細胞に分かれる
 6)リンパ系幹細胞のうち、胸腺経由のものは、T細胞、直接末梢リンパ節や脾臓にいったものはB細胞となる。これが抗原と出会うと形質細胞となり、抗体産生細胞に変化する
 7)骨髄系幹細胞からは、好中球、マクロファージができる
 8)哺乳類の骨髄は生涯新しいリンパ球を作りつづける

 免疫系の発生・分化
 免疫系の発生・分化については、最近の研究の結果、分かってきたことが多い。ここに記載するのは、理化学研究所 免疫・アレルギー科学総合研究センター 河本宏免疫発生チーム長に、私がご教示いただいて、私なりにりかいしたところを、まとめたものである。オリジンは河本先生であるが、文責は私にある。間違っていたら、それは私の理解不足と表現不足である。
 1)造血幹細胞の祖先はAGM領域(AGM領域は大動脈の近傍にあるという。それがどこにあたるのかは、今とっさには私には分からない。もともと造血幹細胞は卵黄嚢に発生すると覚えていた)に発生し、この場所で造血幹細胞になる
 2)胎児期、造血幹細胞はAGM領域から肝臓に移住する。そこで各種血液細胞をつくるとともに、自らも旺盛に増殖する
 3)出生の前後に幹細胞は肝臓から骨髄へ移動する。成体では、したがって肝臓は幹細胞の供給源にはならない
 4)T細胞になる幹細胞は、胎児期には肝臓でT細胞の前駆細胞となり、その前駆細胞が胸腺へやってくる
 5)成体ではT細胞になる幹細胞は、骨髄でT細胞の前駆細胞になり、その前駆細胞が胸腺にやってくる
 6)胸腺は、こうして前駆細胞の供給を受け、T細胞をつくり続ける。抗原レセプターを発現するところまで、胸腺で分化する
 7)T細胞は、このあと脾臓・リンパ節に移りすんでから、じっさいに働ける細胞へと分化・成熟する
 8)B細胞になる幹細胞は、胎児期には肝臓で前駆細胞となり、さらに抗原レセプターを発現するB細胞にまで分化する。これは末梢循環中に出ていき、リンパ節や脾臓に移りすみ、実際に働けるB細胞になる
 9)成体ではB細胞になる幹細胞は、骨髄で前駆細胞となり、さらに抗原レセプターを発現するB細胞にまで分化する。これは末梢循環中に出ていき、リンパ節や脾臓に移りすみ、実際に働けるB細胞になる

 形質細胞は抗体を分泌して死ぬ
 1)B細胞によって免疫グロブリンは合成される。免疫グロブリンは、全血漿タンパク質の約20%を占める
 2)1個のB細胞が作る抗体分子は、すべて同一の抗原結合部位をもつ
 3)新しくできたB細胞が作る抗体は、最初は分泌されず、細胞膜に存在して、抗原レセプター(B cell recepter、Bcr)として働いている。また抗原提示細胞になるものもある
 4)Bcrは1個のB細胞に約10の5乗個存在する
 5)未感作B細胞または記憶B細胞表面のBcr分子に抗原が結合すると、B細胞は成熟して形質細胞となり、抗体を分泌する
 6)抗体分子を分泌すると、形質細胞は数日後に死亡する

 超可変領域は5〜10個のアミノ酸からなる
 1)免疫グロブリン分子のL鎖のカルボキシル末端は、基本的にすべて同じアミノ酸配列をもつ(約110のアミノ酸)
 2)アミノ末端側はそれぞれ異なっている(V領域、約110のアミノ酸)
 3)H鎖もL鎖と同様に、約110個のアミノ酸からなる可変領域と、定常領域(抗体のクラスによりL鎖の定常領域の3倍から4倍の長さ)
 4)抗原決定基(エピトープ)との結合部位は、L鎖・H鎖の可変領域の中の3か所の超可変領域である  5)超可変領域は5〜10個のアミノ酸残基で形成されている
 6)相補性決定領域(CDR)と呼ばれ、CDR1、CDR2、CDR3と呼ばれる

 VxDxJの数だけ種類が生じる
 1)L鎖プール遺伝子群には、定常(C)遺伝子分節(1個以上)、一群の可変(V)遺伝子分節(〜250個)、結合(J)遺伝子分節(4個)がある
 2)H鎖プールには、1組のC遺伝子分節、一群のV遺伝子分節(250〜1,000個)、D遺伝子分節(12個)、J遺伝子分節(4個)からなる
 3)抗体遺伝子は、B細胞の分化に伴って未分化幹細胞のこれらの抗体遺伝子分節から再構築される
 4)VL、VH領域をコードする遺伝子分節群をさまざまに組み合わせて、マウスでは1,000種類(250Vx4J)のVL遺伝子、4,800種類(1,000Vx12Dx4J)のVH遺伝子を作り出す