ハンガリー語はフィンランド語に限りなく近い。なぜならばフィン・ウゴル語族に属すからだ。フィンランド語は語順がほぼ完全に演繹言語化、即ち欧州諸語に見られる結論優先型化しており、最後まで結論を述べない悪名高き日本語や韓国語とは大いに一線を画している。しかし、ハンガリー語は目的語を動詞(活用形及び不定形)の前に置く傾向があり、この一瞬、日本語や韓国語の世界に誘ってくれ、日本人や韓国人をホッとさせてくれる。
ハンガリー語は日本語や韓国語と同様に名詞や形容詞の格変化こそないものの後置詞(助詞)を使用するため、文章中の単語の役割が語尾で明確に示されている。但し、主語マーカーとしての語尾は存在しない。逆に言えば、名詞に語尾が付いてなければ、その名詞はほぼ間違いなく主語であると言える。
ついでに日本語や韓国語において日本人や韓国人が誤解している点をここで解説して置く。
「私はコーヒーが良い」。
この文章ではどれが主語か?多くの日本人や韓国人は「私」と答えることだろう。しかし、実際には「コーヒー」が主語である。ならば、「私」は何格なのか?実は「私は」は「私には」という意味で使用していたのである。つまり、与格だったのだ。英語でも「I am good」という発言が「Everything is OK with me」とか「I am ready (to go)」などの意味で言う面白い用法がある。ここでは「私は良い人間だ」というではない。本来は「Everything」を主語に立てるべきなのに「I」を主語に立てている感覚と似ている。
「は」という助詞は「強調」、「焦点」の助詞であり、主語のマーカーではないことを肝に銘じて置くべきだ。事実、この「は」あらゆる格に付き、対格にさえ付く。「〜をは」とは余り言わないが、「〜をば」をば時々聞く。
さてさて、本題のハンガリー語に戻るが、主語のマーカーがでてこないということだから、この場合、ハンガリー語の主語は「絶対格主格」(無助詞主語)だといえる。つまり、「私コーヒーのみたい」のように言えば良いことになる。但し、ハンガリー語では対格まで「絶対格対格」(無助詞対格)にする習慣がないので「私コーヒー"を"のみたい」と言った方がより本格的ハンガリー語に"近い"。このままだと完全に日本語の語順のままだが、ハンガリー語では標準の語順では助動詞は本動詞に先行する傾向があるため、「私コーヒーをたいのみ」となる。さあ、それでは下記の文章を比較しながらコーヒーブレイクにしよう:
「私は コヒーを のみ たい」 (日本語)
(たい = want)
"Chonwn kopirwl mashigo shibta"
(韓国語) (shibta = want)
"Ben kahve içmek istiyorum"
(トルコ語)(istiyorum = want)
"Én kávéT akarok
inni" (ハンガリー語)(akarok = want)
"Minä tahdon juoda kahvia"
(フィンランド語) (tahdon = want)