補足・リサーチとは 2003/12/26
リサーチをすすめること、考えをまとめること、ウェブ上に更新すること。
これらはそれぞれ労力のいる作業です。しかし、リサーチ・オン・リサーチを
終えたとき、みなさんは必ず新しい力=思考回路を見につけていることでしょう。
●リサーチとは何か
平たく言うならば、研究とは、自分の考えを筋道立てて追求していくことです。
思い付きやアイデアは一過性の感情の産物ですが、対象の社会的背景に光を
当て、さまざまな視点からテーマに切り込んでいくことによって、客観的に対象を
把握することができます。デザインなり作品なり、人を説得する力のあるものは、
背後にしっかりとした文脈があるものです。
主観と客観を織り交ぜながら、独自の論を張る。 それを論文と呼びます。
しかし、ここでは論文ではなく、リサーチ(研究)の仕組みを覚えながら、筋道の
立て方を学んでいきましょう。研究を通じて研究方法を体得する。
それがリサーチ・オン・リサーチのねらいです。
興味のあるものをとっかかりにして、その背後のストーリーを(歴史から、
個人的視点から、客観的評価から、社会的解釈から、トリビアの泉的コメントから)
いろいろな角度から語ることができるようになったとき、あなたは既にその
テーマに関して、一家言ある人(通じている人)になっているはずです。
自分の興味のあるテーマに関して、誰よりも詳しい人になってください。
●結論はどのようにまとめるのか
真面目に取り組むならば、研究の道は、厳しく、険しく、そこに終わりはありません。
深遠なる人生は長く、授業期間は短いのです。(Art is long, Life is short.) なんて
おどしてもしょうがないですね。
リサーチ・オン・リサーチですべきことは、
何がわかったのか、そして 何がわからなかったのか、を明らかにして
その結果、自分がどのように思ったのか をつづること です。
そんな当たり前のこと、と思うかもしれません。しかし、それが、現時点での結論
です。あるテーマに関する自分のリサーチの結果なのです。
なぜ、自分がある事に興味を持ち、そのことに時間をさき、お金もつぎこみ、それに
関わることによって、より楽しい気持ちになるのか。その思考の流れを、
「〜だから、〜は〜なのだ。」というインスタントな定義として言い切ってください。
あるテーマに関する研究の結論とは、自分なりに物事を解釈して、その結果を
宣言することなのです。遠慮なく、どうぞマニフェストしてください。
恥ずかしい?自信がない?何を言っているのですか。自分の好きなことに関して、
(短期間ではあるけれども)いろいろ調べたのですよね?人より詳しいですものね?
その結果を公開しましょう。
●欲しいのは、ブツとストーリー
作品が「ブツ(物体)」ならば、研究は「ストーリー(思考のフロー)」です。
ブツとストーリーはそれぞれ補完しあう存在です。我々は結果としての「作品」の
成果に気をとられがちですが、講評での質疑応答や就職面接など、人生のさまざまな
局面において問われるのは 過程(プロセス)と姿勢(取り組み方) である
ことを覚えておいてください。人は、「なぜ、そのように考えるのか」という理由と、
「他の可能性を検討したのか」という可能性を常に探るものなのです。たとえば作品の
講評会では、そんなことばかり聞かれることでしょう。しかし、リサーチ・オン・リサーチ
に取り組んでいれば、少なくとも10の先行例に関しては答えることができます。類似例?
知っています。応用例?そんな可能性もありますね。参考例?今後その方向性も検討します。
テーマの骨子となる5W2Hが明らかになっていれば、どんな肉付けも可能です。あらゆる
アドバイスは、自分のストーリーを補強する手段だと考えてください。
●リサーチは未来に先手を打つ手段
イメージとして、ブツ(作品)がリンゴの実ならば、ストーリー(研究)は樹木そのもの
です。リンゴという成果も重要ですが、どのようにリンゴが実ったのか、その背景も重要
なのです。西暦2004年を迎えようとする世の中で、新しいデザインを作り出すのはそうそう
たやすいことではありません。「それ、××で見たことがある」「同じようなことを○○が
作ってました」そんな一言に打ちのめされないでください。
リサーチ・オン・リサーチで既存例、類似例を調べてきましたね?
これまでとは、どこが違って、どこが似ているのか述べることができますね?
リンゴ単体の出来栄えで争うのではなく、背景となるオリジナルの樹木で勝負しましょう。
単なるリンゴに見えるかもしれませんが、実はパイナップルの木になったリンゴなのです。
そうなると話は違ってきます。たとえ、大風で実を全部落とすことになっても、ゆるぎなく
大地に根をはり、新しい実をつける樹木であってほしいと思います。
●それでも、何からまとめて良いかわからない時は
まずは、手順に従ってリサーチを開始しましょう。
研究とは、もやのように広がる対象に、ラベルを貼って分類し、一定の箱の中に
すっきりとおさめる活動 のようなものです。
頭の中で漠然としていることも、文章に書き出してみると、案外、分類できる
ようになるものです。わからないなりに、まずは始める。それが大事です。
初めて取り組むリサーチというものを、リサーチしていきましょう。
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