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テリア
「Terrier(テリア)」という英語はフランス語からきており、ラテン語の「Terra(テラ:大地)」が語源であり、「Earth(アース)」と同義語で、害獣を捕まえるために「Digger(土を掘る犬)」という意味になります。
イギリスで古い時代、「テリア」という呼び名が使われる前は「アースドッグ(Earth dog)」と呼ばれていました。
「Earth(アース)」には、「(きつねなどの動物が生息する)地下の穴」という意味もあります。
「テリア(アースドッグ)」とは古い時代に、きつねと他の害獣(あなぐま、てん、かわうそ、むじな、うさぎ、ねずみ、もぐらなど)を地下の穴へ追い込んだり、地下の穴から引っ張り出すために家畜として働いていた犬達が祖先です。
「テリア」という犬種は、古代からイギリスで知られていました。
「テリア」は大型の「エアデールテリア(Airedale Terrier)」を除いて、基本的に小さい活発(エネルギッシュ)な犬達であり、グレートブリテン島を主島とするイギリス諸島とアイルランド島が「テリア種」の起源(原産地)です。
オリジナルワーキングテリア
原種としてのアースドッグの流れを汲むテリア種を、オリジナルワーキングテリア(Original working terrier)、あるいはオールドワーキングテリア(Old working terrier)と呼びます。
現存する16種のオリジナルワーキングテリアは以下の通りです:
・イングランドのテリア= ブルテリア(Bull-terrier), フォックステリア(スムース:Smooth Fox-terrier), フォックステリア(ワイヤ:Wire-haired Fox-terrier), エアデールテリア(Airedale Terrier), ベドリントンテリア(Bedlington Terrier), マンチェスターテリア(Manchester Terrier)
・アイルランドのテリア= アイリッシュテリア(Irish Terrier), ケリーブルーテリア(Kerry Blue Terrier)
・ウエールズのテリア= ウェルシュテリア(Welsh Terrier), シーリハムテリア(Sealyham Terrier)
・スコットランドのテリア= ボーダーテリア(Border Terrier), ダンディディンモントテリア(Dandie Dinmont Terrier), ウエストハイランドホワイトテリア(West Highland White Terrier), スコティッシュテリア(Scottish Terrier), ケアーンテリア(Cairn Terrier), スカイテリア(Skye Terrier)
* 「ワーキングテリア(Working terrier)」とは、テリア種の中で「古くから実際に害獣を狩る仕事に使われた犬種」を表す用語です。
トイテリア(ヨークシャテリア他)は、ワーキングテリアに含めません。
テリアグループ登録状況
現在、世界には「テリア種」、そして「テリア」という名前が付いた44種以上の犬種がいます。
それらの犬達を2008年6月現在、「KC (イギリスケネルクラブ)」, 「AKC (アメリカケネルクラブ)」, 「CKC (カナダケネルクラブ)」, 「JKC (ジャパンケネルクラブ)」, 「FCI (国際畜犬連盟:ベルギー)」が、それぞれの「テリアグループ」に登録しているかどうかをまとめたのが下の表です。
○印が各組織で「テリアグループ」に登録されていることを示します。
| 体躯 (「テリアグループ」内での体の大きさ), 四肢 (脚の長さ...おおよその目安です) |
| No. | 名前 | 英語名 | 原産地 | KC | AKC | CKC | JKC | FCI | 体躯 | 四肢 |
| 1 | エアデールテリア | Airedale Terrier | イギリス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 大 | 長 |
| 2 | オーストラリアンテリア | Australian Terrier | オーストラリア | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 小 | 短 |
| 3 | ベドリントンテリア | Bedlington Terrier | イギリス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中 | 長 |
| 4 | ボーダーテリア | Border Terrier | イギリス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 小 | 長 |
| 5 | ブルテリア | Bull Terrier | イギリス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中 | 短 |
| 6 | ブルテリア (ミニチュア) | Bull Terrier (Miniature) | イギリス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中 | 短 |
| 7 | ケアーンテリア | Cairn Terrier | イギリス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 小 | 短 |
| 8 | ダンディディンモントテリア | Dandie Dinmont Terrier | イギリス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中 | 短 |
| 9 | フォックステリア (スムース) | Fox Terrier (Smooth) | イギリス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中 | 長 |
| 10 | フォックステリア (ワイヤ) | Fox Terrier (Wire) | イギリス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中 | 長 |
| 11 | アイリッシュテリア | Irish Terrier | アイルランド | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中 | 長 |
