Trane's Works 55, 56
1956, 9/7, Fri. TENOR CONCLAVE session
1. Just You, Just Me
2. Tenor Conclave
3. How Deep Is The Ocean ?
4. Bob's Boys
■曲名はコメントにリンクしています
Al Cohn, John Coltrane, Hank Mobley, Zoot Sims (ts),
Red Garland (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)
Van Gelder studio, Hackensack, New Jersey.
○この時、ハンク・モブレー26歳2ヶ月、ズート・シムズ30歳10ヶ月、ジョン・コルトレーン2週間後の9/23で30歳、アル・コーン30歳9ヶ月、レッド・ガーランド33歳4ヶ月、ポール・チェンバース21歳4ヵ月半、アート・テイラー27歳4ヶ月。
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■セッションの概観
●夏休み(?)を終えたマイルス・デイヴィス・クインテットは8月31日(金)から9月27日(木)まで再びカフェ・ボヘミアに出演、 " Tenor Conclave " のセッションはその間 9月7日金曜日に行われました。前回6月5日2度目の " 'Round About Midnight " セッションから約3ヶ月ぶりのレコーディングです。フロントにテナー4本を据えた、プレスティッジに特有のリーダー・レス、リハーサルなしの、いわばスタジオ・ジャム・セッションで、The Prestige All Stars 名義の最初のアルバムとなりました。選曲はスタンダード2曲と、よく知られた曲のコード進行を元にしたモブレーのオリジナル2曲になっています。たいした工夫もなくテナー4本に等しくソロ・スペースが配分されているため、一曲の長さの割にソロはあまり長くないし、4本のテナーを聴き分けるのもたいへんですが、コルトレーンのスタイルを直接他のテナーと比較できる格好のサンプルになっていますし、聴き慣れて各人の特徴が把握できると結構楽しめます。
(西内)
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1. Just You, Just Me ( Jesse Greer / Raymond Klages ) 9:26
●シムズ、コーンといったまともで “うまい”(テクニックじゃなくて、“粋な”、“洒落っ気”がある、という程の意味ですが)テナーに挟まれた状態で聴くと、コルトレーンの変テコさがよく分ります。ソロ自体はコルトレーンとしてはおとなしめで、まあ、普通の出来なんですけどね。特に4小節交換ではその異質さが際立って感じられます。漫然と聴いていると他の三人は誰が誰だか分らなくなってしまうんですが(特にモブレーとシムズ)、コルトレーンだけはそのフレーズの変てこさと音色で容易に識別できます。4小節交換に限って言えば、とても冴えていて、鮮烈とさえ言っても過言ではない際立ち方です。単にスタイル上のコントラストだけではないんじゃないですかね、これは。結構感動しました。
(西内)
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2. Tenor Conclave ( Hank Mobley ) 11:02
I Got Rhythm をベースにしたモブレーの曲。
●4人中最も生硬で安定感を欠いているのは無論コルトレーンだが、圧倒的な存在感で抜きん出ているのもコルトレーンではないだろうか。音の質が比較的緩めな他の3人の中でハードでタイトな音色が目立っているというだけではなく、また単にスタイル上の相違といったことだけでもなく、「スタイル」なるものを相対化してしまうような絶対的な異質さがコルトレーンにはある、とまで言ったら言い過ぎだろうか。モブレーの安定感のあるプレーにしろ、コーンの気の利いた分りやすいフレーズにしろ(シムズはちょっと本領を発揮できていないんじゃないだろうか)、悪くはないんだが、時に退屈だと思ってしまう。初めて聴くのにいつかどこかでさんざんに聴かされたような、馴致された音群の退屈さ(但しモブレーに関してはコルトレーンとはまた違った異質さ、存在感があって一概には言えないんだが)。そんな退屈さを解きほぐすような気持ちよさを感じさせる、粗さも含めてコルトレーンらしさが良く出ているプレイだと思う。
(吉野)
●ふてぶてしいようなソロの始まりが、ちょっとデクスター・ゴードンを感じさせないでもないです。何かの引用かもしれません。2ndコーラスの初めにはドヴォルザークのユーモレスクに似たようなフレーズが聴かれます。少し煮え切らない箇所もありますが、概ね堂々たるソロで、荒っぽさも魅力的です。コーンのレスター・ライクなプレイを受けてでしょうか、ジャンプっぽいといいますか、R&B系のノリといいますか、それ風のノリが所々で聴かれ、特に最後のコーラス、最後のAセクション8小節がそれらしく吹っ切れた感じでとても痛快。いい終わり方だと思います。
(西内)
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3. How Deep Is The Ocean ? ( Irving Berlin ) 15:04
●ブルージーでウェットなプレイの他の3人の中で、コルトレーンの個性がいいアクセントになっていて、効果的。コルトレーンのソロが始まると、さっと乾いた空気が入ってきて、いくらか光度が増す感じ。所々でテーマ・メロディーを引用しながら、メカニカルなフレーズで即興している。これまでにない(と思うんだけど)装飾的なアルペジオ(だかスケールだか)の多用が印象的。安定感もほとんど問題なし。このセッション中、文句なしにコルトレーンのベスト・プレイだと思う。
(佐々木)
Tenor Conclave の項でも触れたが、ここではコルトレーンと他のテナー奏者達との表現の位相の違いが、単にソロ・オーダーに準じた役割、というものを超えて、さらにはっきり聴き取れるように思う。情動とも、個性とも、さらにはそれらの“表現”ともある意味で無縁なコルトレーンの傾向が既に表れているように思う(57年以降の、論理的、数学的とも言えるコーダルなアプローチへと駆り立てる衝動が何よりも優先される傾向へと繋がるものをさらにここで指摘するのは無理があるだろうか)。
(吉野)
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5. Bob's Boys ( Hank Mobley ) 8:19
●パーカーの Blues For Alice をベースにしたモブレーの曲。
(西内)
●ほどよい速さの軽快なテンポに乗って、各人がゆったりとリラックスしたソロをとっている。コルトレーンはこのセッション中、バラードを除く3曲の中で最も安定している(粗を探すと、1stコーラス3小節目=0:30が少し怪しく、4thコーラス7,8小節目=1:19が自信なさ気)。比較的穏やかな立ち上がりの後、2ndコーラス以降、反復フレーズ、拗音的フレーズ、促音的アクセント等、56年型コルトレーンの諸特徴が頻出し、その偏心的で予測のつかない不規則な動きが心地よい。
(吉野)
●チェンバースのタイトでシャープなピチカート・ソロが結構カッコいい。
(佐々木)
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Trane's Works 55, 56