アラビア文字は世界一美しい文字であるという話を聞いたことがありますが、それはアラビア語の装飾文字について述べたことだと思われます。アラビア語の装飾文字は美しく見せるために一定の幾つかの規則や原則に従って書かれていると思われる言わば日本語や中国語における漢字の習字のような物であり、美しく見えるのは当然です。ところで、このような文字は上記の規則や原則をよそに書く人の気紛れで書かれることも大いにあるはずですから、「美しさ」とは裏腹に複雑、難解に見えます。目に映る煩雑さに従いアラビア文字の書き方の種類分けをすると下記のようになるでしょう:
1) 装飾体 効果
: dazzling and baffling
2) 手書体 効果
: baffling and amusing
3) 印刷体 mushakkal(母音付き) 効果
: complicated で速読の妨げになる
4) 印刷体 nggair mushakkal(母音なし)
効果 : simple で速読可能
印刷体 mushakkal はアラビア諸国の子供達、あるいは外国人の大人達がアラビア語を習う時に見る言わば初学者が見る母音付き書体です。一方、この段階の印刷体
ghair mushakkal はアラビア人の大人達が新聞、書籍、雑誌、テレビや映画の中で見る母音なしの書体です。これはあくまでもアラビア語を書く時の話であり、書く時に省略された母音は話す時には勿論復活します。従ってローマ字で表記したアラビア語は下記の通り判じ物になるが、実際にはどのような母音が隠れているのかそれに解読を施してみます。この時、長母音の場合だけ隠れている母音の後に「w」「a」「y」が長母音記号として記します。例えば(u)w
= uu, (a)a = aa, (i)y = ii(ここで()内は隠されている母音):
1) 母音なしで表記される印刷体: Bsm llh
rkhmn rkhym
2) 母音付きで発音される印刷体: Bismi llaahi
rakhmaan rakhiim
アラビア語には三個の母音、「a」、「i」、「u」しかありません。外国語における「e」や{o}という発音は二重母音「ai」や「aw」で表記するか又はemulationにより短母音「i」や「u」を無理やりそのように発音する時のみ発生します。外国語の固有名詞は一般に長母音を施して読み易くします。
例えば:「吉田茂」はy(u)wsh(i)yd(a)a sh(i)yg(a)ayr(u)w
「東京田茂」はt(u)wky(u)w
※()内は隠れている母音です。
アラビア語は母音が数少ない上に、動詞は原形(第一型)以外の各派生動詞(第二型〜第十型)及びその動名詞は極めて規則正しく変化するため母音がなくても読み易いのです。逆に一個一個の母音を拾い読みする必要がなく、パターン認識で読むため速読が可能なのです。実際には英語等の母音を丁寧に全て各言語においても母音を一々丁寧に拾い読みしている訳ではなく、やはりパターン認識しているのです。文字は読むのではなく、自然に目の中に飛び込んで来る物であり、意味も即座に理解されるのです。多数の画数で書かれている漢字もその一個一個の画を個別に認識して漢字全体を読んでないのは周知のことですね。
岩板に文字を刻み込む時代には出来るだけ文字数が少ない方が助かるので母音を書かない習慣が生まれたのだと思われます。又、右利きの人が多い部族の人々が文字を鑿(のみ)で岩板や木版に刻むには自然に右側から左側に刻み進むのは当然のように思われます。鑿が幾分でも過度に左に刻み滑り込んだ場合、次の文字を刻む時に何とか誤魔化せるからです。従ってヘブライ語と同様にアラビア語も右から左に書き進みます。
アラビア語はヘブライ語と同様にセム語族に属し、アラビア語は北アフリカやアラビア半島に位置する複数の国々で話されています。 格変化は3つあり、主格、所有格、対格です。前置詞は所有格に付きます。名詞や形容詞には男性形と女性形の区別があります。名詞には単数形、双数形、複数形、集合名詞形があり、英語と比べると複雑です。例えば「木」は:
1) 一本の木
2) 二本の木
3) 木々
4) 一群の木(林〜森)
となります。