叔父さん、来てたのか。
まあ立ち話もなんだから、入ってくださいよ。
お茶ですか、コーヒーですか?
…いらない?そう。
何しに来たかぐらい分かりますよ。
今後の俺の方針への不平不満をぶつけにきたんでしょう?
あんたも親父と同じだからなぁ。
ま、親父はオレを観察することに決めたみたいだけど。
親父もあんたも人間を過大評価しすぎているよ。
特に親父はな…。
あいつは、何も意見しない、何も掲げない、
どこも支持しない、どこも…。いつも見てるだけだ。
ただ求められるままに、力を貸すだけだ。
「無駄な人口は少ないほうがいい」
そう言いながら、待ってるんだ。
虐げられてるものたちが自分たちの力で決起するのを。
でもな、それは余計なおせっかいだよ。
混沌の中から生まれ来る人間性、俺はそんなものに価値は見出せないね。
…シンプリシティだ。
なにがって?俺の持論の基だよ。
大衆は何を話題にするか
民衆は何を支持するか
人々は何を求めているのか
どれもこれも単純なシステムに基づいてる。
インテリの中年がフリーダ・カーロの絵に感動する。
フェミニストがアリス・ウォーカーに啓蒙される。
尖った女子大生がシュバンクマイエルのフィルムを見てオシャレぶる。
なんて、素直で陳腐なやつらだろう!
客観的に見て、平和的解決が望まれない国家、
俺たちがそこに介入し、秩序を築く、何が悪い?
軍事介入にまっとうな正義を掲げることがいやなんだろ、あんたは。
…あいつもあんたも受け止めるべきなんだよ。
所詮俺たちはテンプレートに沿った生き方しかできないと。
世界に導きを示す必要性があると思い込む高慢さが俺たちの財産なのに!
秘石、青の秘石、秩序の象徴、俺はそう信じてる。
なんか、がらにもなく語っちまったな。
ま、いいやこれが俺のやり方だ、なにか文句でも?
ははは、文句があるから来てんだよなぁ、何言ってんだか、俺。
とにかく、イヤならとっととここから出てくんだな、叔・父・さ・ん!