あんたは多分一生こどもだ。
あんたが好き勝手やってるときそう思う、わがまま言ってるときそう思う、 見栄張ってカッコつけてるときそう思う、暴力でことを思いどおりに運ぼうと してるときそう思う、つまりは四六時中そう思ってる。

あんたが俺を組み伏せてる時どんな顔してるか知ってるか。
ありゃ、カマキリの羽むしってる小学生の顔だぜ。
なんでも、知りてぇ見てぇってツラして踏みにじりやがる。

あんたの目はあんまりきれいだ。
なんでも映しちまう。
怯えた俺の顔。怯えた俺の心。

あんたは悪い。だから人を殺したりする。
でも、人殺しの片棒担がされてなんとも思わなかった俺は、もっと始末に負えない。
任務のあと、いつだって俺は笑ってた。最高にハイだった。
帰還して、熱い風呂に入って、冷えたコークを飲んで、 ごきげんで、カウチにもたれて 予約録画してた「おしゃれキャット」なんか観たりして。
割り切ってたんだ、仕事だって。
俺が爆破した建物の中にだってきっと猫はいたのに。
そして俺はそれに気付いちまった!

なっちゃいないと笑われるのはいい。本当だから。
甘いと叱られるのはいい。本当だから。
弱すぎるとしごかれるのはいい。本当だから。
でも、俺をあんたに縛り付けるのだけは勘弁してくれ。
俺はあんたじゃない。
もう何も知らない猫を殺したくないんだ!



「どういう意味だこの野郎!」

手袋をはめた強健な手が、実の甥に良く似た、 しかし数倍も不遜な笑みを浮かべた青年の胸倉を掴む。

「言った通りさ隊長さん、リキッドは自分で新しい島の番人に志願したんだ。 大方血みどろの手洗うのに嫌気がさしたんだろうさ。 いいかげん現実直視しろよ。チューネンは頭固くっていけねえや …おっと、うるわしのサービスは別だけどな!」

「…」

「わかったら離せよ」

そして会話は途切れた。
語るべきことは、もう何もなかった。



さようならだ、新しい生活が待ってるんだ。
俺のことなんか忘れてくれたっていいだろ。
使えねぇ奴だって言ったじゃないか。
あんたは痛くも痒くもないはずだぜ。


どうしてこんなに涙が出るんだ?
あんた俺に何をした?
喉が詰まるんだ。
顔が熱いんだ。
体が震えるんだ、あんたと離れるってだけで!



息の仕方も忘れちまいそうなんだ。


つらいよ、
あんたがあんまり俺にそっくりだから。