第4回紙漉き研修会レジュメ資料 2002.2.2.
ネリ剤の意味について
大阪府立M養護学校
古来から日本の伝統的和紙の紙漉きには、ネリが使われてきた。元々は植物(トロロアオイ、
ノリウツギ)などの根から出る粘性(粘りけ)を漉き舟の紙料に混ぜて使っていたのであるが
、植物の根は1年中手にはいるものでなく、保管も大変なので現在では化学ネリが職人の間
でも使われている。
ネリはよく糊(のり)と勘違いされ、紙のパルプをひっつける役割のものであると考えておら
れる方があるが、糊とは使用目的からいって全く異なる。尚、洋紙の製紙ではパルプをくっ
つけるための薬が混入されるが、和紙の紙漉きではパルプとパルプが絡まることで紙がで
きあがるので、接着効果の糊は全く必要ない。
さて、ネリを使う意味(効用)については、3つの意味がある。
第1に
紙料(パルプ液)にネリを混ぜることで、パルプが漉き舟の底に沈むのを防ぎ、均等に浮遊
させておく役割を持つ。
第2に
はがきサイズより大きな紙を漉こうとしたり、薄い紙を漉こうとした場合、漉き込んだ紙料
(パルプ液)を、漉き具の中で均等になるよう揺する必要があるが、ネリを入れてないとパル
プは偏って集まってしまう。
第3に
先にも書いたように手漉き和紙は揺すってパルプ同士を絡ませることにより、紙になるの
であり、その揺すりは紙料(パルプ液)を漉きあげて、網から水が落ちていく時が勝負である。
ネリを入れその濃さで、網から水が落ちるスピ−ドを好きなスピ−ドにコントロ−ルすること
ができる。
化学ネリにはいろいろな種類があるようであるが、
私のわかっているものは2種類
○ビスマ−ク ・・・白い粉で水溶性。水に混ぜることですぐに粘性が生まれ、すぐ使え
るが、粘性は長持ちせず冷暗所においても保存はきかない。使う都度、
作る必要がある。美濃の紙問屋「西部商店」などで手に入る。
○アクリパ−ズ・・・白い粉で水溶性。水に混ぜて、すぐには粘性が出ず2〜3時間おい
ておく必要がある。冷暗所(冷蔵庫)に入れておくと半年くらい粘性は十分
保てる。ただし一般には大量購入でないと購入する手だてがない。
両方のネリともに、1リットルの水に小さじスプ−ン2〜3杯程度の粘性で作る。粘性の度
合いは、使い勝手で決まる。紙料の粘性の割合も漉く人の好きな網から落ちるスピ−ドの程度
、揺すった時の感じによって異なってくる。
尚、自然のネリはもちろん今回紹介した化学ネリも紙を干す段階で成分は気化するため紙に
化学薬品成分は残存しない。
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