4 、 仏 法 を 学 ぶ

 

 

          苦 集 滅 道 の 四 諦 

 

釈尊成道後二十一日間、菩提樹下で十方から集まった諸菩薩に対して華厳経を説きました。次いで波羅奈国の鹿野苑に行き、苦行を共にした五人の比丘に四諦・八正道を説いて教化し、最初の弟子としました。これが仏の初転法輪です。法華経化城喩品にも、この四諦や十二因縁の文が見られます。

 

苦 集 滅 道 の 四 諦 と 十 二 因 縁 の 法

 

是れ苦、是れ苦の集、是れ苦の滅、是れ苦滅の道なり。及び廣く十二因縁の法を説きたもう無明は行に縁たり。

行は識に縁たり。識は名色に縁たり。名色は六入に縁たり。六入は触に縁たり。触は受に縁たり。受は愛に縁たり。愛は取に縁たり。取は有に縁たり。有は生に縁たり。生は老死、憂悲、苦悩に縁たり。無明滅すれば則ち行滅す。行滅すれば則ち識滅す。識行滅すれば則ち名色滅す。名色滅すれば則ち六入滅す。六入滅すれば則ち触滅す。触滅すれば則ち受滅す。受滅すれば則ち愛滅す。愛滅すれば則ち取滅す。取滅すれば則ち有滅す。有滅すれば則ち生滅す。生滅すれば則ち老死、憂悲、苦悩滅す。

 

「是れ苦、是れ苦の集、是れ苦の滅、是苦滅の道なり。」は苦諦、集諦、滅諦、道諦の四つをいい「四諦の法門」(四つの真理)ともいいます。ま十二因縁(無明、行、識、名色、六入、触、受、愛、取、有、生、老死)を説いています。

 

「苦諦」とは、人生の苦についての真理で、この世のあらゆる肉体的・精神的要素はすべてが苦であるという「一切皆苦」の真理です。そして基本的な苦として四つの苦を示しました。それが「生・老・病・死」の四苦です。

「四門遊出」でも触れましたが、「生苦」とは母の胎内より生まれ出ずる苦しみです。凡人には覚えがありませんが、仏典では苦であると説かれています。

「老苦」とは、老いていくことの苦しみです。

「病苦」とは、病にかかることの苦しみです。

「死苦」とは、死に行くこと、死への恐怖、死ぬことの苦しみです。これにさらに四苦

「愛別離苦」(愛する人、親しい人との生き別れや死別の悲しみ)、

「怨憎会苦」(恨みや憎しみのある相手と会う苦しみ)、

「求不得苦」(物欲、性欲、名誉、権力、富、肩書き、生命的欲求、異性への想い等々際限のない欲求が満たされない苦しみ)、

「五陰盛苦」(自分の意志に反して心身が思うにまかせない苦しみで、これまでの七苦を合わせ持つ苦しみ)が加わり、これらを総称して「四苦八苦」と言います。

なお五陰とは「色」(物質的な肉体)、「受」(感 覚・知覚・印象などを受け入れて感じる作用)、「想」(受け入れた感覚を思い出す作用)、「行」(思いを行動で表すこと)、「識」(認識し識別する作用)で、人間の五つの要素を表し五蘊ともいいます。

この「五陰盛苦」は異性との恋愛を思い浮かべてみると分かりやすいかも知れません。

 

五 陰 盛 苦

 

最初にある一人の異性と出会います。(色)

↓ 

次にその異性を見て「素敵な人だな」と感じます。(受)

↓ 

その異性の表情や声やしぐさなど感じたことを様々に思い出していきます。(想)

↓ 

4さらにもっと話したい、一緒にいたい、付き合いたいとアプロ−チします。(行)

↓ 

5やがて自分にとってなくてはならない存在となり強い恋愛感情を意識します。(識)

 

しかしたいていの人は苦しい片思いが続き、失恋して悲嘆して終ります。これは「求不得苦」「愛別離苦」「五陰盛苦」の三つの苦しみが同時に味わえる例と言えるでしょう。

またこの恋愛が成就したとしても、いつかは「愛別離苦」の時がやって来ます。いずれにしても「一切皆苦」の真理からは逃れられません。

三諦の中の空の一面を説く般若心経にも、「・・・・照見五蘊皆空。度一切苦厄。舎利子。色不異空。空不異色。色即是空。空即是色。受想行識。亦復如是。・・・・」【・・・・五蘊は皆空であることを照見し、一切の苦厄を克服する。舎利子よ。存在は空に異ならず、空は存在に異ならず。受、想、行、識もまたかくの如し。・・・・】とこの五蘊のことが出てきます。

「集諦」とは、苦の原因についての真理であり、その原因は渇愛などの煩悩です。

 

「滅諦」とは、苦の原因を滅する真理であり、それは煩悩を断つことであり、それによって苦はすべて消滅するという境地です。

 

「道諦」とは、苦の原因を滅する方法についての真理であり、それは煩悩を断つための八つの正しい修業の道のことで「八正道」といいます。

●正見(正しい目でものごとを見る。偏見や固定観念を持たない。)

●正思惟(ものごとの道理を正しく考える)

●正語(お世辞や嘘、非難や悪口を言わない)

●正業(殺生、盗み、淫行、飲酒、詐欺等の悪事をせず、つねに正しい行いをす

●正命(正しい生活を送る)

●正精進(悟りに向かってつねに正しい努力をする)

●正念(邪念を捨てて正見を行よう努力する)

●正定(精神を集中し、瞑想によって心を安定させる)

 

以上八つの修業によって人生の苦悩から離れ、悟りが得られると説いています。

 

四 諦 の 法 門

 

     苦諦【苦についての真理】 現実の世界はすべてが苦である(四苦八苦)

1、生(生まれることの苦しみ)

2、老(老いることの苦しみ)

3、病(病にかかることの苦しみ)

4、死(死ぬことの苦しみ)

5、愛別離苦(愛しい者との別れの苦しみ)

6、恨憎会苦(恨み憎しむ者と会う苦しみ

7、求不得苦(求めても手に入らない苦しみ)

8、五陰盛苦(心身がどうにもならない苦しみ)

 集諦【苦の原因についての真理】 苦の原因はすべて煩悩から生じている

 

 滅諦【苦の原因を滅する真理】 苦の原因を滅するには煩悩を断てばよい

 

     道諦【苦の原因を滅する方法についての真理(正八道)】

1、正見(正しい見解)

2、正思惟(正しい考え)

3、正語(正しい言葉)

4、正業(正しい行い)

5、正命(正しい生活)

6、正精進(正しい努力)

7、正念(正しい記憶)

8、正定(正しい注意)

ただし道諦(八正道)等は方便経の教えですから、正しい修業法ではありません。