自作360mW低歪率アンプ+2-wayスピーカー


  開発の目的
そりゃ〜どうせスピーカーを通してしかキャラクター(声優)の声を聴けないのなら、せめてそのオーディオシステムくらい自分で作りたいじゃん?
 前作では難しかった50〜100Hz弱あたりの補強、および、中・高音域の品質向上。
 また、前回はミニコンボの領域を目指したが、今回はそれを超えたものを狙う。

  開発の方向性

 ・部屋で大きくない音で楽しむことが目的、出力は合計1Wもあれば十分
   これは前回と同じ。今回はウーハーがかなり出力オーバースペック
   だが、気にしないことに
 ・アンプはなるべく低歪率とするため、常用出力においてA級動作となるよう
  にする。
   ここが前回と大きく異なる。前回はアンプIC任せだったが、今回は音質
   優先で。
 ・音量が小さいときのノイズを極力抑える
   前回は、電源部の改善でそこそこ抑えたが、今回は低ノイズオペアンプ
   +低能率スピーカーで、ヘッドホンのような聴き方でもノイズが出ないレ
   ベルに。
 ・スピーカーは2-wayにする。8cmフルレンジ+20cmウーハー。
   普通の2-wayではなく、後の理由によりフルレンジ+ウーハーという変態
   構成に。
 ・多少図体が大きくなることは気にしない。
   変な加工をしなくても低音域出すためには仕方のないこと。
 ・予算30000円
   前回の5倍ですね。

  設計

 今回作るものは実用品であるため、やはり、安全性、寿命のことは重要となります。
 安全性は、前回と同じく、強電は既製品を使うことで対応するとともに、出力に短絡保護いれる等の対応を行います。
 また、部品のディレーティングも考慮した作りとします。

 アンプ

 今回のアンプはオペアンプ+バッファの構造とします。
 オペアンプは、中音域重視とかフラットな特性とか言われる、この手の用途では無難なNJM5532DDを使用しました。
 バッファは、この手の用途なら数Wのパワートランジスタが無難ですが、敢えての2SC1815+2SA1015 10パラ
 ゲインは約19dBで固定です。
 電源は12Vで、一応1.5Aくらい。確保する必要がありました。
 出力は後の測定でチャンネル当たり最大0.5Wとなりました。また、出力30mWまではA級動作となり、いい音を出してくれます。
 なお、バイアスは、VR1とVR2で調整します。10〜20Ωくらいでちょうどよいバイアス電流になります。約60mAほどアイドル電流は流しています。
 帰還かけてるのにA級動作に意味あるの?と思うかもしれませんが、後で測定したところ、それなりに影響しているみたいです。
 オペアンプのGB積が10MHz、トランジスタのトランジション周波数はコレクタ電流からして200MHz以上だから、高周波数特性はほぼオペアンプ依存。けど、どこかの954kHzのラジオ局の電波がうざいので、LPFとかいろいろ必要に。
 今回はオシロスコープ(デジタルの安物だけど)を入手したので、そのへんが分かったきました。今まで悩まされてきた突然アンプが発振してた原因はこれでした。
 DCカットの方はカットオフ周波数を15Hzに設定。LPFの方はカットオフ周波数を50kHzに設定。

 スピーカー

 前作より一回り大きな20cmウーハーを使用。
 (FL200U43 定格80W 最大300W 再生周波数35〜3kHz 実売5k強)
 安い割にしっかりした作りでいい低音を出してくれる・・が、
 このスピーカーは1.3kHzあたりで急激に出力が落ちる特性があるらしく、3kHzまで使うとあまり良くなさそうなので、割と低いところで分けた方が良いと考えました。
 1kHz程度からフラットな特性というと・・ということで高音域担当のスピーカーはツイーターではなくフルレンジを使用することにした。
 この状況なら、小型フルレンジで高音域をきれいに出した方が良いと考え、8cmのものに。
 (FE-83E 定格7W 最大確か14W 再生周波数140〜30kHz 実売3k弱)
 自作オーディオ入門の定番機。
 このユニットは、バックロードホーン、バスレフから密閉まで使えますが、今回はバスレフに。
 なお、このユニットは小型なだけあって低音域は弱いものの、中〜高音域はかなりいい音を出します。特に女声ボーカルとの相性が良いスピーカーと言われています。
 後継のFe-83Enも同じような傾向とされる。実際聴いたことはないけど。

 今回はきちんと木の箱でエンクロージャーを作り、まともにグラスウールを入れます。
 ウーハー用が厚さ15mmのMDFで、フルレンジ用が厚さ14mmのパイン材です。
 クロスオーバーネットワークは-6dB/octで周波数800Hzで分割としました。

 あとは、ミキサーとかも入れてこのような感じに接続。

  製作

 スピーカー

 今回も、自分で材料切るのが大変なので、ホームセンターの有料加工サービスに頼ることにしました。
 前回と違い、穴開け加工も頼むことで、全体が木製になりました。
 また、ケーブルはターミナルをつけずに、直接スピーカーケーブルを繋いでしまいます。なお、ケーブルは、一応スピーカーケーブルとして売られている安物を使いました。
 完成図は、すでにここまで出ている写真のようになります。

 アンプ

 例によって適当にユニバーサル基板に作っていきます。
 やたらと電解コンデンサが多いのは、小さいのを多数使うことでインピーダンスの引き下げを狙っています。
 今回は、出力段から組んだので、オペアンプ側が不自然に隙間が多くなっています。ここは気にしたら負けですね。はい。しかも、途中スペース足りるか不安になってものすごく混雑した配線の場所ができています。(短絡保護のあたり)

