| 教授 |
今日は、この事例を基に、第三者による弁済について議論しましょう。まず、Aの友人であると称するEがBを訪ね、Aに代わって5,000万円を弁済したい旨を申し出たとします。Bは、A本人から弁済を受けたいとして、Eからの弁済を受領することを拒否することができますか。 |
| 学生ア |
Eの弁済に先立って、AとBとが、A以外の者による弁済を許さない旨の意思を表示したといった事情がなければ、第三者による金銭債務の弁済は、有効です。したがって、Bは、弁済の受領を拒否することはできません。 |
| 教授 |
それでは、DやEは、債務者であるAの意思に反して弁済することができますか。 |
| 学生イ |
債務者に代わって第三者が弁済した場合には、その第三者が債務者に対して求償権を持つことになりますが、その第三者が債権者以上に過酷な求償権の行使をすることがあり得ますから、債務者の意思に反して第三者が弁済することはできないとされています。したがって、DやEは、Aの意思に反して弁済することはできません。 |
| 教授 |
保証人であるCは、Aの意思に反して弁済することができますか。 |
| 学生ウ |
保証人には、催告の抗弁権と検索の抗弁権とが認められていますから、弁済が主債務者の意思に反する場合には、保証人は、債権者の請求に対し、まず、催告の抗弁権と検索の抗弁権とを行使する必要があり、それが効を奏しなかった場合に限り、弁済をすることができます。 |
| 教授 |
第三者によって弁済がされた場合には、第三者の求償権を確保するために第三者が債権者に代位する制度が認められていますが、この弁済による代位が認められるには、第三者が弁済して債務者に対する求償権を取得したことのほかに、どのような要件を満たす必要がありますか。 |
| 学生エ |
弁済をすることについて、正当な利益を有するか、又は債権者の同意があることが必要となります。したがって、Cは、弁済によって当然に債権者であるBに代位しますが、Aの友人であると称するEは、正当な利益を有するとはいえませんから、Bの承諾がなければ代位することはできません。 |
| 教授 |
それでは、Aの知人であるFがAのBに対する債務を自己の債務と信じてBに弁済した場合には、Fは、Bに対して交付した金銭の返還を請求することができますか。 |
| 学生オ |
他人の債務を錯誤によって自己の債務と誤信して弁済した場合には、他人の債務として弁済したわけではないので第三者による弁済としての効力はありません。したがって、Fは、Bに対し、弁済した金額につき、不当利得として返還を請求することができます。 |