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思いがけず、すばらしいものに出会い続けていたので、有名なヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂にはすばらしいものが満載なのだろうと楽しみにしていた。 ミケランジェロのピエタは、よかった。 それから、天井の、塔のようになっている明かり取り(?)。日光が差しこんでくる。それも、ミケランジェロのであった。(多才なんだなあ) しかし、あとはあまり。目に入ったのは、ハムがまかれたような柱。美しいバラ色の大理石の柱がわたしにはそう見えた。 翌日、寝坊して訪れたヴァチカン美術館・ピナコテカはよかった。フラ・アンジェリコの砂山とか。しかし、ミュージアムショップに飛んでいったものの、法王のグッズや数珠などが売られており、宗教施設の印象であった。 ラファエロは好きになれなかった。天使の絵も、ギリシアの哲学者の絵も。 システィーナ礼拝堂は大きすぎた。人もいっぱいだった。 気持ちが良かったのは、廊下。青空に緑の森が美しかった。狭そうな場所だけど、気持ちのいい森が広がっているようだった。 サン・ルイージ・デイ・フランチェージ聖堂のカラヴァッジョの『聖マタイの召命』、象がかわいいとガイドブックにあったので寄ってみたミネルヴァ教会(?)の祭壇画もよかった。 あと、ブランドの店がならぶ通り。日曜日で閉まっていたけれど、服が美しかった。 サン・タン・ジェロ城のまるみ。 つまらなかったのは、アウグスティヌスの墓廟。日本の古墳みたいな雰囲気だった。世界共通なのかもしれない。 それから、ナヴォーナ広場近くの昔の落書き(?)。なんてことはなかった。 翌朝。出発まで半日あった。ボルゲーゼ公園へ向かった。ガレリアでダ・ヴィンチを見られることを願って。入れなかった。ミュージアムショップには入れた。 公園の端に、白人の子どもをあやす、アジア系の乳母たちがいた。しゃべったり、携帯電話に夢中だったり。その人の子どもは、ほかの人が見ていた。黒人の乳母もいたけど、3人だけ。楽しそうに喋りながら、乳母車を押して行った。我が子を抱いている白人もいたけど、却ってへんな感じに見えた。公園と道路をはさんだ向こう側では子ども達の歓声。幼稚園があるらしい。 オランダの空港でずいぶん待った。ほとんど立っていたので疲れた。歩いていく人を見ていた。断然、黒人女性が美しかった。赤などの原色がとてもよく合っていた。 ヴェネツィアの海っぺたの食事から初めて(たぶん)トラベラーズチェックを使った。クッキーとチョコレート。イタリアではほとんどお土産を買わなかったのだ。ツアーでお店にたびたび(それもずいぶん長くいたのだけど)、手持ち無沙汰だった。イタリアではポストカードばかり買い、写真を撮りまくっていた。現像代だけでも、立派な写真集の値段だった。でも、写真は良くないのだ。 日本に帰ってきた時のことはあまり覚えていない。高速道路は渋滞していて、バスはなかなか進まなかった。 ポストカードばかりを、辞書より厚いくらい買ってきたのを呆れられた。これが自分への、いちばんのお土産だった。飛行機でも機内に持ちこんだ。「バッグでも買ってくればよかったのに。そのためにお金をあげたのに」。似ている出来事があった。出がけに「本でも買いなさい」と1万円札を渡してくれた日のこと。 イタリアに行って来たからといって、何かが大きく変わったわけではない。ただ、いくつかの私の考えは塗り替えられた。 文章で、多様な文化の尊重がいわれていたが、ほんとうに、世界には違う歴史を背景にした文化が存在するのだった。それは、どちらに優劣があるとかではなく、ただ並立している感じで在るのだった。 それから、実際の教会の内部。 教会の音楽。 行って、初めてわかるということがあるのだった。 |