カーミクサシの半洞窟
荒波を飛ぶアジサシの群れ
エリグロアジサシの卵 【今日の料理】 あばさー汁
あばさーを捕える
背中から開いて皮を剥ぐ
肝をつぶさないように 取り出して煮込むだけ
できあがり! チト、不気味! |
いきなり7日目である。 島に到着した翌日の台風は初めての体験だったので、ス ゲースゲーと呟きながら一晩中宿から窓の外を眺め、飛ば されたモクマオウの枝や葉がバチバチぶつかる様子に不謹 慎にも感動していた。 しかしその後も台風一過とはいかず、雷や強風で舟を出 せずにさすがに焦りだしていた。 群馬のカミナリはドーンと鳴って、ザーッと降って、1 時間もすればいなくなってしまうのに、こっちでは一晩中 だらだらと締まりなく鳴っていた。 今日になってやっと強く吹き荒れた風が止んだ。まだ リーフの外は激しく波立っているが、内はさざ波程度だ。 テントの入り口から真正面の沖に、こちらに白く輝く魅 惑的な砂浜を見せた小島がある。地形図にはカーミクサシ とある。 所在なくそれを眺めていた日々からやっと解放されるの だ。クーラーボックスにビールをたっぷりと詰めて漕ぎ出 した。 一週間もお預けを食らわせられた愛艇ピリカネーネーも 水を跳ねるように進み、ほんのわずかでその砂浜に上陸し た。 引き潮の時間帯で大小いくつものタイドプールができて いた。 島の反対側に回るとそこはリーフの縁で、大波が音を立 ててぶつかっていた。その激しさが創りあげたのだろう、 岩を削って二つの庇が寄りかかったような半洞窟が空いて いた。奥には打ち寄せられたペットボトルや珊瑚の破片、 流木などがあり、野球用の浮き球も3個あった。どれも試 合に使えるいわゆる良球なのでさっそくゲットした。 小島の上部はエリグロアジサシのコロニーになっていた。 襟黒というが、何度見てもデーモン木暮のような目の周り の隈取りに見える アジサシは俺の姿を見つけると一斉に飛び立ち、ギャー ギャーと声をあげた。奴らのいた場所まで行くと、岩棚の 小さな窪地には岩と同じ柄の卵がそこここにあった。巣な どはなく、まるで誰かが無造作に置いたようだ。 てーげーの精神は鳥にまで生きていた。 タイドプールに潜るとあばさーがいた。パドルで突っつ くと敵はまん丸に膨れあがり、針を突き立てて威嚇のポー ズを取った。しかしそれがこっちの狙い目で、ヤツは膨れ たおかげでスバヤク泳いで逃げるということができなくなっ てしまうのだ。 それをホッケーのように叩いて少しずつ浅瀬に運び、炉 端焼きのようにすくい上げてイッチョ上がり。 短気は損気、彼は人生の教訓を身を挺して教えてくれた のだった。 陸に上げてもしばらくはふくれっ面をしていたが、その うちピューと音を立ててしぼんでしまった。 |