建築ジャーナル中部版 2000年1月号 
(問い合わせ多数の為、建築ジャーナルの許可を
頂いて転載しました)

建て主の期待を裏切るOMソーラー協会(前編)

太陽熱床暖房がシロアリの巣に!?

パッシブソーラーシステムによるエネルギー
自給自足住宅で、いまや「環境住宅の旗手」
として急成長しているOMソーラーハウス。
しかし、このシステムに惚れ込んだ医師が
引き渡しを受けた家は、重度の雨漏り、
建具の不具合、大量のシロアリ・・・と、その
期待を裏切る重度の欠陥住宅であった。
 
たんなる施工のミスでは済まされないOM規格
住宅についてその無責任体制を調べた。

1ヶ月で雨漏り、半年で白アリ発生


1998年4月、市内の病院で医師として働く
Kさんは、2階建て住宅の建築をOMソーラー加盟
工務店と設計施工一貫で契約した。
契約金額は.約4000万円。
仕様はOMソーラー認定規格住宅の「フォルクスA」。


Kさんは、環境に負荷をかけないシステムと
災害に強い住宅であるとの謳い文句に惚れ込み、
また、パンフレットの記載通り、
地元のOM加盟工務店と契約した。


しかし、入居1ヶ月で2階天井と1階キッチンサッシ
より大量の雨漏りが発生した。
Kさんは工事を請け負った加盟工務店に連絡し、
雨漏りの原因を調べたうえで補修するよう
頼んだが、同社の代表者は、調査はせずに
部分的にコーキングだけして帰ってしまった。
OMソーラー協会設立(1987年)からの加盟
工務店ということで信頼していたKさんだが、
いささか不安に思い、OMソーラー協会(浜松市)に
電話で相談した。しかし協会事業本部は、
「加盟工務店の代表は(OMソーラーシステムの)
インストラクターなので大丈夫」というだけで
具体的な助言などはなかった。

それから半年後の99年4月、今度は和室と
脱衣室より大量の羽アリが発生した。
そのときのことをKさんは、「タタミ2畳がアリで
真っ黒になった」と語っている。
そこで、すぐに工務店に連絡したのだが、
「それはオオクロアリです。来年まで様子を
見ましょう」との答えが返ってきた。

この悠長な言葉に愕然としたKさんは、
名和昆虫博物館へ捕獲した羽アリを持参して
調べてもらったところ、「OMの家には絶対出ない」
とされているヤマトシロアリであることが判明。
加えて、「来年まで待つのは危険。床暖房は白アリ
にとって快適な場所ですから」との助言をもらった。

この時点ですでに工務店を信頼できなくなっていた
Kさんは、すぐにOMソーラー協会に相談した。
しかし、応対した同協会ラインヘッドの、
「白アリ駆除は必要無い」「どこの家にも白アリは
います。ただ、OMの家は、(温風の)吹出し口が
あるから出てくるだけです」との答えにまた驚いた。
「OMの家は乾燥しているため、絶対に白アリは
出ません」というのが宣伝文句であっただけに、
これによりKさんはOMソーラーシステムそのもの
にも不信感を募らせていった。

その後も雨漏り、白アリに被害(大量の食害も発
見)は続き、工務店、OMソーラー協会に対し
調査と補修を依頼するが、「原因がわからない.
仕様書にも工務店の施工にも問題はない」として
根本的な調査および補修は行なわれなかった。

また、その1ヵ月後にはロフトに上がるハシゴの
踏み板が外れて小学生の娘が落ちた。Kさんは
すぐに工務店に連絡したが、修理に来たのは娘が
落ちて2日経ってからであった。
ハシゴの修理と同時に、白アリの進入経路などを
調べるため基礎の図面を要求したが、
「家の大きさによって基礎は決まるため、図面は
作成していない」という何とも不可解な説明を
受けるにとどまった。

