ノート5




レノンの思想

ジョン・レノンオノ・ヨーコ『ラストインタビュー』という本を読んだ。すごく良かった。このインタビューは文字どおりジョン・レノンが暗殺される直前になされたインタビューだ。全部インタビューで一冊の本になっている。

ジョンがビートルズの曲を一曲一曲解説するのが興味深かった。ほとんど書きなぐった曲が多いということだ(だめな曲ということではないと思う)。曲には満足してないものが多いという。曲は良くても、アレンジ、仕上げ、レコーディングに対する不満が各所に出ている。

ポールがジョンの曲を無意識的に壊したとも言っている。中盤以降はポールとの音楽意識の違いがはっきりしてきたことが分かる。最後のほうのポールの曲(レット・イット・ビーやホワイトアルバムの曲)は自分とまったく関係ないとまでいっている。ウイングスで出してもよかったと。アルバムとして一つにまとめられているが、ぜんぜん統一性はなかったようだ。それがポップスのおもちゃ箱のようで魅力的なのだが。

だからといって、ビートルズを否定しているわけでもないようだ。ただ、人はビートルズのことしか訊かないから、うんざりなんだろう。オノ・ヨーコと出会ってからジョン・レノンは変わった。それはこのインタビューでもはっきり出ている。オノ・ヨーコの影響を無茶苦茶うけているとレノン自身なんども言っている。


ビートルズ時代の曲に対して、嫌なのは作っているところが多いということだ、という。それはインスピレーションが自然に出てきて出来た曲ではなくて、こしらえた感じがある、ということだろう。ヨーコと出会ってからは変わった。もともとこしらえる感じは嫌いなんだと思う。自然に出てきたもの、そういうものに美を感じるのだろう。シンプル。ヨーコと出会ってより曲が、生き方がシンプルになっている。これ以上ないというぐらいシンプルだ。白いという感じ。純白という感じがする。



ヨーコと出会って本当に幸せそうだ。ヨーコに母親を見ている感じがする(男はそういう部分は多少なりともあるが)。子供のころ、母親と離れて暮らしていた、そして思春期に母を亡くした。そういう母の愛情に飢えていたところがあったと思う。それが反抗的な態度、皮肉屋の彼を作ってきたところがあるだろう。そういう部分が、ヨーコと出会ってからなくなった。満たされたんだと思う。余計な感情を持たなくてすむ。贅肉がそぎ落とされていく感じ。

愛に満ち溢れている。そしてポジティブだ。70年代、そしてインタビューは80年。革命、運動、そういう時代。ヨーコとジョンも運動をしていた。彼らは暴力的な革命を否定する。それは自分自身がエゴイスティクで暴力的なのを身にしみて分かっているから、という。

戦争反対。ベトナム戦争。彼らは反戦の広告を出したりした。911テロのときもヨーコは広告を出したみたいだ。念じること、祈ること、求めること、人の目に平和を触れさせること。そういうことで平和を広げていくことの大切さ。

運動とかそういうものに関して、それだけではなく全てに対して、人に頼る、依存することはだめだ、と繰り返しいっている。ビートルズのことを訊きたがる、賛美する連中はビートルズに依存している。そういうのはだめだ。運動のリーダーに依存する。経典に依存する。そういうのはだめだ。自分の足で立て。自分で考えろ。自分で決断しろ。

いまジョン・レノン、オノ・ヨーコの思想は大事だと思う。荒れてくる時代、先が見えない時代、戦争という無差別、大規模な暴力、テロが噴出する時代。こういう時代にレノンの思想は最高の手引きになってくれると思う。


・・・A very Merry Xmas
And a happy New Year
Let‘s hope it’s a good one
Without any fear
And,so this is Xmas
For weak and for strong
For rich and poor ones
The world is so wrong
And so happy Xmas
For black and for white
For yellow and red ones
Let’s stop all the fight
A very Merry Xmas
And a happy New Year
Let‘s hope it’s a good one
Without any fear
And,so this is Xmas
And what have we done
Another year over
And a new one just begun
And,so happy Xmas
We hope you have fun
The near and the dear one
The old and the young・・・

               『HAPPY XMAS(War is Over)』

ジョンは「人類」という理念をはっきり持っていたと思う。クリスマスソングは沢山あるし、毎年のように作られるが、これ以上のクリスマスソングを私は知らない。





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