line2

 ライン ドット

民営化による水道の効率化ライン ドット





 途上国では水道管からの漏水や、盗水により、浄水場で造った水のかなりの量が行方不明になる。これを無収水(Non-Revenue Water)と呼び、その割合は水道事業の効率性を示す指標となる。日本やシンガポールでは10%以下である。完全にゼロにはできず、このくらいの漏水は仕方ない、ということになっている。しかし、途上国では30%以上が普通で、50%を超えることも珍しくはない。浄水場で造った水の半分が、どこかに消えてしまうのである。

 原因はいろいろ考えられる。古くなった水道管を取り替える資金がないことがまずあげられる。また、無収水を少なくする努力というのは、結構こまごましている。途上国の水道公社は一般的にこうしたきめ細やかなマネジメントを苦手とする。外国からの援助で、職員に技術移転をしてノウハウを伝授しても、効果が出るには時間がかかる。個々の職員の技量の向上だけでなく、担当の職員や予算を配置するなど、組織としての取り組みも必要となる。

   ▼ 無収水を減らす民間サービス

 タイでこうした仕事を一括して民間企業に任せて、成功しているケースがあった。

 パソンタニは、バンコクに隣接してベッドタウン化と地域開発が進行している都市である。ここでも無収水率はご多分に洩れず60%と高かった。これを民間企業と契約して仕事を任せることで、2年以内で30%まで下げることに成功した。

 とられている手法は、どの国でも行われており、とりわけ珍しいものではない。どの水道管から漏水しているか、定期的に調査する。各家庭についているメータがきちんと動くか確かめる。サービスエリアを1,000-2,000の家庭ごとにゾーンに分け、各ゾーンごとに供給した量と使用量(この差が漏水)、そして圧力を管理する。こうしたデーターをオンラインで即時に情報に送り本部で確認する。また、GIS(地図情報システム)を使って、水道管やメータ、各家庭の情報を管理していた。さらには24時間の窓口を作り、利用者から水道管が破裂したという苦情が来たら、すぐに修理を行うなどの対応をしていた。

 考えさせられたのは、働いている職員は、政府も民間も同じタイ人の技術者なのに、政府の組織ではこれができずに、民間と契約したとたん、あっさり目標を達成してしまった、という点である。契約は目標に達成したら、契約額が支払われる仕組みである。達成しなければ払われない。やはり人間というのはなまけものだから、こうして目標と報酬を明確にしないと物事は動かないのであろうか。ODAのように、ある意味、相手のやる気と情熱に期待する、ひょっとすると日本側の職員にも期待する、という政府間同士のやり取りは、結局は能率が悪いのだろうか?

  

  ○ 英語一口メモ

nonrevenue water (NRW)、unaccounted water (UAW):いずれも無収水だが、メーターがついていて水の供給や使用量がわかる場合はNRWを、メーターがついていないなど量や原因がはっきりしない場合はUAWを使うことが多い。