| 12 | ケリーブルーテリア | Kerry Blue Terrier | アイルランド | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中 | 長 |
| 13 | レークランドテリア | Lakeland Terrier | イギリス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中 | 長 |
| 14 | マンチェスターテリア | Manchester Terrier | イギリス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中 | 長 |
| 15 | ノーフォ−クテリア | Norfolk Terrier | イギリス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 小 | 短 |
| 16 | ノーリッチテリア | Norwich Terrier | イギリス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 小 | 短 |
| 17 | スコティッシュテリア | Scottish Terrier | イギリス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中 | 短 |
| 18 | シーリハムテリア | Sealyham Terrier | イギリス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中 | 短 |
| 19 | スカイテリア | Skye Terrier | イギリス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中 | 短 |
| 20 | ソフトコーテッド ウィートンテリア | Soft Coated Wheaten Terrier | アイルランド | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中 | 長 |
| 21 | スタッフォードシャー ブルテリア | Staffordshire Bull Terrier | イギリス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中 | 短 |
| 22 | ウェルシュテリア | Welsh Terrier | イギリス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中 | 長 |
| 23 | ウエストハイランド ホワイトテリア | West Highland White Terrier | イギリス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 小 | 短 |
| 24 | パーソンラッセルテリア | Parson Russell Terrier | イギリス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 中 | 長 |
| 25 | アメリカン スタッフォードシャーテリア | American Staffordshire Terrier | アメリカ | -- | ○ | ○ | ○ | ○ | 中 | 短 |
| 26 | チェスキーテリア | Cesky Terrier | チェコ | ○ | -- | ○ | -- | ○ | 中 | 短 |
| 27 | グレンオブイマールテリア | Glen of Imaal Terrier | アイルランド | ○ | ○ | -- | -- | ○ | 中 | 長 |
| 28 | オーストラリアン シルキーテリア | Australian Silky Terrier | オーストラリア | -- | -- | -- | ○ | ○ | 中 | 短 |
| 29 | ジャーマン ハンティングテリア | German Hunting Terrier | ドイツ | -- | -- | -- | ○ | ○ | 中 | 長 |
| 30 | ジャックラッセルテリア | Jack Russell Terrier | イギリス | -- | -- | -- | ○ | ○ | 中 | 長 |
| 31 | 日本テリア | Japanese Terrier | 日本 | -- | -- | -- | ○ | ○ | 中 | 長 |
| 32 | ヨークシャテリア | Yorkshire Terrier | イギリス | -- | -- | -- | ○ | ○ | 小 | 短 |
| 33 | イングリッシュ トイテリア(ブラック&タン) | English Toy Terrier (Black and Tan) | イギリス | -- | -- | -- | -- | ○ | 中 | 長 |
| 34 | ブラジリアンテリア | Brazilian Terrier | ブラジル | -- | -- | -- | -- | ○ | 中 | 長 |
| 35 | ミニチュアシュナウザー | Miniature Schnauzer | ドイツ | -- | ○ | ○ | -- | -- | 中 | 長 |
| 36 | トイマンチェスターテリア | Toy Manchester Terrier | イギリス | -- | -- | -- | ○ | -- | 中 | 長 |
| 37 | アメリカン ヘアレステリア | American Hairless Terrier | アメリカ | -- | -- | -- | -- | -- | 中 | 長 |
| 38 | アメリカン ピットブルテリア | American PitBull Terrier | アメリカ | -- | -- | -- | -- | -- | 中 | 長 |
| 39 | ロシアンブラックテリア | Russian Black Terrier | ロシア | -- | -- | -- | -- | -- | 大 | 長 |
| 40 | ボストンテリア | Boston Terrier | アメリカ | -- | -- | -- | -- | -- | 中 | 短 |
| 41 | ラットテリア | Rat Terrier | アメリカ | -- | -- | -- | -- | -- | 中 | 長 |
