地の底のヤマ 西村 健 著 
★★★★★

大牟田弁の濃い世界

三池炭鉱のある大牟田。炭鉱を巡る人々と大牟田生まれの警官の生き様が、実に色濃く緻密に描かれる。

物語は、主人公の警官が着任してまもない昭和49年から、定年を間近にした現在に至る4つの時代区分で構成され、三池炭鉱の歴史を縦軸に、それぞれの時代の殺人事件が横軸として展開する。三池炭鉱と大牟田の歴史が実名や事実を織り交ぜたっぷりと語られる。創作キャラにも実在のモデルがいるらしい。

ハードカバーで二段組にびっしり文字の詰まった860ページ。とてつもなく重たい本だけど、内容はもっと重い。重いけれど熱く逞しい。そして人間の脆さや人間関係の綾が匠に織り込まれており、物語性も十分。ぐいぐいと引き込まれて読み進めるうちに、読了してしまった。

最大の謎は、主人公の父親が犠牲になった殺人事件。死因が明らかにされた時点で読者には犯人が分かってしまうが、その先にまだ二重三重の物語が用意されている。最後は子供オチで来るか〜と首をかしげたけど、そこに至る伏線を思い起こすと、長い長いドラマの終点として相応しい締め方だと納得。女の子である理由もそこにあるのね。

いや〜、久しぶりに読み応えのある小説に出会った。読み終わって、感無量!

Back  Top Next

(ネタばれ要注意!!)

映像コンテンツあれこれ

観聞き読んだもの