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こもあ生物学

日記帳32

2005年5月9日 (月) アニマルテクノロジー 第6章 アニマルテクノロジーの未来
1 飢餓・栄養失調からの解放

 著者は、日本人の体位の向上と平均寿命の延びは、わが国の淡泊な伝統的食生活にエネルギーとタンパク質に富む畜産物が取り入れられた効果である、と述べている。

 さらに、畜産物が、飢餓や栄養失調から人々を救うとも述べている。

 食糧事情が悪いほど、少量でも畜産物を摂取することが重要である。貧困や食糧に苦しむ地域ほど、アニマルテクノロジーの適切な応用によって家畜生産をさかんにする必要がある。

 そのような地域でも、適切な家畜を選び、適切にアニマルテクノロジーを応用することによって、畜産食品を手に入れることができる。そのテクノロジーを指導できる技術者の養成が求められている。


2 家畜生産の試練

 家畜の家畜生産のエネルギー効率は、養殖魚より低い。1キログラムのウシをつくるのに7キログラムの穀物が必要である。ブタでは1キログラム増やすのに4キログラム、養殖魚では2キログラムである。

 だからといって、動物性タンパク質の摂取を魚にせよ、という意見には賛成できない。家畜生産のエネルギー効率の問題の取り組みが、緊急避難的な主張(魚食うべし、という主張)によって、ストップするからである。

 排泄物による環境汚染も問題である。

 わが国で1年間に排泄される家畜の糞尿は、窒素量に換算して全国平均1年間1ヘクタールあたり146キログラムである。化学肥料としての窒素の使用量は、全国平均で1年間1ヘクタールあたり100キログラムである。両者を合わせると、地下水の窒素濃度を10PPM以下にするために求められている上限値に近い値になる。

 糞尿を輸出するために、汚水処理、脱臭によって、衛生的で臭いのない保存可能な運搬に適した肥料にすることが、まず必要である。

 燃焼材料にする技術、メタンガスとして利用する技術はすでに実用レベルに達している。

 廃棄物も削減、資源化が必要である。「肉骨粉」のリサイクルは、その資源化に成功したものであったが、BSEで頓挫した。しかし、廃棄物を資源化する発想は弱めてはいけない。

 建物のなかの清潔さと、排泄物の処理などの醜さの除去を進める技術を、今後は飛躍的に発展させねばならない。

 家畜を屠殺することに心理的抵抗を感じる人は多い。研究者もこの問題を論じることに躊躇している。それが、家畜を殺すことを忌諱するもとになっている。研究者は人々の心と対峙する努力が必要である。


3 研究のフロンティア

 体細胞クローン、受精可能卵子の大量生産、遺伝子改変についてはすでに述べた。体細胞クローンが受け入れられるかどうかは、ミトコンドリアを一致させる技術ができるかどうかにかかっている。

 分離したX精子、Y精子による雌雄の産み分けはやがて成功する。

 遺伝子診断は重要な技術になる。IVMFCで作られた胚の遺伝子診断をする日がまもなくやってくる。

 IVFMCと卵子の大量生産技術が結びつく日も近い。

 遺伝子改変家畜が食卓に上る日は遠い将来のことである。医薬品生産、代替臓器生産は大きく成長する。

 生殖細胞系列の流れを生体外で再現できれば、後代検定を、何世代もたった時期のものを使って行えることになる。

 制御生態系生命維持システムをつくるために、排泄物処理技術をつくることが必要である。

 遠心機牧場などの構想もある。

 殺生について考え、地獄を意識して行うアニマルテクノロジーの研究こそが、研究に値するものである。