| 42 | テンターフィールドテリア | Tenterfield Terrier | オーストラリア | -- | -- | -- | -- | -- | 中 | 長 |
| 43 | トイフォックステリア | Toy Fox Terrier | アメリカ | -- | -- | -- | -- | -- | 中 | 長 |
| 44 | チベタンテリア | Tibetan Terrier | チベット | -- | -- | -- | -- | -- | 中 | 短 |
| No. | 名前 | 英語名 | 原産地 | KC | AKC | CKC | JKC | FCI | 体躯 | 四肢 |
| 登録数 | 26 | 27 | 27 | 31 | 34 | |||||
| その他の国の登録状況: ドイツケネルクラブ(VDH)とフランスケネルクラブ(SCC)は、国際畜犬連盟(FCI:ベルギー)の分類を採用しているようです。 オーストラリアケネルクラブ(ANKC)は、独自の分類で30犬種を「テリアグループ」に認定し、自国産のテンターフィールドテリアを「テリア」に登録しています。 |
本来のテリア達
上の表で1番から24番までの犬種は、5つの組織(KC, AKC, CKC, JKC, FCI)で全て「テリア」と認められています。
「オーストラリアンテリア(オーストラリア原産)」を例外とすると、「本来のテリア」は「イギリス諸島とアイルランド島が起源(原産地)」であると定義できます。
その中で、「スコットランドのテリア」と呼ばれる「ウエスティ」の仲間達(ダンディディンモント, ボーダー, スコティッシュ, スカイ, ケアーン)を含め、上記した16種の「オリジナルワーキングテリア」は最も代表的な「テリア」であり「テリアの中のテリア」達です。
25番から27番の犬種は、KC, AKC, CKC のうち一つのケネルクラブだけが、「テリア」グループに登録していないもので、「本来のテリア」に近い犬達です。
1番から24番までの犬種のうちで、アイルランドを除くイギリス原産の犬は20犬種(83%)を占め、「イギリス諸島が多数のテリアの起源である」とされる証拠になります。
「本来のテリア」は「テリアキャラクター(テリア気質)」と呼ばれる特徴を持っています。
害獣と闘う猟犬の資質を持ち、慎重な反面、エネルギッシュで行動的です。
そして、独立独行ですが、飼主に友好的で、知的な心を有する小型の犬達です。
ケネルクラブで意見が分かれるテリア達
28番から36番の犬種は、5つの組織で「テリア」と認めるかどうかで意見が分かれている犬達です。
AKC と CKC は、44犬種の中で唯一「テリア」という名前を持たない「ミニチュアシュナウザー(ドイツ原産)」を「テリアグループ」に登録しています。
KC, AKC, CKC は、日本で愛好家が多い「ジャックラッセルテリア」と「ヨークシャテリア」を、「テリアグループ」に登録していません。
(AKC は2003年4月にそれまでの「ジャックラッセルテリア」を「パーソンラッセルテリア」に改名しました。
FCI(国際畜犬連盟)は、「ジャックラッセルテリア」と「パーソンラッセルテリア」を別の犬種として両方登録しています。)
テリアとして登録されないテリア達
37番から44番の犬種は、5つの組織で「テリア」グループに登録されていない「テリア」達です。
これらの犬種には、日本で人気のある「ボストンテリア」などが含まれています。
「テリア」以外のグループに登録されている「テリア」として、「KC (イギリスケネルクラブ)」では、「ボストンテリア」と「チベタンテリア」が「ユーテリティ(Utility:実用犬)グループ」に、「ロシアンブラックテリア」が「ワーキング(Working:捜索・救出犬)グループ」に、
「イングリッシュトイテリア(ブラック&タン)」と「オーストラリアンシルキーテリア」それに「ヨークシャテリア」が「トイ(Toy:愛玩犬)グループ」に登録されています。
この中で「イングリッシュトイテリア(ブラック&タン)」は、古い「オリジナルワーキングテリア」の一種である「ブラック&タンテリア(Black-and tan Terrier):今のマンチェスターテリア」のミニチュアタイプとして古い歴史を有する犬種です。
「ロシアンブラックテリア」はエアデールテリアの血筋が入っていますが、ジャイアントシュナウザー及び他の大型犬種が主たる祖先であり、
45Kgから60Kgの大きな体躯とワーキングドッグであることから「テリア」種とはされません。
「チベタンテリア」はチベット原産で神聖な犬であるとされています。
「テリア」種ではなく、羊などの牧畜犬、および中国と往き来した商人達の護衛犬として使われていました。
FCI(国際畜犬連盟)の分類
FCIはテリア(グループ3)として34犬種を登録しています。
それら34犬種をセクション1「大型と中型テリア(15犬種)」、セクション2「小型テリア(12犬種)」、セクション3「ブルタイプテリア(4犬種)」、セクション4「トイテリア(3犬種)」に分類しています。
「ブルタイプテリア」には、「ブルテリア(標準とミニチュア)」、「スタッフォードシャーブルテリア」、「アメリカンスタッフォードシャーテリア」が登録されています。
「トイテリア」には、「オーストラリアンシルキーテリア」、「イングリッシュトイテリア(ブラック&タン)」、「ヨークシャテリア」が登録されています。
その他の犬
上の表には無い犬種ですが、ドイツ原産の「ダックスフント(Dachshund)」を「テリアグループ」とする考え方もあります。
それは「テリア」としての血統ではなく、「テリア」と同じ「あなぐま(ドイツ語でダックス)狩」に用いられた用途と体躯からきていると考えられます。
テリア, そしてテリアグループの犬達
「本来のテリア」は、イギリス諸島とアイルランド島を起源とし、古い「アースドッグ」の血筋を引き継ぐ犬達であることは間違いありません。
言い方を替えると、狭義にはイギリスとアイルランド原産の犬種とその血筋を引き継ぐ犬種を「テリア」と定義します。
しかし現在、各国のケネルクラブで「テリア」としての分類が異なるように、その後に開発された「テリア」達や、後から「テリア」と名付けられた犬種も存在します。
従って、上の表で「テリア」と名が付けられた43犬種は、広い意味で全て「テリア」と総称してよいと考えます。
また、AKCとCKCは「ミニチュアシュナウザー」を「テリア」として登録しています。
現代の「テリア」という言葉の意味は、そのような幅の広い血統を含む犬種のグループに与えられた総称であると考えます。