沖縄への核再持ち込みに関して合意した日米両首脳の署名入り極秘文章が公表された(2009年12月22日)。
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1972年に沖縄の施政権が日本に返還された。 その時総理であった佐藤栄作氏は1975年に死亡している。 当時に、そのアメリカ政府との沖縄返還交渉に佐藤総理から極秘に役目を任されていた若泉敬氏が、その交渉の状況を具に記述した著書「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」を1994年に著しました。
■ 沖縄返還時点の核再持ち込みに関する極秘の密約文章の存在が証明された
■ 核再持ち込みに関する極秘とされる密約文章 1969年11月21日合衆国大統領リチャード・ニクソン氏と日本国総理大臣佐藤栄作氏との間で合意された文章です。
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TOP SECRET
AGREED MINUTE TO JOINT COMMUNIQUE OF UNITED STATES PRESIDENT NIXON AND JAPANESE PRIME MINISTER
SATO ISSUED ON NOVEMBER 21, 1969
United States President:
As stated in our Joint Communique, it is the intension of the United States Government to
remove all the nuclear weapons from Okinawa by the time of actual reversion of the administrative
rights to Japan; and thereafter the Treaty of Mutual Cooperation and Security and its related
arrangements will apply to Okinawa, as described in the Joint Communique.
However, in order to discharge effectively the international obligations assumed by the
United States for the defense of countries in the Far East including Japan, in time of great
emergency the United states Government will require the re-entry of nuclear weapons and transit
rights in Okinawa with prior consultration with the Government of Japan. The united States
Government would anticipate a favorable response. The United States Government also requires
the standby retention and activation in time of great emergency of existing nuclear storage
locations in Okinawa: Kadena, Naha, Henoko and Nike Hercules units.
Japanese Prime Minister:
The Government of Japan, appreciating the United States Government's requirements in time
of great emergency stated above by the President, will meet these requirements without delay
when such prior consultation takes place.
The President and the Prime Minister agreed that this Minute, in duplicate, be kept each only
in the offices of the president and the Prime Minister and be treated in the strictest confidence
between only the President of the United States and the Prime Minister of Japan.
Washington,D.C., November 21, 1969
(signature) Richard Nixon
(signature) Eisaku Sato
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日米間のこの密約文章が当時若泉氏とキッシンジャー補佐官との間で作成されていた草案と同じ内容であるため、若泉氏の著書に彼が草案した日本語訳が記載されているのでそれを引用する。 |
『極秘
1969年11月21日発表のニクソン米合衆国大統領と佐藤日本国総理大臣との間の共同声明についての合意
議事録
米合衆国大統領
われわれの共同声明に述べてあるごとく、沖縄の施政権が実際に日本国に返還されるときまでに、沖縄
からすべての核兵器を撤去することが米国政府の意図である。 そして、それ以降においては、この共同
声明に述べてあるごとく、日間の相互協力及び安全保障条約、並びにこれに関連する諸取り決めが、沖縄
