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「ど、どちらのケーキを召し上がりますか」
「え、あ、その端っこのレモンのやつを。半分でいいから」 箱の中でも、大きめのケーキを示す。 甘いものは好きだけど、紅茶もなしに丸々一つはちょっと重い。かといって、他のではちょっと足りない。残り半分は、夜にでも食べればいいだろう。 「はい、分かりました」 半分とお願いしたのに、ティルダさんは全部を紙皿に移してしまった。そのまま箱を閉じてしまう。 「あれ、ティルダさんの分は?」 「私は後からいただきますから」 ティルダさんは言いながら、紙皿の上でケーキを半分にする。なぜか頬が赤くなっている。 首をかしげて見守っていると、さらに小さく切り分けて、その欠片をフォークに乗せて、そして、僕の方に差し出した。 「……ど、どうぞ」 「……え?」 思わず、ティルダさんの顔を見つめてしまった。 「……どうぞ」 顔を伏せ、でも赤い頬をしたままもう一度言うと、フォークを僕の口元に近付けた。その下には、落とさないように添えられた白い手の平がある。 「若様、その、あーん、してください」 |
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日々の中で少しずつ変わっていく、二人の関係。
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「以前から、考えていました」
すぐ隣から僕を見つめる瞳が揺れている。 「私は、若様のお役に立てているのでしょうか」 そんなの、決まっている。 「もちろん。僕にとって必要な人だよ。ずっと前の、カフェで再会した日から、とても感謝してる」 この気持ちをどう言ったらいいんだろう。酔っている頭では、うまい伝え方が浮かんでこない。 ティルダさんは、僕の方へ身体の向きを変えた。 「若様にとって、私はどんな存在なのですか」 |
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そして訪れる、転機の日。
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「そりゃ、今日は記念日だからね」
「記念日、ですか」 僕は首をひねる。今日という日に何か特別なことがあったという記憶はない。 引っ越しの準備は僕の荷物が残っているし、領地の館でやるお披露目の用意も、当然ながらまだできていない。 強いて言っても何もない。 僕の表情を見て、少佐は苦笑した。 「いや、君じゃないよ。あるのは私の方」 手を頭の後ろで組んで、身体をソファへ預けた。 「ここから遠い場所へ転属するんだ。その記念さ」 |
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「僕」とティルダさんと、一匹の猫の話。
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完結編。
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「冗談なんかじゃないよ。あの夜と違って、私も君も酔っていない。今度こそ、あの夜を現実のことにしたい」
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「いってらっしゃいませ、旦那様」
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発行日:
2011年 コミックマーケット81(予定)
頒布スペース:
12/31 土曜日 東4 レ-17a 「boox」 委託先:未定
タイトル:
「Maid & Earl 3」
サイズ:
A5
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