2002年04月13日(土)
課長サンから「PEコンパクト」を買えと言われた珍念です
皆さんコンニチワ。
インターネットの事だけ考えると、やっぱ普通に電話引くよりああいうのが
いいのかな? 誰か教えて。
今日も今日とて仕事中に管理人Mからメールが。
「いつになったらエビエビのテキストをアップするんだええコラ」
なんか原稿を書かないで追われている作家の気分です。
「ネタが無いんじゃあ、どうにかしれ」と返信すると、さすがは珍念の過去を
知る無法半島の黒幕。すぐに水を向けてきました。
「銀玉鉄砲の件は?」
……ああそれがあったねぇ。
管理人M、伊達に「花の自然のサンクチュアリ」なんて恥ずかしい通り名の
職場で働いていません。
今にも変な鎧来た奴らが攻めて来そうな気配全開じゃないですか。
そんな訳で、今日は珍念が純真だった少年の頃のお話です。
空気銃、またはガス銃を人に向けて撃ってはいけません、というのは大人の
詭弁だとは思いませんか突然ながら。
だってアレ、ホンモノがそもそも人に向けて撃つもんじゃないですか。
十数年前の小学生達はそんな詭弁に騙される事は無く、無垢な笑顔を引っさげて
原っぱを駆け回り、獲物に銃口を向けてゲラゲラ笑っておりました。
銃口の向こうにはやはり笑いながらも、どこか顔を引き攣らせて逃げ惑う珍念。
バブル崩壊前。日本にまだ無駄に勢いがあった八十年代。
……。
――ってアレ? もしかして俺いじめられてた?
……まあもはやセピア色に染まってしまった過去の真実にうっかり気付いて
しまったのはともかく、そういう銃は玩具としてはやや高めの品物です。
中には親御さんからお金を出してもらえずに、泣く泣く銀玉鉄砲でそんな
プチサバイバルゲームに参加する猛者もいました。
銀玉鉄砲と空気銃。自衛隊と徳川軍以上の戦力差です。空気銃でメッタ撃ちに
された銀玉小学生達(珍念含む)は、大東亜戦争なんか体験しないでも
精神論で物量の不利を乗り越えようとする事の愚かしさを悟っていくのでした。
「やっぱ火力だよな火力」
子ども達もまた沢山の無駄な事を学んでいた八十年代。
その時代の終末、悪魔に魂を売り銀玉鉄砲の限界に挑んだ小学生が西伊豆に
現れました。
彼の名はナベ(仮名)。
物量の神話を覆した男。
忘れもしない小学六年生の夏。
ナベが持ってきた銀玉鉄砲は、見た目はどこの駄菓子屋にも50円で売っていた
普通の、狙い撃ちされても何の痛みも感じなさそうな玩具でした。
ただ、引き金が取り外されており、ちょうどその部分が空洞になっています。
「なに? どんな風に改造したわけ?」
引き金が無ければ、威力以前に弾が出ません。
「ふふふ」
妖しく笑ってナベがポケットから取り出したのは爆竹。
「これを引き金んトコの穴に突っ込んで、火を付けてBB弾を発射するのだ」
なるほど。
銀玉鉄砲がバネの力を、
空気銃やガス銃がそれぞれ空気圧やガス圧で弾を弾き出すのに対して、
彼が利用するのは火薬の爆発力。
――って言うかさ――。
それって世間では実銃って言うから。
ナベ。小学六年生。
銃の性能にこだわり続け、基本に戻ってしまった男。
「……っておい待てナベ! なんで銃口がこっち向いてるんだ!?」
「ふふふ危ないよどかないと撃っちゃうようふふふふふふふふふふ」
右手の銃をこちらに向けて左手に百円ライター。銃口は珍念にロックオン。
体勢が『当方ニ迎撃ノ用意有リ』です完璧に。
ダイナマイトにしろ原子爆弾にしろ、人間という奴は目新しいブツをうっかり
作っちゃった場合、やっぱ一度は試しに使ってみたくなるんだそうですが。
いつの時代も試される方はたまったモンじゃありません絶対。
「ふはははははは」
導火線に火を付けました。どことなく、というかまんま戦国時代の火縄銃を
連想させます。って言うか弾だけ変えれば威力も多分どっこいどっこいです。
「おおおおお!?」
鋼鉄郎以外の相手に対し初めて死の恐怖を感じる珍念。左右に逃げ惑います。
「いつ発射されるのか解らないのが難点だよね〜」
だよね〜口調の奴に生涯を終わらせられたく無いので、全力で逃げようと背中を
見せた時。
「危ない危ない逃げれ逃げれ逃げれ」
心にも無い事を口走っていたナベの持つ『火薬銀玉』が火を吹いて。
パン、という乾いた音とともに
珍念被弾。
「うぎゃおあああああああああああああっっっつ!?」
激痛にのたうち回る珍念。背中が燃えてる。そんな気がしました。
「……おぉ、すげぇ」
自分の発明の戦火に満足した様子のナベ。凄く嬉しそうです。
これでは、人類が何度も過ちを犯すのも仕方ありませんね。
「じゃ、今度はコレ撃ってみようか?」
もだえ苦しむ珍念をよそに、友達と二人でコカ・コーラの缶に銃口を向けるナベ。
人に向かって発砲してから、実際に威力を確認してみるようです。
順序が逆だろ。
着火。
ぱかん、とマヌケな音がして、田んぼの向こうへ消えていく(見えんけど)BB弾。
気軽に貫通してるしさ。
って言うか俺死ぬかも。
そっと被弾部分に手を添えると、なんか弾残ってるしね。
「……お前……コレ当たり所悪かったら死んでるぞマジで」
「ふはははははは」
薄れていく意識の中で、コイツは既知外だと思いました。
そう思った珍念も今日から背中に銃痕を持つ小学生。
肩書きなら負けないなと思いました。
仮にこの後、この二百円で作れる殺戮兵器が西伊豆の小学生達の間に
広まっていったとしたら一人は人死にがあったと思うんですよ
実際のハナシ(体験者談)。
子どもの戦争ごっこどころか組の抗争にも有効っぽい武器ですから。
幸いな事にナベ、こんな性格なもんで友達少ないから(笑)。
西伊豆の平和は辛うじて守られた訳なのですね。
――あ、今さら言うのも何だけど、良い子は絶対マネすんな。
しばらくして背中の傷は消えましたが、肩骨の辺りを触るとBB弾が入っている
のが手触りで解るので割と素で泣けましたが。
いつの頃からかそんな手触りもキレイに無くなりました。
めでたしめでたし。
……。
――消化したのか俺?