に適用されることになる。
しかしながら、日本を含む極東諸国の防衛のため米国が負っている国際的義務を効果的に遂行するため
に、重大な緊急事態が生じた際には、米国政府は、日本国政府と事前協議を行った上で、核兵器を沖縄に
再び持ち込むこと、及び沖縄を通過する権利が認められることを必要とするであろう。 かかる事前協議
においては、米国政府は好意的回答を期待するものである。 さらに、米国政府は、沖縄に現存する核兵
器の貯蔵地、すなわち、嘉手納、那覇、辺野古並びにナイキ・ハーキュリーズ基地を、何時でも使用でき
る状態に維持しておき、重大な緊急事態が生じた時には活用できることを必要とする。
日本国総理大臣
日本国政府は、大統領が述べた前記の重大な緊急事態が生じた際における米国政府の必要を理解して、
かかる事前協議が行われた場合には、遅滞なくそれらの必要をみたすであろう。
大統領と総理大臣は、この合意議事録を二通作成し、一通ずつ大統領官邸と総理大臣官邸にのみ保管し、
かつ、米合衆国大統領と日本国総理大臣との間でのみ最大の注意をもって、極秘裏に取り扱うべきものと
する、ということに合意した。
1969年11月21日
ワシントンDCにて
(署名) リチャード・ニクソン
(署名) 佐藤 栄作 』
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■ 佐藤内閣総理大臣とニクソン大統領との間の共同声明 (1969年11月21日) 日米首脳会談後に発表された共同声明であり、報道発表された内容です。
一、 内閣総理大臣とニクソン大統領は、11月19日、20日及び21日にワシントンにおいて会談し、現在の
国際情勢及び日米両国が共通の関心を有する諸問題に関し意見を交換した。
・・・(略)・・・
六、 ・・・(略)・・・また、総理大臣と大統領は、米国が沖縄において両国共通の安全保障上必要な
軍事上の施設及び区域を日米安保条約に基づいて保持することにつき意見が一致した。
七、 総理大臣と大統領は、施政権返還に当たっては、日米安保条約及びこれに関連する諸取り決めが変
更なしに沖縄に適用されることに意見の一致をみた。 これに関連して、総理大臣は、日本の安全は
極東における国際の平和と安全なくしては十分に維持することができないものであり、したがって極
東の諸国の安全は日本の重大な関心事であるとの日本政府のかかる認識に照らせば、前記のような態
様による沖縄の施政権返還は、日本を含む極東の諸国の防衛のために米国が負っている国際義務の効
果的遂行の妨げとなるようなものではないとの見解を表明した。 大統領は、総理大臣の見解と同意
見である旨を述べた。
八、 総理大臣は、核兵器に対する日本国民の特殊な感情及びこれを背景とする日本政府の政策について
詳細に説明した。 これに対し、大統領は、深い理解を示し、日米安保条約の事前協議制度に関する
米国政府の立場を害することなく(英文:without prejudice to the position of the United States
Government with respect to the prior consultation system under the Treaty of Mutual
Cooperation and Security)、沖縄の返還を、右の日本政府の政策に背馳しないよう実施する旨を総
理大臣に確約した。
九から十五まで (略)・・・
■ 若泉氏の著書の中の筆者が気に掛かる記述のいくつか 若泉氏の著書に、当時のアメリカ大統領補佐官と佐藤総理大臣に交渉を任せられた密使との当時の交渉の詳細が記されているが、その中に核兵器の持ち込みに関してアメリカの真意に反して日本政府が対面をつくろう箇所、及びキッシンジャー氏が佐藤総理以降の日本政府がこの約束を履行する保証について尋ねるなど、気に掛かる記述があります。
● 1969年7月18日 キッシンジャー博士宛てのメモ ・・・(略)・・・ 主要な質問 1. この段階において、佐藤首相はニクソン大統領が彼をどこまで支持する用意があるかを知りたいと望 んでいる。 ニクソン大統領は可能最大限まで日本側に同調する容易があり、諸問題のなかでとくに核兵器を沖縄か ら撤去することに同意するであろう、という未確認報道がある。 この肝要な質問について、できるだ け素直かつ正直な回答をいただけないだろうか。 私はこれを佐藤氏のみに伝え、なんびとにも絶対に 他言しない。 2. 佐藤氏は、いわゆる”緊急事態の自由使用”の問題についてのニクソン大統領の考え方知りたいと望 んでいる。 佐藤首相の立場は、私の理解するところでは、この”緊急事態の自由使用”の問題全体について柔軟で ありかつ現実的である。 私自身のみるところによれば、今後数ヶ月にわたって日米双方の外交官によ る折衝の主たる任務は、緊急事態における作戦行動の自由に関するフォーミュラを慎重に作り出すこ とであろう。 ”事前協議”は佐藤氏の見解によれば、真の緊急事態の場合においては、「ノー」より も「イエス」を意味するものでありうるし、また事実意味するであろう。 これらのかなり複雑な問題 は、今後何ヶ月かの外交交渉において討議され、かつ明確に定義されなければならない。 そして、基 本的には、この原則が日本本土にある米 軍基地についても同様に適用されるであろう。 ・・・(略)・・・
● 1969年9月30日にワシントンでキッシンジャー氏と会談して、日米首脳会談のために、若泉氏がキッシン
ジャー 氏から、佐藤総理に相談して返事するように要請された状態で帰国し、10月3日に首相の公邸を訪れ
て報告を行った際に次のような会話をしています。
若泉氏が佐藤氏に話して、「(キッシンジャー氏は、)核兵器は、返還時までに撤去すると言っています。
ただし、今お渡しした紙に書いてありますが、緊急の非常事態に際しては、事前通告だけで核の再導入を認