「協会はユーザー側にはいない」

7月、遅々として進まぬ工務店の対応に、Kさんは
やむなく妻とともに浜松市のOMソーラー協会
本部に工務店を代えてくれるよう頼みに行った。
すると協会から、「クレームの多い工務店に
対しては是正命令を出しますから大丈夫ですよ」
と言われたので、ほっとした気持ちで帰宅した。

そして4日後、「工務店を代えて補修にあたるという
方向で話をすすめる」という協会からの電話が入る。
ただし、その場合の費用は「とりあえずKさんが
支払っておく」というもので、工務店がその費用を
負担するかどうかは後日相談するということで
あった。
Kさんはこの時点で「協会は加盟工務店を保護す
るのみで、決してユーザーの味方ではない」と完全
に見切りをつけたそうだ。

以後、Kさんは弁護士を通して補修の要求をして
いく。また、技術的な第三者として欠陥住宅を
つくらない住宅設計者の会(事務局・名古屋市)
へも調査を依頼、Tさん(T建築研究室)が
Kさんの代理人としてOMソーラーー協会および
工務店と折衝していく。

Kさんは「第三者としてOM以外の設計者に
介入してもらおうにも、『OMのことはわからない』
と言われて断られることが多かった。
また、OM関係の工務店に相談しても立場上
はっきりした答えは得られず、修理や点検を頼もう
にも、『協会からの依頼でないと・・・』として断られ
ました」として、建築の素人である建て主が自分
で折衝しなければならなかった苦労を語っている。

「構造図はない。マニュアルは社外秘」

8月、OMソーラー協会はK邸の瑕疵を認め、
「改修を行い、費用はOMソーラー協会と工務店で
負担する」ことを連絡してくる。ただ、何を基準に
「改修」を行なうのか不明であったため、
Kさんは工事を請け負った工務店に対し、構造図
および地盤調査書の提示を要求した。

しかし工務店から、「OMソーラー協会のマニュアル
にならっているので、構造図は作成していない。
また、地盤改良は経験的データを参考に行なって
いるため報告書はない」と答えが返ってきたため、
今度はそのマニュアルの開示を要求すると、
「OMのノウハウもあり、外部には見せていない」
と拒否された。

その後、「これは生命に関わる問題である」との
Kさんの強い要求の結果、部分的にマニュアルの
開示がされているが、99年12月1日現在、
いまだ全面公開には至っていない。

OMオタクだった建て主

OMソーラーシステムとは、雑誌『チルチンびと』
創刊の仕掛け人、奥村昭雄さん(木曾三岳奥村
設計所)らが開発した、太陽エネルギーを使った
パッシブソーラーシステムである。
「OM」とは「オモシロイ」「モッタイナイ」のイニシャ
ルから命名されたという。

環境問題にも強い関心があったKさんは、
10年ほど前にOMソーラーの全面広告が新聞に
掲載されて以来興味を持ち、奥村さんの本を読み、
構造見学会や完成見学会にも参加し、どんどん
OMに心酔していった。

Kさんの妻は「まるでOMオタクでしたね。知人にも
OMの良さを力説してました」と言う。また、Kさんが
勤務する病院の建て替えにもOMを導入しようと、
奥村さんを講師に招いて講演会を開いたうえ、
院内報にOMの紹介記事まで書いていた。
そんなKさんであったからこそ、今回の協会の対応
には「裏切られた」という気持ちが強い。

「一生かけて支払っていくローンを組んでいます
から、一生かけて戦っていくつもりです」として
あくまでも全面建て替えを要求し、訴訟も辞さない
姿勢をみせている。

後編では、同協会、OMソーラー研究所、欠陥住宅
を作らない住宅設計者の会所属建築士、Kさん夫
妻による4者対談から見えてきたOMソーラー
システムの制度上の問題点などをまとめる。             
         (常名孝央)


中部版 建築ジャーナル 2000−1  No.959
      月刊建築ジャーナル




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