First Strike Campaign
動物虐待と人間暴力の関連性      poster
                     2006年9月3日 さざんか会館大会議室

 First Strike Campaignは、動物虐待を青少年や家庭の抱える問題の「予
兆」ととらえ、周囲や社会で早期に対応していこうという運動です。
 人間暴力の現場では、高い確率で動物虐待が見られます。人の「暴力の連
鎖」は身近な小動物を巻き込む事が少なくありません。対象が動物、人と区
別されても、虐待の「根っこ」には多くの共通点,類似性があります。
 その事は昔から、教育現場、非行・犯罪の対応現場、児童虐待や家庭内暴
力の対応現場、地域住民の間で不特定多数の人々が感じてきた事ですが、近
年、心理学者、社会学者、犯罪学者等が「動物虐待と人間暴力の関連性」に
着目し、研究が進められてきました。

 米国のHSUS(全米人道協会=The Humane Society of the United States)
が1997年に提唱し、展開するこの運動は、2002年に東京の「動物との共生を
考える連絡会」(環境省認定の五大動物愛護法人団体等が中心となって結成
された連絡会)が、ランダル・ロックウッド博士(HSUS教育担当副会長)
を招聘し日本に紹介しました。
 以来、国内各地でFirst Strike Campaignの講演会が開かれています。今
回、大和證券の助成金を受け、ようやく鳥取での開催が可能になりました。

 鳥取市においても、子どもの虐待、ドメスティツク・バイオレンスの現場
は「動物虐待」を伴う事が多く、被害者支援民間シェルターや婦人相談所に
ペット同伴で緊急避難する被害者は珍しくありません。被害者の極限状況の
中で、虐待する加害者の元に置き去りにされるペットも少なくなく、また、
ペットを心の支えとしてきた被害者が手放すことに同意せず、動物が苦しい
状況に放置されているケースもあります。

 「動物虐待」の切り口で人間暴力の「現場」にどうアプローチし、関連窓
口や関連市民団体とどう連携していくのか?当日会場では地元資料もまじえ、
今後の課題として考えていきたいと思います。



           参加者49名

  
講師プロフィール 山崎 恵子氏  国際基督教大学人文学科卒  ペット研究会「互」主宰  米国デルタ協会認定インストラクター  優良家庭犬普及協会、日本介助犬普及協会常任理事  (社)日本動物福祉協会顧問他。  ペット動物の講演会・国際学会の通訳  環境省主宰のシンポジウムの講師等  「人と動物の関係学」(1997/07)メディカルサイエンス社  他著書,翻訳書多数 山口 千津子獣医師  大阪府立大学農学部獣医学科卒業。  1979年〜1981年、英国、カナダで動物福祉の研修  英国王立動物虐待防止協会査察官(インスペクター)資格取得  1981年から(社)日本動物福祉協会獣医師調査員 田村 勲氏  元鳥取県福祉相談センター所長  社会福祉法人鳥取こども学園子ども家庭支援センター   「希望館」現所長  NPO法人子どもの虐待防止ネットワーク鳥取 理事長。   
協賛
 少年問題を考える鳥取の会  社団法人ハーモニーカレッジ
 NPO法人ピーグル  鳥取更生保護女性の会  鳥取市家庭教育相談員協議会
 NPO法人子どもの虐待防止ネットワークとっとり
 
後援
 鳥取県 鳥取県教育委員会 鳥取市 鳥取市教育委員会


参考資料
@「動物の愛護及び管理に関する法律」第六章四十四条罰則

1 愛護動物をみだりに殺し、叉は傷つけた者は、一年以下の懲役叉は百万円以下の
罰金に処する。
2 愛護動物に対し、みだりに給餌又は給水をやめることにより衰弱させる等の虐待を
行った者は、五十万円以下の罰金に処する。
3 愛護動物を遺棄したものは、五十万円以下の罰金に処する。
4 前三項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物を言う。
一 牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
二 前号に揚げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫
類に属するもの
A鳥取県警察本部へ動物虐待件数に関する照会の回答

 Date: Tue, 7 Mar 2006                                                                                                           
 動物虐待の件数照会に関する回答について

  3月2日、仲市様からお尋ねの動物虐待の件数をお知りになりたいとのこ
 とについて次のとおり回答させていただきます。

 1 警察の犯罪統計上は、動物を虐待し死傷をさせた場合は刑法犯の「器物
  損壊」及び「動物愛護法関係事案」として対応しています。
   平成16年以降調査致しましたところ、動物を対象とする器物損壊事案
  は、平成16年に2件の届出がありました。
   いずれも、鳥取警察署管内で、ポニーのしっぽが切られた事案と鴨が殺
  された事案で、未検挙です。
   また、動物愛護法違反については、過去5年間に検挙が1件ありますが、
  動物の虐待に関係する違反ではありません。