めることを保証してくれ、さもなければ沖縄は返せない、というのがいまや軍部だけではなく、ニクソン大
統領自身の意思でありかつ決定なのです。」
若泉氏が、「私は、事前通告は困るんで、たとえ形式だけでも事前協議にしてもらう必要があるのではない
かと思いますが・・・」と伝えた答えたことに対し、
佐藤総理が、「緊急事態を誰がどう定義するかが問題だなぁ」と答えています。
若泉氏が、「そのとおりです。 これは難しい問題ですが、そんな緊急時には、実際アメリカが一方的に決
めてやることになるんでしょう。 それでも私は、”事前協議”という建前は貫きたいですね。」と
佐藤総理が、「定義が決まれば、通告でも事前協議でも同じことだろうが。」と
若泉氏が、「そういう緊急事態の起こる可能性はほとんど無いと思います。 しかし、書いたものとして残
す以上は、一方的な通告では困ります。 形式的にでもやはり協議にして、日本の意思も入れて合意すると
いうことの方が望ましいでしょう。」と
佐藤総理が、「それもそうだが、向こうが通告で一方的に持ち込むと言うなら、仕方ないではないか。」と
・・・
総理としては、このような条件を大統領の意向として、最後通牒のような形で提示されたことに内心相当不
満であったようだ。と若泉氏の感想を書いている。
● 1969年11月11日 キッシンジャー氏と若泉氏とのホワイトハウスでの協議
米国の議会対策としての協議で、日本からの毛や化繊製品の輸出を規制する繊維問題と沖縄の返還に際して
の核についての件がある。そのうち、核の部分を引用する。
・・・(略)・・・
次に、核の話だがと言って、キッシンジャー氏が若泉氏の沖縄返還の合意議事録草案を取り出し、「アメリ
カ政府は、安全保障上の死活的な利害に関する事態が起こったとき、日本の好意的な回答を期待するという主
旨の文章を挿入していいか」と尋ねた。
これに若泉氏が、「たいした変わりはない」と答えている。
キッシンジャー氏は、「これを入れてくれるなら、”事前通告”でなくて、”事前協議”でいくよう大統領
を説得しよう。」
「ポスト・佐藤の場合、誰が、どのように、これを保障してくれるか」と尋ねている。
若泉氏が、「佐藤氏は、自由民主党政権が続き、また日米安保条約が存続する限りは絶対大丈夫だと断言
している。 その点、心配はない。」と答えている。
・・・(略)・・・
● 若泉氏が著書を出すにあたって、核兵器の再持込について、キッシンジャー氏及び佐藤総理の次の見解を載せ ている。 キッシンジャー氏の「核兵器の持ち込みといった重大問題は、古くさいコミュニケの文句いかんではなく、そ の時の客観条件に応じて決定される」 また、佐藤総理の「日本に対するアメリカの力関係で決まる」 |
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■ 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約 昭和35年6月23日 条約第6
4条と6条のみ以下に示す。 ・・・(略)・・・ 第四条 締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及 び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。 第六条 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリ力合 衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。前記の施 設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署 名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基づく行政協定(改正を含む)に代わ る別個の協定及び合意される他の取極により規律される。 ・・・(略)・・・ |
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■ 日米安保条約に付属の交換公文の極秘文章、書簡、電信文について 日米で合意された交換公文、書簡、議事録、覚書、メモなどは安保条約を構成する条文と同じ扱いである。 よって、歴代の自民党の政府がアメリカとの間で交わした日米協議の合意に関するすべての公文書の協定、議事録、覚書、メモ類による規定:内容として表にでないので推測の域であるが、次のような内容のものが触れられている。 ホットラインの位置づけ覚書、地位協定に関する覚書、アメリカ軍基地の自由使用、事前協議の対象条項、核兵器持ち込み条項、基地の装備の配置・態様・変更等及び除外項目、台湾条項、朝鮮半島有事条項、日本国側の防衛の役務義務条項、ミサイル防衛条項などがすべて安保条約と同じなのです。(内容の詳細が明らかでないので、筆者の推測です)
(追加)
■ 核再持ち込みに関する極秘の合意密約は政府がアメリカに無効を通告しなければ有効と考えるべき 両政府間の外交公文書であり、有効期限が付されていないこと、この内容を否定する、あるいはこれに代わる新たな内容の外交公文章が無い限り、極秘のこの公文章は現在も有効であるといえるでしょう。 ■ 日本への核持ち込みはNPTに違反する
現在核兵器に関する国際的な合意は、核兵器不拡散条約(the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons :NPT)があります。 条約では、核兵器の保有条件からみて締約国を核兵器国(5ヵ国)と非核兵器国(5ヵ国以外)に区分し、締約国は核兵器拡散に繋がる行為を行わないことを約束することとなっています。
日本国民の人権を守るため、日本の真の独立を勝ち取り、アメリカの奴隷からの開放を目指すため、日米安保条約解約。
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