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■ 原子力規制委員会が、全国の原発の過酷事故を想定した放射性物質の拡散予測の試算結果概要を公表したが、計算方法及び条件の設定については、放射性物質の拡散予測結果の範囲が概ね 30km程度になるように抑えるための試算方法・条件設定であると疑問が持たれる。 よって、30km以上の放射性物質の拡散が及ぶ場合に備えて、国民は避難についての覚悟・対応が要求される。
原子力規制委員会が、2012年10月24日に、福島第一規模の原発の過酷事故が全国の16の原発で発生した場合を想定し、放射性物質の拡散予測の試算を行い、その結果概要を公表した。
各原発の拡散予測図は、非常事態の緊急避難としての目安の放射線線量である7日で100ミリシーベルト[mSv]の積算線量を示す原発からの最大範囲の距離を16方位別に表したものである。 詳細について、ここでは略する。 結果図などは、原子力委員会のサイトを参照のこと。
■ 筆者が疑問に思う点について:
原発事故を生じさせる原因は、天災、人的原因・その他、及びそれらの複合が考えられます。
原発からの放射性物質の放出事故に備えた住民避難計画を策定する場合には、最悪の条件を想定して準備しておく必要があります。 最悪のシナリオで住民避難の対応を考えておけば、放出量が少ない場合には、避難対象範囲を縮小すればよいので、縮小への対応は容易ですが、逆に区域を拡大させる場合には、更に避難対応が困難を極めることが予想できます。
ここで、原発事故の原因区分を天災と人的原因・その他に区分する。 天災としては、地震、津波、種々の気象状況による暴風などが該当する。 人的原因・その他としては、操作ミス、電源関係を含めた冷却システムの装置の損傷などに対して正常状態に回復させる対応処置が間に合わない事態、テロによる原発への悪意のある破壊、仮定として周辺勢力との間で戦闘状態に陥った状況下て敵対行動による原発への攻撃破壊、あるいは圧力容器の材質劣化状態における異常事態時の稼働原発の緊急停止・緊急冷却による圧力容器の断裂破壊などの原因が該当する。
これらに起因して圧力容器や核燃料物質(使用中の核燃料、あるいは使用済みの核燃料)の直接の損傷による放射性物質の外部への放出事故、あるいは冷却系統の装置などの損傷などを含めた機能不全から核燃料が損傷して放射性物質を外部へ放出させる事故が考えられる。
福島第一原発からの放射性物質の放出量は、原発事故の放射性物質放出量の最大規模ではない。 放出時間が長い事故もあり得る。 また、最悪の場合は、稼動中の原発が完全に破壊された場合である。 よって、福島第一原発事故より最悪な
放出量の事故のケースが起こりうるということ、委員会が発表した拡散予測として示された結果は単に一例であり、あくまでも参考であり、範囲が広
がる事態も起こり得ることを国民は頭のなかに留め、それに対処しなければならない覚悟をもつこと及び準備が必要だ。
委員会がWEBに公開している資料及び関連する資料から、拡散範囲予測の試算条件に書いている内容を筆者が理解した範囲で計算条件の一部を次に示す。
条件など:
- 放射線量は、福島第一原発事故での放出量を原子炉1〜3号の総計を検討対象の原発の合計出力と福島第一原発の出力との比で総量を定める。試算に用いる核種の放出量は10時間の線量の合計値としている。
- 拡散の計算は、「発電用原子炉施設の安全解析に関する気象指針」を参考にする。ここでは、ガウスプルームモデルの正規分布波形のピーク値の線量を用いず、線量の平均を用いているとしている。(これの頻度、確率評価値はどれくらいになるのか?)
- ((参考)指針に、多年の気象資料が得られる場合は、多年の資料を活用することを推奨しているが、想定事故時の線量当量計算に用いる相対濃度についてその年変動を比較的長期にわたって調査してみると、相対濃度の平均値に対する各年の相対濃度の偏差の比は、30%以内であったと説明してある。気象現象の年変動に伴って変動するものの、その程度はさほど大きくないので、まず、一年間の気象資料を用いて解析することとしたとの記述がある。)
- 気象データは、各発電所で観測された1年間の1時間ごとの8760時点の結果を16方位区分別に集計し、気象条件の異常値棄却を3%とし、累積出現率が97%の実効線量を示す放出地点からの距離を関係図より求めて、最大到達距離の目安を示したもの。(1年間のデータで、3%の異常値として棄却を行うことは妥当か?)
