新登場人物

(*゚ー゚) しぃ子さん スーパー2chの女店長





( ^ω^):今日は棚卸しのバイトだお


( ^ω^):ふう。やっと終わったお、早く報告してくるお。

( ^ω^):(あ、店長だお)

( ^ω^):お母さっ…ξ

(*゚ー゚):??

(;^ω^):ごっごめんだお、間違えちゃったお…;;

(*゚ー゚):くすっ、ブーンさんて子供っぽいのね。

(*´つω⊂):(はっ恥ずかしいお…)

(*゚ー゚):お疲れ様、もう上がっていいわよ

(*^ω^):わ、わかったお…失礼しますお


( ^ω^):(あれ、しぃ子さん僕の名前覚えててくれたお?)

ブーン、ちょっと恋のヨカーン






( ^ω^):今日も疲れたお…
僕が更衣室へ行こうとすると、近くでため息が聞こえた。
( ^ω^):………しぃ子さん?
(*゚ー゚):あっ、ブーンさん…お疲れ様
さっきのため息は確かにしぃ子さんのものだったのに、今しぃ子さんはにっこりと笑っている。
( ^ω^):しぃ子さん、何か悩みかお?
(*゚ー゚):ううん、なんでもないの
店員A:しぃ子さーん
(*゚ー゚):はぁーい じゃあね、ブーンさん。また明日
足早にフロアへ行ってしまったしぃ子さんの背中は、やっぱりどこか寂しげだった。
( ^ω^):やっぱり…僕は頼りないお?
しぃ子さんが悩みを打ち明けてくれなかったことが、純粋に悲しかった。






( ^ω^):(しぃ子さん…今日も元気なかったお)
正確に言えば、元気がないというより、心ここにあらずって感じ。
いつもしっかりしてるしぃ子さんだけに心配だお。
僕が更衣室を出たのと、しぃ子さんが休憩室に入ったのはほぼ同時だった。
(*゚ー゚):あら、ブーンさん。お疲れ様
( ^ω^):(し、しぃ子さんに元気を出してもらうため!)あのっ、僕でよかったら悩みでも愚痴でもなんでも聞くお!!
(*゚ー゚):………ブーンさん…


それから一時間程、しぃ子さんは悩みごと――3年同棲していた彼氏が突然出ていったこと、その彼氏に通帳も印鑑も持って行かれたこと、――と
彼氏にたいする愚痴を延々と話した。喋っている間、しぃ子さんは語気を荒くしたり、泣きそうになったりしなかった。
いつも通りの、おっとりとして、それでいてはきはきとした話しかたで喋り続けた。
(*゚ー゚):……もうこんな時間。ごめんなさい、私喋りすぎちゃったわ
( ^ω^):そんなことないお、しぃ子さんが僕なんかに悩みを言ってくれて嬉しいお
(*゚ー゚):…ありがとう。じゃあ私、フロアに戻るわ
( ^ω^):頑張ってお
(*゚ー゚):また、何かあったら話してもいいかしら?
( ^ω^):! もちろんだお。いつでもどうぞだお
しぃ子さんは僕に向かってすっきりと笑った。僕も笑って、早くしぃ子さんから悩みがなくなるように願った。






あれからしぃ子さんは少しづつ元気になっていった。僕に話したことですっきりしたのだろうか。だとしたら、すごく嬉しい。
店員A:しぃ子さん、さっき店の側で柄の悪い男がうろついてましたよー
(*゚ー゚):…そう、気を付けなきゃね。ブーンさんも、気を付けて。
( ^ω^):あ、ありがとだお。
しぃ子さんの表情が曇ったのは見逃さなかった。まさか、ね。


