どうする?日本企業 三品和弘 著 
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モノ作り神話に物申す


テレビや紙面で活躍(?)する著名な学者先生たちが、橋本市長に滅多切りされて撃沈する昨今。学者目線との断りを入れた日本企業の分析本が登場した。

データに基づいた分析から導かれる学説は、斬新かつ平易で大いに納得いくものであった。いわく、日本企業の地盤沈下が始まったのは、失われた20年ではない。戦後復興と高度成長を取り違えている。成長するために戦略を立てるのは本末転倒。そして、十把一絡げに唱えている、新興国市場への進出に潜む大きな勘違いを喝破する。などなど。

それぞれのテーマにセイコー、ヤマハ、新日鉄など、日本企業の成功とその後の痛みを事例として紹介している。対照的に、海外企業は戦略の成功例として登場する。ヤマハとまったく対照的なアプローチでスタインウェイに立ち向かったファツィオリ。日本型社長人事と異なり、新規事業の成功者が登り詰めて会社をリードするGEのトップ人事。

モノ作り日本の伝説が生まれたのは、1980年の日米半導体セミナー席上での爆弾発言だったという。以来、自動車や家電製品に至る高性能神話が世界中に浸透した。このモノ作りを確立したのが大量生産による反復勉強効果。その背景が高度成長という名の戦後復興。何しろ、モノが無い状態の社会に、一気にモノが溢れていく過程なのだ。その後は利益無き拡大に等しいまま現在に至る。

ラストリゾートして語られる新興国市場は、例えば現在の中国を30年前の日本になぞられると驚くほど状況や課題が似ていることに気づく。つまり、モノ作りだメイド・イン・ジャパン・ブランドだからって、何でもかんなでも簡単に入り込める相手ではないのだ。そのような分析もないまま、成長することだけを目標に掲げた戦略に添ってひた走る。そんな状態でいいのか、日本企業よ、というわけだ。

とても勉強になった。「デフレの正体」に通じるね。

(2012年2月)

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