マンションの建替え
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(老朽化したマンション・耐震性不足のマンション)
区分所有法の建て替え決議による建て替え
(区分所有者の5分の4の賛成が必要)

被災マンション法による建替え→ 地震対策

都市再開発法による法定建て替え

全員の同意による建て替え
分譲マンション約14万棟(全国) 1981年以前の旧耐震基準で建てられたマンション約3万9千棟

            老朽化したマンション
                   老朽化に伴い資産価値がないマンション

■最悪の場合は、住むこともできない貸すこともできない。

■所有者である限り固定資産税、都市計画税などの税金や管理費、修繕積立金の支払い義務だけは残る

■外壁が落ちて誰かを怪我させた場合、区分所有者全員が「工作物責任」を負うことになる。


             建て替えが進まない理由
一 管理組合において権利者相互の意見・権利を調整する負担が大きい。

二 容積率に余裕がないため、建替え費用が回収できず、経済的な負担が大きい。

三 建替えしている間の仮住まい暮らしが高齢者には大きな負担


      マンション建替え円滑化法改正が行われた

            耐震性不足(要除却認定)マンションは規制緩和します
前提
今回の改正の対象となるのは、要除却認定を受けたマンションだけである。

「耐震診断が行われたマンションの管理者等は、国土交通省令で定めるところにより、特定行政庁に対し、当該マンションを除却する必要がある旨の認定を申請することができる。」ここで認定されたマンションが、要除却認定マンションである。・・・要除却認定を申請するには過半数の決議が必要


改正された2つのポイント

マンション敷地売却制度の創設・・・一括売却すれば更地価格となるので売却意欲が湧くことになる。

これまで区分所有者全員の合意が必要だったマンションおよび敷地の売却について耐震性不足のマンションでは5分の4以上の賛成で可能。売却後はマンション以外の用途の建物も建設できる。

容積率の緩和
新たに建設されるマンションでは、一定の敷地面積があり、市街地環境の整備・改善に資するものについて特定行政庁が許可した場合は、容積率が緩和され、戸数を増やすことができる。増えた部分を売却すれば建替えコスト負担をへらせる。
                        今回の法改正の効果

従来の老朽化したマンションでは、所有者には改修または建替えの2つの選択肢しかなかった。
特に容積余剰がない物件は、この2つのどちらも合意が得られず、時間だけが経っていくだけだった。しかし売却ができるとすると、所有者はいったんお金に換金でき、さまざまな選択肢が可能となる。
長期的に見ると、建て替えより売却する流れが主流になるかもしれない。

権利関係の調整
借家権や抵当権の扱いについて、一定の基準のもとで補償して解消することが可能となった。
例えば営業系の借家が入っている場合、交渉に費用と時間を要し、なかなか大家が建て替えに前向きになれなかった。しかし、こんどの改正によりこの点も解消した。

      一般マンション    耐震性不足のマンション
    改修 区分所有法による改修 2013年改正での措置
耐震改修促進法による改修
過半数の賛成、容積率などの緩和特例
   建替え 区分所有法の建替え(個別売却)
マンション建替え法の建替え(権利変換)
5分の4以上の賛成
マンション建替え法改正での措置
マンション敷地売却制度の創設
5分の4以上の賛成
容積率の緩和特例
取り壊して住み替え 民法原則に基づき全員同意が必要            同上
     
 
補足説明
 建替え後は区分所有者が戻ることを前提にしているため、新たにマンションを建てる不動産会社の自由度は制限される。  マンションの建物・敷地売却なら不動産会社の開発意欲が高まり、買い手がつきやすく高い金額で買い取られる可能性がある。


                  改正の背景

1.背景

 我が国のマンションのストック総数は約590万戸であり、そのうち旧耐震基準により建設されたものが約106万戸存在し、それらの多くは耐震性不足であると考えられるところ、マンションの建替えはこれまで183件、約14,000戸の実施にとどまっており、巨大地震発生に備えるために、耐震性不足のマンションの耐震化の促進が喫緊の課題となっている。
 このため、耐震性不足のマンションの建替え等の円滑化を図るべく、多数決によりマンション及びその敷地を売却することを可能とする制度を創設する等の所要の措置を講ずる必要がある。

要は、1981年より前に建てられたマンションは耐震設計上脆弱な建物だから、特別に規制緩和してあげるから建て替えをしてくださいという改正。
したがって、1981年以降の耐震性に問題がないものは従来の手続きに従って建替えるということです。


