
マヨン火山の噴火:火山と共存する農民
マヨン火山が噴火し、火砕流が発生したため、現在約3万人が避難している。これまでの例だと、避難生活は今後数ヶ月以上は続くことになる。フィリピンは今、雨季なので、降り積もった火山灰が泥流となってふもとの村を襲うことも心配されている。ただし、今のところ(27日現在)は、噴火は小康状態であり、これまでのところ人的な被害はないようである。
マヨン火山はマニラの南方約300km、ルソン島南部にあり、普段は美しい円錐形の姿を見せている。このため、観光地にもなっている。これまでも、数年に一度噴火を繰り返しており、今回は昨年に続いてのものである。また、1993年の噴火では70人の死者を出している。
1993年の噴火は予兆がなく、突然、火砕流が住民を襲った形になった。これを契機に、火口から6kmは立ち入り禁止区域に設定し、住民の移住を進めている。しかしながら、移住地では生計の手段が乏しく、移住地からもといた農地に毎日通ったり、働き手だけでも農期の間は小屋を作り住む農民も多い。もちろん急な噴火がおきれば命を落とす危険があり、農民もそのことは分かっているが、防災よりも生活を優先せざるをえないのが現実である。これをみても、生計を向上し、住民の生活レベルを上げなければ、災害を防ぐことはできないことがわかる。このように貧困と災害が、密接に関連していることは第2号でも説明した通りである。
フィリピンでは火山地震研究所(PHIVOLCS)とよばれる、国の機関が火山、地震の観測を担当している。常時観測が行われている6つの火山に、マヨン火山は含まれており、噴火を繰り返していることもあり、観測体制は比較的整っている。今回も事前から兆候を観測し、5段階ある警報を出して警戒を呼びかけていた。限られた予算や老朽化した施設や機材でよくがんばっている、というのがPHIVOLCSの評判である。防災の担当機関としては、住民の啓発活動や、情報公開などなど、予算がなくてもやれることはいろいろとある。ホームページにも危険区域を示すハザードマップなど、有益な情報が掲載されている。
マヨン火山の周辺は、火山の他、風水害にもしょっちゅう襲われており、このためか、普段から住民の防災意識も高く、地方自治体の防災体制−情報連絡や避難、NGOとの協力−も比較的整っている。フィリピンの中の防災体制の先進地区である。こうした要素が、今回、人的な被害を出さず、無事に避難を実施できた理由であろう。
日本も政府開発援助で火山の観測網を整備する支援などを行ってきた。そして、マヨン火山での防災計画の策定を支援している。内容はJICAホームページに: さらには、防災施設の建設、住民の生活向上を含めた防災体制の整備などの支援も検討されている。
○ 英語一口メモ
debris flow 土石流 debri はもともと瓦礫とか、石とか、がらくたといった意味。
mud flow 泥流