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中国陶磁器インターネット美術館
ニシキ・コレクション The Nishiki Collection |
日本人と中国人の、美意識の違い。
その一
日本と中国で毎日食事に使っている陶磁器の食器について考えて見ましょう。まず皆さんが、「中国の人は私達日本人と同じ様な物を使っている」、と思ったらそれは違いますよ。普通中国の一般家庭の食器は、白い無地の質素な陶磁器がほとんどです。もっと所得の低い家庭では、アルミやプラスチックの食器も使っています。大皿に盛った味の付いた料理を、小皿に取って食べるのですから種類も少ないのです。ですから醤油の小皿、味噌汁の碗なども家庭ではあまり見かけません。
では高級な外食店や中華料理店ではどんな食器を使っているのでしょうか。多くは西洋料理のレストランで使うような、同じ模様のセット物を使っています。景徳鎮で作っている青花『日本では染付』や、五彩などの彩色の器は、食事の時にまず見る事ができません。景徳鎮で作る物は骨董品の複製や美術品で高価な物が多く、食事用の器などはあまり作っていないのです。
こんな話をインターネットで見ました。日本に始めて来た時の中国女子留学生の話です。「日本の家庭やレストランでお客さんを接待する時、料理の食器は不揃いで色々な種類がある、半端物を集めた様で失礼でないか、と初めは思った。」と書いてありました。
日本人には考え付きませんが、この様に中国の人が思うのも一理あります。もともと中国で作った宣徳の青花、成化の豆彩、万暦の赤絵、清の五彩、粉彩などは、作った年代が違います。ですからこれらの物を初めて作った時は、その時代の物でセットし、テーブルに並んだはずです。いろいろな年代を表す特徴のある物を、一つのテーブルに交ぜて並べる事は中国ではまず無いでしょう。
中国では今も昔も秩序、規律が強く求められます。食事の時の上下関係などにそれが特に現れます。テーブルの上も整然と並んだ食器を使います、何事も中国では乱れる事は嫌いなようです。
その二
日本人の好きな陶磁器と、中国人の好きな陶磁器は少し違うようです。 日本の美術舘には、元の青花、万暦の赤絵、明末の古染付などの、良い物を沢山収蔵してあります。又骨董店などで取り扱う中国陶磁器は、ほとんどこれ等の物です。しかしこれらを作った中国には良いものは少なく、美術舘、骨董店などでは、あまり見ることが出来ません。 たぶん日本人が好きな物だから、私たちの先輩が沢山集めてしまって、中国には無くなっているのでしょう。もともと中国人はこれら年代の陶磁器は好きではないので、簡単に手放したのでしょう。 中国は国が大きく発展し良くなる時代と、乱れて悪くなる時代があります。日本人が好きな物は、元の青花や万暦の赤絵など発展前の物や、明末の古染付けの様な国が乱れた時の物です。これらの年代の物は技術は良くないが、素朴で人工的でない自然な感じの物です。私たち日本人はそれが好きなのです。
では中国の人はどの様な物が好きなのでしょう。 それはやはり明初の永楽、宣徳、成化と、清代の康煕、擁正、乾隆の物でしょう。この時代は国が大きく発展し良い製品が出来た時です。ですからこの時代の物は中国の美の特徴を現しています。それは人工の美です。同じ絵を二度描く、規則正しい模様を描く、左右対称に描く、同じ物を二個作る。これは偶然出来たり、自然に出来た物で無い、人工的に作った美です。それが中国の人は好きなのです。 こんな話を中国の友人がしていました。『中国の収蔵人、『マニア』は、好きな物は手放さない、国の美術舘にも良い物は無い、良い物は個人が持っている。』と言っていました。この考えにも一理あります。中国は公より個の方が強い国ですから。