相馬裕子ライブ・レポート<2005年10月8日>
「相馬裕子のCHEERS!」(K-MIXエフエム静岡のラジオ番組)10周年イベントとして、10月8日に
ライヴが、9日にパーティが浜松であり、遠路はるばる参加してきました。普段の僕を知る人々
には、僕がそこまでするというのは意外なことと映るようです。
ライヴはすごく感動しました! 残念ながら、僕にはその感動を表現する言葉がありません。他の
ページをご覧になればわかるように、僕は論理で固めた言葉にはかなりの自信を持っています。しかし、
細やかな感情を表現する言葉は僕にはないのです。力強くて繊細なボーカルは、ライヴでは一層の迫力
を持ちます。いつにない感動でした。
普段、CDで相馬さんの音を聴いていると、その作品世界を視覚化しながら(情景を思い浮かべながら)
聴いてます。その点では相馬さんの容姿の美しさは、ライヴではむしろ邪魔になることがままあります
し、今回もそれはありました。でも、今回は歌うときの表情が印象的でした。特に、
切ない曲や悲しい曲のときの表情が。相馬さんは僕の2歳年下、もう若くはない、おとなの女性として
の成熟を意味しているのでしょうか。
印象に残った曲たちをいくつか。冒頭は「CHEERS!」です。ラジオ番組のタイトルになっている曲なので
当然なのですが、実は僕はこの曲を聴くのが久しぶりでした。これは1996年発売の同名のミニ・アルバムに
収録されている曲なのですが、僕はこのミニ・アルバムを聴くことがあまりなかったのです。嫌いとい
うわけではありません。ライヴは音が大きいため、聴覚の調整が、ライヴに慣れない僕には要ります。
この曲の間は、聴きなれない曲ということもあって調整に手間どってしまいました。アンコールの1曲目
の黒川ソング(仮)も初めて聴く曲のため聴覚の調整が難しかったな。「お嫁さんがほしい」では、そ
のコミカルな内容にやっぱり笑いが。相馬さんの友達の、僕の大学の後輩(女性)がこの曲を聴いて、
「女が『お嫁さんがほしい』って言い出したらおしまいだよね」とかと、軽口を叩いていたのを思い出
しましたが、僕は好きです。ついつい、女性と男性の
ジェンダー役割の問題は、と得意な方面にも考えをめぐらします。好きな曲は
ライヴで聴くとまた特別なものがあり
ます。好きな曲は「これからも」「お参り」「LION in the ZOO」「東京の空」「風の祭日(Reprise)」
といったところが演奏されました。こういった曲のときに、涙腺がゆるんだこともありました。「東京
の空」はバラード調のアレンジでした。アルバム『愛が教えてくれたもの』の発売時には、イントロの激
しいドラム音に驚いたファンも多かったと当時のファンクラブ会報が伝えていたことを思い出しますが、
僕はボーカル部分はいつもの相馬サウンドだったので、そうでもなかったのです。アルバムの力強さは
好きですが、バラード調もまたGood!。アンコールの「風の祭日」はRepriseのアレンジだったのに感激。
僕はこっちの方が断然好きです。意外なエピソードとしては、「さよならの風景」は相馬さんにとっては
お母さんの実家のある静岡県掛川の風景だということでした。掛川は僕の学生時代の仲間(先年、若く
して亡く
なりました)の出身地。行ったことはないのですが、ちょっとセンチメンタルになりました。
変な話ですが、「相馬裕子は実在する!」という感慨を持ちました。
大分にいると、相馬さんを知る人にさえ会いませんし、ラジオから相馬さんの曲が流れてくることも
ありません。ファンでいることも不確かな感じがしていて、バーチャルなものに似たイメージを持つよう
になっていたのだと思います。
僕はこんなに相馬裕子の音が好きなんだ、ということもあらためて実感。僕にとって、実感は認識上
で大きなウェートを占めます。その実感を肯定したくて、いろいろと論理づけを僕はしているのです。
ライヴでの相馬さんの衣装は、いずれオフィシャルホームページに掲載されることになるでしょうが、
おとなの女性のセクシーな部分を強調するものでした。相馬さんはいつまでもロリータでいるような
気がしていた僕の欲望を自覚しました。相馬さんの容貌はまだロリータでいられるものでしたが(ご本
人にはそれはむしろコンプレックスなのかもしれません)、そうはいかないということもわかります。
ライヴの聴衆に女性は数えるほど。相馬裕子の音はセクシュアルなものなのだと思います。そういう
僕の、相馬サウンドへのセクシュアルな欲望を並べるのは露出狂的でしょうか? 包んでくれそ
うな母性、主張する力強さ、繊細な感情表現、切なさや哀しさの表現による自分のコンプレックスや
悩みの肯定と癒しなど、いずれも僕が女性に求める要素が相馬さんの音にはあふれています。それは、
おそらく男性により強く響くもので、その意味ではセクシュアリティにあふれるものなのだろうと僕は
思います。相馬ファンでこのことを自覚するのは難しいかもしれませんから、むしろ相馬ファンから
反発を受けるような物言いかもしれません。このセクシュアリティは、洋楽に見られるような、わかり
やすいセクシーさに背を向けるところにこそ、その核心があるからです。オタクたちの「萌え」と同根
だと言えば、やはり反発を受けるでしょうか。しかし、少なくとも僕は明らかに相馬裕子さんの音に
萌えているのです。
2002年にNHK-FMの「サタデーHOTリクエスト」に相馬裕子さんが出演・演奏したとき、パーソナリティの1人
の杏子さん(元バービ−ボーイズ)が一般観覧席の相馬ファンを見て「うっとりと聴いている」という
感想を漏らしました。やはり、うっとりと聴いていた僕は、鏡で自分の姿を見せられたような気持ちに
なり、正直なところ気分を害したことがありました。
今度のライヴとパーティの参加者の風貌に、僕は鏡を見ているような気がしてなりませんでした。
30〜40歳前後、あま
り手入れされていない黒い髪に、必要最低限の地味な服装の男たち、そう、一言で言えば「電車男」風
の同年代の男性のひとむれ。僕自身は、このあり方にコンプレックスを持ちながらも、それを改める
意欲も能力も
持ち合わせず、自分のそういう面を自己嫌悪してきました。僕がこれまではファンクラブのイベントに
参加してこなかったのは、「鏡」を見るのが、自分のコンプレックスに向き合うのが嫌だったからです。
9日のパーティでは、「同好の士」との交流を持ち、それは充分に楽しいものでした。しかし、僕は
そのことにアンビバレント(二面的)な気持ちを持っています。
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