旧耐震基準・・・1981年より前の耐震基準
大正時代(1923年)に関東大震災あり、その翌年に建物の強度に一定の基準を設けた耐震設計が義務づけられた。このときが最初の耐震設計ともいわれ以後改良が加えられ1978年の宮城県沖地震後、1981年に新耐震設計法が確立したといわれています。
ここでいう旧耐震基準により設計されたものとは、1981年より前に建てられたマンションを指す。

新耐震設計法
中規模クラスの地震に対しては建物の被害がほとんどなく、あっても補修程度で住み続けられる性能を持つことを前提にしている。
100年に一度あるかないかの大地震では、建物に被害が出るものの倒壊せず、居住している人の生命は守れることを目標にしている。

耐震診断と耐震工事
耐震基準は建築基準法改正で1981年から「震度6強で倒壊しない」に強化され、耐震指標「IS値」が0.6未満は改修が必要とされる。
耐震不足とされたマンションの耐震工事は数千万円から数億円かかり、区分所有者の過半数の賛成が必要となる。

※耐震改修促進法等では耐震指標の判定基準を0.6以上としており、それ以下の建物については耐震補強の必要性があると判断されます。つまり、「Is値≧0.6」の建物は「必要な耐震強度に対し100%の強度を持っている」ことを意味している。

2.改正の概要

(1) 耐震性不足の認定を受けたマンションについては、区分所有者等の4/5以上の賛成で、マンション及びその敷地の売却を行う旨を決議できることとする。

(2) 決議に係るマンションを買い受けようとする者は、決議前に、当該マンションに係る買受計画を作成し、都道府県知事等の認定を受けることができることとし、決議で定める買受人は、当該認定を受けた者でなければならないこととする。

(3) 決議合意者は、決議合意者等の3/4以上の同意で、都道府県知事等の認可を受けてマンション及びその敷地の売却を行う組合を設立できることとする。

(4) 組合は、決議に反対した区分所有者に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すことを請求できることとする。

(5) 都道府県知事等の認可を受けた分配金取得計画で定める権利消滅期日に、マンション及びその敷地利用権は組合に帰属し、当該マンション及びその敷地利用権に係る借家権及び担保権は消滅することとする。

(6) 組合は、権利消滅期日までに、決議に合意した区分所有者に分配金を支払うとともに、借家権者に対して補償金を支払うこととする。

(7) 耐震性不足の認定を受けたマンションの建替えにより新たに建築されるマンションで、一定の敷地面積を有し、市街地環境の整備・改善に資するものについて、特定行政庁の許可により容積率制限を緩和することとする。


耐震性に問題のあるマンションは、5分の4の決議で土地・建物を売却できるとした。

ここで注意したいのは、耐震性に問題あるマンションだけが対象となっていること。
したがって、耐震性に問題ないマンションは対象外。
                                                   国交省広報より

                      建替事業の基本的な流れ

区分所有法による建替え決議
          ↓

(マンション建替え円滑化法)
・事業計画・定款の作成
・都道府県知事の認可
マンション建替組合の設立
          ↓ ・組合による建替え不参加者からの権利の買取り
権利変換計画の作成
          ↓ ・組合による計画不同意者からの権利の買取り等
・都道府県知事の認可
権利変換
          ↓ ・高齢者等の居住安定のための措置
建替え工事の実施
          ↓ ・組合による登記の一括申請
再建建物への入居
の緑色までは区分所有法の建替え決議になります。

のピンク色からはマンション建替え円滑化法により、具体的に事業実施に移行していきます。
 

                                        
                    これまでの建替え事情        米山秀隆氏の文より抜粋
                                                             
米山 秀隆(よねやま・ひでたか)    

容積率
これまで老朽化したマンションの出口の主流と考えられてきたのが、建て替えだった。
しかし、建て替えには、容積率に余裕があって建て替え前よりも多くの住戸を造ることができ、その売却益が見込めなければ、デベロッパーの協力は得られにくい。
そのマンションが建てられた時点が最近であればあるほど、容積率に余裕がなくなっている物件が多い。また、そもそも建築後の法改正によって、建て替え前と同じ容積率を使うことすらできなくなっている物件も多い。