- 最大到達距離を評価する実効線量として、7日間100mSvを緊急避難行動の判断目安とする。
- 尚、筆者は、計算における詳しいセクターのとり方や計算方法については理解できていない。
(参考) 原子力規制委員会のWEB(http://www.nsr.go.jp/)の第7回原子力規制委員会の会議配布資料 「拡散シミュレーションの試算結果」、「放射性物質の拡散シミュレーションの試算結果について」それぞれPDF資料。 文部科学省(http://www.mext.go.jp)の「発電用原子炉施設の安全解析に関する気象指針について」原子力安全委員会決定 昭和五七年一月二八日(告示・通達)。 IAEAのWEB(http://www.aec.go.jp/)「Safty Standards VIENNA, 2011」のGeneral Safty Guide
以下に、筆者が疑問に感じたことや避難計画に資する試算への思いを記述した。
- 筆者は専門家ではないが、文部科学省の「発電用原子炉施設の安全解析に関する気象指針について」昭和五七年一月二八日(告示・通達)の試算方法で得られる実効線量については、どちらかというと、1年という長期間の実効線量値を判断する推測程度として参考にすべきと考える。
大量の放射性物質が放出され、非常事態時において住民の命の安全を確保するための緊急避難に益する資料を得ることを目的とするのであれば、検討方法としては、できるだけ多くの過去の気象データを調べて、風速が大きい気象条件で事故が起こったと仮定し、住民が住んでいる方角への風が主流であり、降雨については、事故発生時点で、原発周辺で大雨が降って直接原発地点から海へ放射性物質が流れ落ちることが予想されるようなものを対象とせず、広範囲に放射性物質を含んだ蒸気雲のプルームが広がって影響が及ぶ対象となる試算用の対象暴風波形を抽出して、最大的に影響の及ぶ範囲を、たとえば、スピーディなどによるシミュレーションを行い把握しておくべきである。 国策で電子計算機「京」を開発したのであれば、そのための「京」ではないか。 筆者は、たとえ、これが緊急避難区域の設定範囲の設定値にそのまま採用されないとしても、高濃度の放射性物質の広がりを理解しておくだけでも重要な資料となり得ると理解する。
- 緊急時の避難を事故後1週間100ミリシーベルト[mSv]の積算線量に基づくが、低い線量の積算が1年間で100[mSv]になる、ゆっくり放射線が体に作用する場合と違い、急激に100[mSv]を外部被ばくのみならず、呼吸器からの内部被ばくも合わせて浴びる場合には、人体への影響の割合が高くなると懸念されているので、IAEAで100[mSv]という線量値で合意されていると推察される。 それでは、この数値を若干下まわる状況については安全性の点から見て、日本国民はどう評価すべきなのか。 例えば、2週間の積算線量が100[mSv]程度という場合はどのようにとらえればよいのであろうか。 このような安全性の点について、国民に説明が必要であると考える。 避難計画を考える場合には、安全度には余裕を考慮した安全性の向上が求められる。
(参考)IAEAのGeneral Safty Guideによると、1週間の100[mSv]は退避基準値、1年間の100[mSv]は一時移転基準値である。
- 福島第一原発事故では過酷事故で核燃料のメルトダウンという事態に陥ったが、まだ、メルトダウンだけで収まったことが幸運であったかもしれないとの発言も聞かれる。 仮定として原発の圧力容器と格納容器が破壊してしまった場合には、高い放射能値となり放射性物質の放出量が増大し、周辺への放射能の被害の更なる悪化が予想される。 この場合、試算条件の放出量が更に大きくなり、100[mSv]/7日の最大到達範囲が拡大する。 この場合にはどこまで退避しなければならないのであろうか、言及してほしい。
- 風速・風向の気象条件として昨年(2011年)を用いているが、1年の気象条件では資料不足と推測される。 2011年が大きな風速を示していない可能性がある。
- 気象条件として、3%の異常値を棄却しているが、むしろ大暴風の状況下の方が停電などの発生により事故に直結すると推測される。 原発事故の避難計画についての安全面は、津波が既往最大波高・被害などを基本に防災計画を立てるのと同様に考えるべきであり、過去の長期間の風速などの気象データを調査し、それらの資料にもとづいての異常値なら棄却検定も妥当であるが、1年間の気象データの範囲では、異常値の棄却を行う妥当性が評価できないと考える。
