我々が香港に到着したのは夕方で、初日は少し散歩しているとすぐに夜になってしまった。早朝から移動しつづけでつかれてもいるし、どこか適当なところで食事をしようと適当に目の前の店を選んだ。上海飯店と書かれている。上海料理の店のようだ。
「上海料理ってどんなの?」
そう言われても正確には答えられない。いや、管理人は昔々あるところの中華料理店ではたらいていたことがあり、多少は料理もできるし、中華料理の知識もあるのだが、その店も、上等なほうではあったが、所詮いわゆる日本の中華料理店で、エビチリがあれば天津麺もありレバニラもあるという店なのだ。中華料理の地方ごとの特色を正確に簡潔にまとめて説明できるほどの知識が身につくはずがあろうか。
なので、あっさりした味付けで海鮮料理が得意、と答えておいた。じゃあ潮州料理ってどんなの?とか、福建料理ってどんなの?とかきかれたら同じ答えになってしまうのだが、管理人妻がそこまで詳しく中華料理の種類を知っているわけでもない。
管理人妻はまだ躊躇しているようだったが、食べてみればわかるさ、といざ店内へ。まだ時間が少し早いせいで客は誰もいなかった。しかし、我々には時差があるのでちょうど夕食時なのだ。
よく意味のわからない漢字がずらずら並んだメニューが出てくるかと思ったが、中国語のほかに英語と日本語まで載っているではないか。これなら楽勝だ。メニューから何品かを選んで注文する。
そして最初に出てきたのが…。
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| アヒルの舌の冷製 |
写真がおもいっきりピンボケだが、それはこの料理の衝撃で手が震えてしまったせいであると言いたい。なにせ、アヒルの舌ばかりがピラミッド状に山盛りにされて出てきたのだ。驚くなと言うほうが無理だろう。写真ではもう残り少なくなっているが、ここまでで、各人十数本のアヒルの舌を食べている。数えてはいないが間違いなく30本以上のアヒルの舌があった。最初に見た時、これは食べきれるか?と不安になり、急いで食べていたため写真を撮るのを忘れていたのだ。
アヒルの舌は珍味なのかもしれないが、30本以上は多すぎるだろう。それと、ここのメニューを作った方にもにも文句を言いたい。日本語では「アヒルの冷たい前菜」とか何とかしか書いてないし、英語でも「ダックのアペタイザー」である。香港なんだから中国語以外を信用するほうが悪いとお考えの方々もいらっしゃるだろうが、中国語では「美味鴨肉」となっていた。どこにも「舌」とか「タン」とか書いてないではないか。
さすがにこれは食べきれなかった。まずいというわけではないのだが、にゅるにゅるしていて、多量に食べているといやになってくるのだ。やはり珍味はちょっとだけ食べるものである。
気をとり直して次の料理へ。
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| 豚スペアリブの揚げ物 | 豆腐ときのこの炒め物 |
スペアリブのほうは見たままの味。炒め物に入っている豆腐は小さな厚揚げだったが、中はやわらかく今までに食べたことのないものだった。
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| 蒸し魚 |
もっと白っぽい色の料理を想像していたのに、どの料理も茶色だ。蒸し魚はネギやしょうがの千切りがのったあっさりしたものが出てくるとばかり思っていたら、にんにくがゴロゴロ入った茶色の汁につかっていた。
そして、最後のしめ。スープではない、麺だ。これも茶色である。
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| あんかけ麺 |
たっぷりの茶色いあんの下に、こしのないうどんのような麺がかくれている。麺もあんかけも、決して美食ではないが、子供のころに食べたような、どこかなつかしい味がした。昭和の味としておこう。
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| 昭和の味がする麺 |
ふたりでたらふく食べたが、上海料理がどんなものかはさっぱりわからずじまいだった。





