木曜日〜真夏の白昼の悲劇〜
そう、あれは確か木曜日のことだった。
暑い暑い昼下がり、俺は友人とキャッチボールをしていた。
俺がしゃがんでたらめにキャッチャーのような体勢で奴のボールを受けていた。
俺は野球などまともにしたことがなかったし、捕りのがすということも多々だった。
(思えばこの時点でやめればよかったのだ)
まあそれでもなんとかとっていたが、何度かそれを繰り返すうちに奴の目がふと険しくなった。
(これは・・・速いのが来るな・・・)
俺はそう思った。
案の定、奴がピッチャー、俺がバッターとして対決する時と同じモーションからボールを繰り出してきた。
(低い!)
そう思った瞬間にはボールが俺のミットにかすりもせず、まっすぐに・・・
そう、一直線に我がゴールデン・ボールにジャストミートした。
目の前がまるで雷にでも打たれたかのように一瞬真っ白になり、次の瞬間には耐えがたい激痛が襲ってきた。
痛みに激しく喘ぐ彼の脳裏にある言葉が浮かんでいた。
運命・・・
そうあと数センチボールが高いか低いかならばあたらずにすんだのだ。
運命・・・
あまりにも俗で抽象的過ぎる言葉だが、あるいは人間の、いや全ての物事の確率と言う奴は全てこいつが握っているのではないか?
確率が低いだの高いだのということは言葉の綾に過ぎず、全て運命の名において0か100かの物事しか存在しないのではないか?
彼の脳裏に取り留めのない考えが迷走し
真夏の太陽の下に
彼の体が崩れ落ちた・・・
完