| 2005年10月11日 (火) |
1 肥満遺伝子 |
1)肥満はアメリカでは3人に1人がそれに悩み、脂肪を落とそうという努力のために、30兆円以上が費やされているそうである
2)太る原因は食べ過ぎと運動不足と言われていたが、最近そう単純ではないことが分かってきた
3)肥満に関わっている遺伝子についての情報が最近急速に解明されて来ており、食欲調節そのものが遺伝子によって制御されていることが分かって来たからである
4)肥満に関係する遺伝子は、40以上あると言われている
5)なかでも最も注目されているのが「肥満遺伝子」と呼ばれているものである
6)ただしこれは肥満を防ぐ遺伝子で、肥満を起こす遺伝子ではないので、「肥満遺伝子」の名称は不適当である |
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| 2005年10月11日 (火) |
2 肥満マウス |
1)遺伝性肥満マウス(ob/ob)は、いくら食べても食欲が低下せず、ひたすら食べ続けて肥満するマウスである
2)この肥満マウスと正常マウスの血管をつないで双方の血液が行き交うようにしたところ、肥満マウスが痩せてきて正常な状態になった
3)このことから、正常マウスの血液中にはあって、肥満マウスの血液中にはない物質が肥満を起こさせなくすると考えられた
4)そして肥満マウスでは肥満を防ぐこの物質を作る遺伝子に異常があって、この物質を作ることができないと考えられていた
5)アメリカのフリードマンらが、この食欲を制御する物質が「レプチン」であることをつきとめ、さらに「レプチン」というタンパク質をつくっている肥満遺伝子(ob遺伝子)をポジショナルクローニングという方法で発見した |
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| 2005年10月12日 (水) |
3 レプチンの作用 |
1)レプチンをob/obマウスや正常マウスに注射すると、マウスは食べる量が減少した
2)動作が活発になり、糖の代謝が盛んになった。エネルギーをたくさん消費するようになった
3)正常なマウスに高脂肪食をたくさん食べさせて太らせておいて、これにレプチンを注射すると体重が減少した
4)レプチンをマウスの脳内血管に注入すると、1時間後に食物摂取を停止するという食欲低下作用も報告された
5)このような実験を通してマウスにおけるレプチンによる体重の調節は次のようにまとめられた
6)体内に必要以上に脂肪が貯まると、脂肪細胞はレプチンを盛んに合成する。レプチンは血液中を流れて脳に届き、視床下部のレセプターに結合すると、その情報によりインスリン分泌を抑制して糖からの脂肪合成を抑え、また食餌摂取を抑制する
7)ob/obマウスはレプチンを作る能力に欠陥があり、脂肪がありすぎても、脳は脂肪が足りないと錯覚してたくさん食べてしまうのである |
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| 2005年10月12日 (水) |
4 レプチン受容体 |
1)肥満マウスについてはここまでob/obマウスだけ取り上げてきた
2)もう一つの肥満マウスがいることが知られてきた。diabeticと呼ばれる肥満で、db/dbと表されていた
3)正常マウスと血管をつないで双方の血液が行き交うようにすると、正常マウスがものを食べなくなって死んでしまうのである
4)これは痩せさせる物質がたくさんあることが分かる
5)レプチンはホルモンの一種で、それには受容体があると考えられ、その考えを使って肥満を解釈してきた
6)そこで受容体遺伝子をクローニングしたグループがある
7)一方、血管をつないだときに正常マウスがものを食べなくなってしまう物質を分泌しているマウスの原因となっている遺伝子(db)をポジショナルクローニングで単離したグループがある
8)db遺伝子は、レプチン受容体と一致した
9)db/dbマウスは、レプチン受容体が異常で、レプチンが効かないのである。だからレプチンをたくさん分泌するが食欲はなくならず肥満になる。つながれた正常マウスは肥満マウスからレプチンが流れてきて、食欲をなくし、食べなくなる |
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| 2005年10月12日 (水) |
5 その他の肥満遺伝子 |
1)脳で摂食抑制の信号が出されるとき、セロトニンが放出されて、他の神経細胞に伝えられる。これが食欲抑制の働きだという
2)ダイエットするとトリプトファンが減少する。トリプトファンはセロトニンの材料で、だからダイエットするとセロトニンが十分に作られず、食欲抑制がおこりにくくなる
3)ノルアドレナリンは脂肪細胞、とくに褐色脂肪細胞の熱産生量を増加させる。肥満者の中にはノルアドレナリンレセプターのβ3(上付き)ーアドレナリンレセプターの異常がみられる人もいる
4)脂肪細胞は免疫系にとって不可欠な物質を分泌したり、動脈硬化を抑制したりする物質も分泌する。分泌するすべてが体にいいものとはかぎらないが、ないと困るものも数多く分泌する巨大な内分泌臓器だった |
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| 2005年10月13日 (木) |
6 ポジショナルクローニングの原理 |
1)ヒトの遺伝子マーカーは1〜2センチモルガンで地図ができあがっている
2)20センチモルガンほどの間隔でヒトの全ゲノムをカバーする一連の遺伝子マーカーを160個ぐらい用意する
3)遺伝性疾患をもった家系を選び出す
4)発症者と非発症者が一定のパターンを示すマーカーが必ず存在する。そのマーカーは160個のマーカーのどこかにある
5)見つかったマーカーが遺伝病遺伝子と連鎖していることになる
6)見つかったら1〜2センチモルガンのマーカーで、同様のことを、しぼられたマーカーの近傍で実施する
7)変異遺伝子にたどりつく
[8)1センチモルガンは1万bpだから、制限酵素を働かせていくつかに切断し、分断されたものの両端の塩基配列を確定できれば、PCRから塩基配列を決められるであろう](こもあ案内) |
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