line2


インターネットと防災情報


line2

国土交通省河川局より、河川データのホームページについて、情報をいただきました。今回は災害情報とインターネットについて、考えてみたいと思います。

◇─────────────────────────────────◇

▼ 川の防災情報 (国土交通省河川局河川計画課河川情報対策室より)
「水と災害の国際情報」 第1号から購読させていただいております。600名弱の読者がおられるとのことですが、この分野のメルマガとしては、上位に位置されているのではないかと思います。

さて、国土交通省河川局では、地方整備局・事務所で観測しているレーダ雨量、テレメータ雨量・水位、水質等の観測データについて、6月1日からインターネットで公開しております。アドレスは、次の通りです。

http://www.river.go.jp
http://i.river.go.jp (i-モード)

昨年の東海豪雨の被災者に対するアンケート調査の一つをみますと、地域住民の方が知りたかった情報の第1位に、河川水位があがっております。私どもが提供する河川情報が、住民の方々の減災活動に貢献できるものと期待しています。

国内情報でございますので、貴誌の守備範囲からはずれるかもしれませんが、何かの機会にご紹介いただければ幸いに存じます。勝手なお願いで恐縮いたしますが、よろしくお取り計らい方お願い申し上げます。
◇─────────────────────────────────◇

▼ 防災文化に根づいたシステム

日本だけでなく、途上国の防災を考える上でも、防災情報は重要である。特にハード施設が整っていない途上国でのソフト対策の重要性は、これまで繰り返し指摘してきた通りである。河川の水位や雨量など、災害情報を収集し、住民に伝達することは防災上、有効な手段、そしてソフト対策のもっとも基本的な部分、である。だが、そういったシステムは、まだまだ途上国では十分でない。

日本では、全国に雨量と河川の水位を計る観測所が設置され、ネットワークを形成しており、収集された情報は防災に役立てられている。この目的で、オンタイムでデータを収集し、伝達、分析できる、通信施設やコンピュータが整備されている。では、こうした施設や機器を途上国にそのまま供与すれば災害は減るか、というと、話はそんなに簡単ではない。

問題の一つ目は、維持管理の問題である。例えば、フィリピンにあった9個所の雨量レーダーは全て壊れた(念のため、日本の援助ではありません)。スペアパーツの調達や修理のみならず、定期的な維持ですら、予算が不足し、民間も含めて優秀な技術者が限られているため難しい。せっかく施設を建設しても、数年もすると必ずこうした問題が起きてくる。

電波管理の問題も難しい。電波の周波数の割り当てを、政府がしっかりと管理しないと、民間などの電波が混信し、せっかくの高価な通信施設も役立たなくなる。

二つ目は文化である。日本国内では、どうしても技術に目が行きがちであるが、実は地道な努力が続けられている。河川の水位や雨量の観測所には、自動観測装置が据えられているが、それに加えて、住民による観測も行われている。もともと、人手による観測、というシステムがあって、それを手助けする形で、機械が整備されてきたのであるが、全自動の観測、情報の伝達が可能な現在でも、人手による観測が続けられている。災害という究極の状態での観測であるから、機械には何がおきるかわからない。最後はどうしても、人間に頼る、という部分が残されている。

つまり、日本には「防災文化」がもともとあった。そこに、適応した形で通信システムを発展させてきたのである。そして、今回のようにインターネットで発信するところまで、進化してきたのである。この発信された情報が再び、地域の防災文化を育てるように活用されていくのであろう。

この文化というところを無視して、いきなり日本のシステムを途上国に移植しようとしても、うまく行かない。途上国に防災文化がないわけではない。初歩的であっても、防災行動をとっている。例えば、フィリピンでは、バランガイ・キャプテンという地区長さんが、台風が近づくと一軒一軒回って、避難を呼びかける、ということをしていたりする。こうした文化を調査した上で、どういう機器が必要なのか、どういうシステムなら持続できるのか、を考えねばならない。

防災文化を育てる、もしくは、今ある文化に根づいた情報システムを構築する支援を行う、という点を援助の目的の中心に据えるべきである。例えば、バランガイ・キャプテンに拡声器を配る、のは効果的かもしれない。

▼ 貧者の武器

さて、インターネットである。

防災データを送るにはいくつかの方法がある。日本では、鉄塔を建てて電波のやり取りをする通信網を、河川局が自前で持っている。技術と予算があれば、一番信頼性が高い方式である。マレーシアではJICAの調査を受けて、衛星の利用を考えている。電話会社の回線を借りきる方法もある。どれもそれなりにコストがかかる。

途上国では、道路などの他のインフラ施設が優先され、防災に予算が回らないことが多い。特に経常的にかかる予算には金が付きにくい。このため、信頼性は落ちるといえ、ほとんどコストのかからないインターネットは、魅力的な手段である。地方では各家庭にコンピューターがあるはずもないが、主要な役所や自治体、ラジオ局には整備されつつあり、情報の伝達のスピードアップに役立つはずである。例えば、豪雨の時に、防災機関の職員が1時間おきの河川の水位を手入力し、ホームページで公開するだけでも、ずいぶんと状況か改善されるはずである。コストはほとんどかからないのだから、やってみる価値は十分にある。

額と規模の大きい外国援助を待つだけではなく、自分でできることは始める、という、地道な努力が重要であろう。これも防災文化の一つである。そして、日本の援助で手助けできることも多いはずである。

○ 英語一口メモ Flood forcasting and warning

洪水の予報と警報

○ 関連サイト

フィリピンの気象庁のホームページ(英語):気象予測のほか、洪水の予報や警報も担当している。MSNのコミュニティページを利用するなど、努力のあとは見えます。昔よりずいぶんよくなりましたが、まだまだがんばらないといけません。
nexthome

line2