あんたは多分一生こどもだ。
あんたが好き勝手やってるときそう思う、わがまま言ってるときそう思う、
見栄張ってカッコつけてるときそう思う、暴力でことを思いどおりに運ぼうと
してるときそう思う、つまりは四六時中そう思ってる。
あんたが俺を組み伏せてる時どんな顔してるか知ってるか。
ありゃ、カマキリの羽むしってる小学生の顔だぜ。
なんでも、知りてぇ見てぇってツラして踏みにじりやがる。
あんたの目はあんまりきれいだ。
なんでも映しちまう。
怯えた俺の顔。怯えた俺の心。
あんたは悪い。だから人を殺したりする。
でも、人殺しの片棒担がされてなんとも思わなかった俺は、もっと始末に負えない。
任務のあと、いつだって俺は笑ってた。最高にハイだった。
帰還して、熱い風呂に入って、冷えたコークを飲んで、
ごきげんで、カウチにもたれて
予約録画してた「おしゃれキャット」なんか観たりして。
割り切ってたんだ、仕事だって。
俺が爆破した建物の中にだってきっと猫はいたのに。
そして俺はそれに気付いちまった!
なっちゃいないと笑われるのはいい。本当だから。
甘いと叱られるのはいい。本当だから。
弱すぎるとしごかれるのはいい。本当だから。
でも、俺をあんたに縛り付けるのだけは勘弁してくれ。
俺はあんたじゃない。
もう何も知らない猫を殺したくないんだ!
●
「どういう意味だこの野郎!」
手袋をはめた強健な手が、実の甥に良く似た、
しかし数倍も不遜な笑みを浮かべた青年の胸倉を掴む。
「言った通りさ隊長さん、リキッドは自分で新しい島の番人に志願したんだ。
大方血みどろの手洗うのに嫌気がさしたんだろうさ。
いいかげん現実直視しろよ。チューネンは頭固くっていけねえや
…おっと、うるわしのサービスは別だけどな!」
「…」
「わかったら離せよ」
そして会話は途切れた。
語るべきことは、もう何もなかった。
●
さようならだ、新しい生活が待ってるんだ。
俺のことなんか忘れてくれたっていいだろ。
使えねぇ奴だって言ったじゃないか。
あんたは痛くも痒くもないはずだぜ。
どうしてこんなに涙が出るんだ?
あんた俺に何をした?
喉が詰まるんだ。
顔が熱いんだ。
体が震えるんだ、あんたと離れるってだけで!
息の仕方も忘れちまいそうなんだ。
つらいよ、
あんたがあんまり俺にそっくりだから。