( ^ω^):うぅ、今日はちょっと遅くなってしまったお…
エプロンを外しながら更衣室へ入ろうとしたとき、休憩室の方から声がした。
( ^ω^):(誰だお…?)
ロッカーの影から様子をうかがうと
男:たのむ!俺金ねぇんだよ。やり直そう?な、な?!
(*゚ー゚):いっいや! 離して! あなた私の通帳持って行ったでしょ?! あれはどうしたのよ!
( ^ω^):(…あれは、しぃ子さんの元の彼氏…?)
僕の"まさか"が当たってしまった。男はしぃ子さんの肩と二の腕辺りをがっちりつかんでいた。
男:あんなもんパチンコでパァだよ
(*゚ー゚):最低…やっぱりあんたなんか別れて正解だわ…
男:あぁ?! なんつったかもっぺん言ってみろや!!
男は感情に任せて拳を力いっぱい振り上げた。
( ^ω^):やっやめるお!







ドシャアァ
(*゚ー゚):ブーンさん!?
勢いよく立ちはだかったものの、あっけなく床に倒されてしまった。
( ^ω^):うぅ…
男:なんだぁ、テメーは
( ^ω^):ぼ、僕はブーンだお…しぃ子さんの彼氏だお!
うっかり口をついてでた嘘に、自分で驚く。しぃ子さんは何も言わずに僕に手をかして起こしてくれた。
男:へーえ、だから俺とはやり直せないってわけかよ
男はすごい形相で僕としぃ子さんを交互に睨んだ。
(*゚ー゚):そうよ、もうあなたなんかこれっぽっちも好きじゃないわ。早く帰って。
男:んだとぉ?!言わせておきゃあ…
男はまた拳を振り上げた。しぃ子さんが危ない! そう思ったときにはもう体が動いていた。
(*゚ー゚):ブーンさん!!
やった。今度は倒されなかったお…
男:生意気なヤローだ
(;^ω^):し、しぃ子さんをぶつなんて許さないお… ぶつなら…僕を好きなだけぶつお!!
男:お望み通りにしてやらぁぁぁ!!
血走った目で僕を殴り続ける男は、昔テレビで見た狂犬病の犬に似ていた。
視界の隅で、しぃ子さんが泣きながら男を止めようとしてるのが見える。いいお、僕がぶたれて済むなら、しぃ子さんが傷付かなくていいなら、全然構わないお。








(*゚ー゚):……ンさん…ブーンさん…
( ^ω^):しぃ子さん…
ぼやけているけど確かにしぃ子さんの顔が見えた。それだけで僕はひどく安堵する。
( ^ω^):…僕は、しぃ子さんを守れたお?
(*゚ー゚):うん、うん、ありがとう…
( ^ω^):そうか…よかったお…
自分の手を目の前にかざす。全身あちこち痛いが血はそんなに出ていないようだ。
しぃ子さんのふとももに置かれた僕の後頭部が暖かい。ふいに額に水気を感じる。
( ^ω^):…しぃ子さん…泣いてるお?
(*つο;):ごめんなさいっ…っうく……私の所為で…ひっひっ
しぃ子さんはしゃくりあげながら謝った。僕がかってでてやったことなのだから、謝ることなんかないのだ。
( ^ω^):もう泣かないでほしいお…僕はしぃ子さんの笑顔が見たくてやったんだお…
(*;ー;):……そうね、助けてもらったんだもの。笑わなきゃ。
まぶたと鼻を赤くしながらしぃ子さんは素敵な笑顔を見せた。
(*゚ー゚):……ブーンさん、さっきの嘘、本気にしていい?
さっきの嘘。僕としぃ子さんが、付き合ってる、というあれ。
まさか。まさかだよ。
( ^ω^):し、しぃ子さん…もちろんだお。僕、しぃ子さんが好き……だお。
手をのばしてしぃ子さんの頬にふれる。しぃ子さんはまた泣き出してしまった。
( ^ω^):僕、しぃ子さんを守り続けるお…
嬉しそうに泣くしぃ子さん。こぼれる涙は、僕が見てきたどんなものよりきれいだった。


END