- 仮定として福島原発事故での放射性物質の放出総量を用いて、拡散予測を行う場合に線量の確率分布の平均値を用いて計算する意味が避難計画の対象範囲を定める場合に、どのような関係にあるのかが不明である。 筆者には理解できない。 事故時の風向きにおいて最大風速で拡散した場合には遠距離に到達する。 これを、仮定外の事象として言い訳とするためのものなのであろうかと疑う。
- 風向を16方位に区分して各方向別に拡散距離を試算しているが、本来は、放出事故が生起した気象状況によって拡散範囲が変化するのである。 もし、最悪の気象状況下で事故が発生した場合にはどこまで影響が及ぶかが問題となる。 拡散範囲が最大になる放出の開始日を現実の暦に求めることは容易でないかもしれない。 よって、開始日を考慮しない計算方法で拡散範囲を求めることになるかもしれないが、しかし、これが問題と考える。 日本では、各地域別、季節的区分別に毎年の気象状況が概ね類似した傾向を示すので、その中からいくつかのパターンの最大の風速(降雨状況についての評価やそれに基づくデータの棄却などの判断についての課題は検討者の判断に委ねる)を選定し、それを用いて行った拡散シミュレーション結果に基づく評価と委員会が今回公表した拡散範囲の評価と、どの程度の違いが生じるかについて考察して、国民に情報を示しておくことが求められる。
以上の理由から、原子力規制委員会が原発の過酷事故を仮定して放射性物質の拡散状況を試算し、2012年10月24日に公表した図は、拡散範囲を小さく評価している可能性が高いと考えられるので、住民側は、仮に政府が緊急避難計画の準備区域を30kmに設定しようが、これを超過する事態もありうるという認識をもつことが重要である。
筆者は、原発の非常事態に対応する特化した国の救援部隊の組織が必要と考えるものであり、組織には適切な対処技術が要求される。 また、原発の部材等が損傷したときの交換に備えて部材などの予備を常時保管しておくことを求める。 更に、あらゆる事故対応ができる機材や装備、部材などの搬入のための輸送手段としての車両、航空機、船舶、特殊放水車、特殊給水車、特殊ポンプ、特殊起重機なども配備すべきと考える。 政府がこれらを行わない場合には、国民(原発産業からの特別な金品を受けない、何の縛りを受けない純粋な国民)は、安全条件の前提が整わない原発の再稼動を容認できない。
筆者から見ると、委員会が十分な説明を国民に実施せずに、簡単な記者会見の説明だけで、あたかも、試算の責任を果たしたような振る舞いをするのは無責任はなはだしい。 拡散図の最大範囲が30kmで納まったなどと考えてもらうと困るのです。
あるいは、原発への攻撃を受けた場合には数百キロの範囲まで及ぶ放射性物質の拡散も考えられるので、適当に30km程度の避難範囲を定め、これ以上に及ぶ場合にはお手上げであるとするのであろう。 天災による原因、人為的原因による場合でも、原子力委員会は想定外という言い訳で済ますつもりかもしれないと国民に受け取られても仕方がないのです。
将来20年以内に原発を廃止することが基本であるが、仮に、原発の再稼動を検討する場合について、原発の再稼動に関わらず、原発立地敷地内に核燃料が存在している限り、原発の安全指針は必要であるから、福島第一原発事故のすべての教訓事項を網羅する内容とする原発の安全指針が新たに策定され、これを満足するように現在の原発のうち、残りの原発稼動期間と改築に耐えうる経済性が評価されたものは原発の改築などが為され、監督庁の審査を受けて基準の適合が確認されて認可されることが条件のひとつであるが、原発の過酷事故による放射性物質の大量放出に備えた住民の避難計画の策定、及び、原発の過酷事故に備えて、非常事態に必要となる様々な部材や機器、装備を搬入し対応する熟練した特別な原発緊急部隊を編制することが原発の再稼動に関わる大前提となる。 繰り返して言うが、国民が評価できるこのような手続きが行われない場合には、国民は絶対に再稼動など認められないことを、原子力規制委員会は肝に銘じてもらいたい。
日本国民の人権を守るため、日本の真の独立を勝ち取り、アメリカの奴隷からの開放を目指すため、日米安保条約解約。
日本は、日本国民が無視され続けている不平等の日米安保条約を解約しなければならない。 日本国民が戦わねば、日本の夜明けは訪れない。
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