 相変わらずの汚い半田付けですが、出力段の多数のトランジスタが並んでいるところは独特の美しさが。

 配線図には書かれていない部品がいくつか追加されていますが、主に、周波数特性を良くするための、OSコンやフィルムコンをパラったり、所有していない抵抗値の抵抗を作るために複数使っているのが多いです。
 あと、某954kHz局対策のために、出力側にも22μHのインダクタをつけています。ここまでしないと、どんどん入ってきます。

 あと、念のために言っておきますが、裏のピンクは作るときたまたま喰っていた梅昆布の袋をそのまま絶縁用に置いただけ。

 箱はそのうち作るつもりですが、いつになるか不明。なお、ボリュームが付いていないのですが、それはミキサーのボリュームで対応します。


 セレクター・ミキサー

 ここのスイッチとボリュームによりならす音源と音量を設定します。
 インピーダンスとかch数とかいろいろ適当ですが、こんな感じに仕上がりました。
 ボリュームが安物ではありますが、後の測定の結果見てもそれほど悪影響は出ていないようです。
 なお、アンプは入っていないので、複数のchをONにすると音が小さくなります。
 箱は紙です。ここは今までどおりです。

 ネットワーク

 作ってから時間がたっているので、ほこりが目立ちますが、気にしないでください。
 これを使って、フルレンジとウーハーへの出力を分けます。今回はかなり周波数が低いのでフィルムコンデンサだけで分けるのが現実的ではないため、電解コンをパラってます。
 普通はこの部品はスピーカーの箱の内側につけますが、ここでは、敢えてアンプの近くに置きます。なぜかというと、今回使った小さい方のスピーカーはそこそこ評判の良いフルレンジであるため、せっかくだから単独で鳴らせられるようにしたくて、その切り替えを1箇所でできるようにしたかったからです。
 ここのスイッチで切り替えできます。内側に倒すと両方使用、外側に倒すと小さい方だけ使用となります。

  (アンプの)動作テスト

小さいスピーカーに繋いで50Hzを入力しました。(周波数がやたらと低いのは、小さいスピーカーの再生音域外であることから、騒音を抑えられるという理由。) 赤線が出力波形。

黄線は何も繋いでいないのを消し忘れ。

とりあえずこの分解能で見る限りでは正常に出ています。
耳で聴いても、とりあえず極端な歪みは感じられません。





出力側エミッタ抵抗の測定値

やたらと歪んでいますが、これで正常っぽいです。

アイドル電流が60mA程度であることがわかります。(出力抵抗が0.94Ωであるため)

なお、波形は測定していませんが、短絡保護は出力電流800mA程度で動作しました。





オシロの端子にプローブを取り付け、プローブは何にも繋がないで測定。

何も繋がなくても波形が・・

なんとかならないのかな、この妨害電波

この妨害電波がいろいろ今まで問題を起こしてきたので、今回も対応のため、LPFとか出力インダクタを取り付けたわけです。



  評価

 アンプ
 歪率測定の結果。
    (1kHz時の特性)
歪率    0.008%(1Vrms)
最大出力 360mW(THD+0.1%)

 なお、測定にはWaveSpectraを用いた測定方法を使用しました。
 他に100Hzと10kHzも測定しましたが、100Hzではハムノイズが邪魔をし、10kHzでは帯域の限界のため結果がうまく出なかったため、省略。

 帰還かけていながらアイドル電流多めのAB級にした効果が出ています。アイドル電流60mA程度なので、A級からAB級に切り替わるのは0.4V付近。そのあたりから歪みが増えています。

 普段聴く10〜20mWでの歪率は0.002%付近と非常に低くなっています。しかも普段使いではA級でありながらアイドル電力は2Wほどと、少なく済んでいます。
 このように、普段使う領域で最も高い性能を発揮できるような設計とすることで、簡単な設計でありながら高性能にできるのが自作のいいところです。

 スピーカー
 ウーハーが大きいだけあって、低音域からきちんと出力されます。前回の16cmのと比べて半オクターブくらい広がった印象があります。
 フルレンジの方は、いろいろなところの評判のように、中・高音域がきれいでした。予想に反して60Hzあたりから結構音が出ていました。が、やっぱり低音域は軽い印象があります。
 フルレンジだけでもいい音が出ます。やはり軽い印象のある音ですが、曲によってはそれが相性良かったり。

 まあスピーカーに関してはどうしても主観的な評価ばかりになってしまいます。が、これは仕方がないこと。

  追記

 アンプの割にスピーカー他の部品が古いように見えるのは、実はアンプ以外はかなり前に組み立てられたもので、それまでは市販のアンプを使っていたからです。
 右のアンプです。値段相応の音とか言われる、安いD級アンプです。
 効率いいし、音量大きめのときの音質はいいのですが、自分にとっては、
・無音時ノイズが大きい
  (まあ出力がそこそこ大きいし、D級だから仕方はないが)
・音源切り替え時のノイズが大きい
  (想定外の使い方だから仕方がない)
 と自分の使い方の関係で不満が出てきたので自作となったわけです。
(まあそれ以上に作ってみたかっただけというのが大きいが)

 無音時のノイズに関しては、今までアンプICではどんなことやっても出ていたのですが、オーディオ・パワーアンプICではなく、オペアンプ+バッファに切り替えたらあっさり解決しましたが、いったいこの差は何なんだろう。
 音源切り替えのノイズは、高い対称性の回路+オペアンプの入力抵抗がかなり低い(数100kΩとか)ので、小さい"プツ"だけ。また入力がオープンでもヘッドホンに繋いでようやくわかるくらいのハムノイズが入るくらい。


==一通り完成(追加はあるかも)==  

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