事業実施方法
建て替えを行う場合には大きく分けて、
①全員の同意による建て替え、
②区分所有法の建て替え決議による建て替え(区分所有者の5分の4の賛成が必要)、
③都市再開発法による法定建て替え
の三つがある。

阪神大震災発生前までに行われた建て替えは、全員同意(①)と同潤会アパートに適用された市街地再開発事業による法定建て替え(③)などであり、②が使われることはなかった。市街地再開発事業とは、老朽化した低層建築物が密集した地域について、敷地を共同利用して中高層化し、街路やオープンスペースも含めて再開発を行うものである。
②は阪神大震災の被災マンションで初めて使われた。

さらに①、②の方式の場合は、建て替え事業を区分所有者が「自主」で行うか、他者と「共同」で行うかによって二つに分けることができる。
自主は、区分所有者自らが資金調達して建て替えを行うものであり、共同は、デベロッパーなど他の事業協力者ととともに建て替えを行うというものである。
これまでの事例では、自主的に行ったのは極めて稀であり、ほとんどがデベロッパーなどと共同で行う方式が採られている。その際使われるのが、等価交換方式と呼ばれる方式である。

等価交換方式
等価交換方式とは、区分所有者が土地持ち分を出資し、デベロッパーなど事業協力者が建設資金を出資して、完成建築物の占有面積をそれぞれの出資比率で取得し、事業協力者はその持ち分を分譲するというものである。
この方式では、通常、建て替え後には建て替え前を大きく上回る床面積を確保できるよう計画され、従前の区分所有者には建て替え前と同等以上の床面積を付与した上、余剰部分(保留床または余剰床)を分譲することで、建て替え費用とデベロッパーの利益が賄われる。
これにより、従前の区分所有者は追加負担なしで建て替えることでき、デベロッパーも分譲利益を得られるというメリットがある。好条件のケースでは、還元率を100%以上にしても、デベロッパーは利益を確保することができる。

建替の組合員としてデベロッパーも参加できる
組合デベロッパーとの共同事業には、マンション建替え円滑化法の枠組みで行われる場合もある。建替組合を設立するに際し、デベロッパーが参加組合員となり、マンションの土地持ち分を取得する、または組合の保留床を買い取ることでデベロッパーがその対価として組合に資金を拠出するという形である。このように、円滑化法により組合が事業を実施する場合でも、実際には、デベロッパーと協力して保留床を売却する形で、事業費の大半を賄っているケースがほとんどである。


このように、現実にはデベロッパーなどの協力が得られなければ、建て替えは難しい状態になっている。デベロッパーは、一定の利益が期待できる限りにおいて、事業リスクを負担して建て替えに参加する。しかしその際、当然のことではあるが、デベロッパーの意思決定は、老朽化が著しく建て替えなければ生活に支障を来すなどという住民側の事情とは無関係である。
デベロッパーは善意で建て替えに協力するわけではなく、すべての老朽マンションがデベロッパーの要求水準を満たすわけではない。デベロッパーの協力が得られなければ、住民が自力で建て替えを行うしかないが、その場合には資金面の問題のほか、誰が事業のリスクを負って、建て替えを進めるかという深刻な問題が生じる。

建替えできるマンションか?  容積率をチェック
容積率の既存不適格

「敷地面積に対する総床面積の割合」を容積率といい、%で表わす。
例えば容積率200%であれば、1,000㎡の敷地に建物の総床面積2000㎡を上限に建てられるいうことです。容積率は都市計画によって定められているが、変更されることもあります。



現在の容積率以上に建物の総床面積があれば、このような状態を「容積率の既存不適格」といいます。
つまり、建てられたときは法律に合っていたのですが、その後、容積率の規定改正がありこのような結果となったのです。

既存不適格の建物は、違法建物と見ませんから不都合はありません。
問題となるのは、建替えの話が持ち上がったときです。なぜなら、新たなマンションに建替えるときは、新しい法規制に則ったマンションを建てなければならないからです。

容積率が大きければ大きい建物が建てられるということ
マンションを建てた当時より現在の容積率が変更により低くなってしまったのであれば、現在のマンションより小さい建物しか建てられません。
もし、住戸部分を従来通りの面積で確保しようというのであれば何人かはマンションを出ていくしかありません。または、今の住戸より狭い面積で建てて全員の住戸を確保するしかありません。

※既存建物かどうかは、建物が建っている場所を管轄する役所で調べることができます。