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噴煙を上げる阿蘇中岳火口。マグマだまりは火口から西へ三キロの草千里ヶ浜南側地下六キロ辺りと判明した。 中岳第一火口を中心とした阿蘇火山の活動は、他の多くの活動的な火山と異なった特徴を持つ。活動の活発化に伴って火口付近で起こる大きな地盤変動が、阿蘇の場合確認できない。

 その一方では常時、火山性微動が確認され、火口から火山ガスが噴出している。須藤助教授らはこうした特長をマグマ供給機構との関連で探った。


 注目したのは、マグマがマグマだまりから移動する際、収縮して圧力が低下する「低圧力源」の存在。その位置を、標高観測のために設置している「水準点」の測量と、地殻の水平変動を見る衛星利用測位システム(GPS)測量の値から推定し、地下観測に有効な地震波伝達速度の計測データと突き合わせた。

 
 

 その結果、低圧力源は中岳火口直下ではなく、火口から西へ三キロ、草千里ヶ浜の南側地下約六キロの辺りに求められることで一致。同地点は従来の観測で地下部の地盤沈降も観測されており、研究チームは、この低圧力源からマグマだまりを導き出した。直径は3〜5キロと見ている。

 この構造から、須藤教授らは「地下のマグマが供給する火山ガスが、出口となる火口へ向かって火道を通過する時、地下水と接触するなどして火山性微動を発生させる」と説明。火道によってエネルギーの通路が常時確保されている「開放型火山」で、このため火山ガスがいつも噴出したり、噴火しても大きな地盤変動が観測されないという。

 須藤教授らは、噴火の仕組みを解き明かす研究に結びつく成果として、火山学会誌に論文を寄稿する。
         (東京新聞 2006 [平成18] 年 1月22日 日曜日)

 阿蘇火山のマグマ供給の仕組みの解明を進めている京都大学火山研究センター(熊本県南阿蘇村)の須藤靖明助教授らの研究チームが、火山活動の核であるマグマだまりの位置について、中岳火口から西約三キロ、草千里ヶ浜の南側地下深部にあることを突き止めた。マグマだまりと火口を結ぶ長い「火道」の存在も分かった。活動中の火山の地下構造を明らかにした例は世界的にも珍しい。

                    

  
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