  2 負傷動物等については、仮に警察が出動した場合であっても、保健所等
  へ通報、同所員の現場への臨場を得て治療等の措置を取って貰っています。
   但し、犯罪の成立については故意が必要ですので全ての動物負傷について、
  上記犯罪対象事案になるとは限りません。
   動物関係の詳細は、保健所等へ照会される方がいいのではないかと思い
  ます。

                                                                               
               警察本部生活安全部生活保安課長 ○○            
               電話  0857−23−0110  担当;○○        


B鳥取県内某DV被害者支援シェルター現場から・スタッフの証言

事例

1 東北の小さな田舎町から小型室内犬2匹を連れて軽自動車で避難、妻への
暴力と妻が可愛がっているペットへの暴力(蹴っ飛ばす、吠えると棒で叩く。
殆ど毎日、小型シーズー犬は怯えていつも2匹が寄り添っている。)
 妻はこのままだとペットは多分いつか殺されるだろう、そしてペットがい
なくなったら自分は自殺するだろう。子どものない妻たちは或いは夫婦はペ
ットを子ども代わりに可愛がっていることが多い。しかし、この妻にとって
は、夫婦の楽しみであるはずのペットがいつしか、夫から暴力を振われる妻
の癒しの存在になっていたのではないかとスタッフは感じた。

 全国の民間シェルターへ電話をした、唯一ペット同伴でもいいですよと言っ
てくれたシェルターが鳥取県に存在した。遠い鳥取県へ軽自動車にペットとパ
ソコン一式を積んで東北から山陰へ50時間をかけた逃避行であった。結果は保
護命令発令(審尋なし)代理弁護士で離婚成立、ペットとともに安心と安全の
守られた生活を勝ち取った。人間よりも忠実なペットが寄り添い生活の苦楽を
ともにしている。

2 片目をくりぬかれた猫を連れての親子3人の逃避、子どもたちは完全に情緒
不安定と人格背離と思われる行動が見受けられた。駅に迎えに出てそのまま動
物病院に直行したことを覚えている。勿論治療費は全額スタッフの個人的負担
となった。身震いするほどの傷口を見た時にお金のことなど眼中になかった。
 子どもたちの目の前で父親らしき男性が虐待行為をした猫であった。
 動物というだけで地球上に住む人間が優位であるはずがないが、現実に小動
物への虐待は子どもたちへの虐待と同じ数以上にあるのではないかと思う、猫
のことは辛くなるのでこれ以上この件については記述したくない。

3 足を引きずった小型犬、歩きもままならない、妻を殴る時に必ず犬も殴ら
れる。妻が可愛がっているものは全て暴力の対象になる。それがDVである。
 この犬はテーブルをひっくり返された時にテーブルの足の下敷きになり左足
を骨折。治療費もなく、そのまま足を引きずって歩いている。保護命令発令、
離婚成立、現在わんちゃんと2人暮らし。やっと人間らしい生活に戻れた。

4 ハムスターを2匹、ポケットに入れて電車に乗ってきた兄妹連れ、シエル
ターでも駄目と言われると思い隠していたらしい。おかあさんが恐る恐る「実
はペットも連れてきたんです」「いいわよ、どこにいるの?」そのひとことで
子どもたちの笑顔、ペットはこどもにとっても被害者にとってもセラピストで
ある。

5 猫を5匹連れての逃避行、やむを得ず3匹を第3者に預かってもらった。しか
し、預けられた猫は飼い主探しのため、脱走し行方不明となった預かった人、
シェルタースタッフは被害者からの攻撃に頭を痛めたが、シエルターとしても
限界があることを知って欲しいし、ある程度自立のメドがつくまでペットの低
料金預かり施設は必要とおもう。


まとめ

 まださまざまな動物虐待に遭遇しているが、現実にはシェルタースタッフが
飼っている小型犬がDV被害者にとって大きなおおきな心の癒しになっている。
 ペットとのお散歩、ペットへの話しかけ、そして子どもたちに愛嬌を振りま
く犬たち、「可愛い」と言われれば、犬たちも誉められていることを理解し、
子どもたちに対してやさしく従順してくる。

 犬も猫も愛情をかけてやると応えてくれる
 暴力で傷ついた女性、子どもたちにとって小動物は大きなセラピストの働き
をしてくれる
 動物は裏切らない、飼い主に忠実である
 DV男は子ども、妻とおなじように動物に対しても殆ど暴力を振う
 動物は凶暴なDV男を本能的に察知できる

 動物同伴のシエルターは全国でも少ない、スタッフが動物嫌いであれば仕方
ないことでもあるが。児童虐待、DV被害の中に動物虐待もあることを理解しな
ければならない。
 飼っている動物を置いて逃げ出すことは子どもたちにとっては大きな不安材
料として残り、何時までも心の傷跡となる場合がある。

 うちで預かったペットは大型犬2頭、小型室内犬9頭、猫7匹、ハムスター8匹、
金魚6匹、鈴虫、カブトムシなど子どもたちが大切にしている小動物です。
 その中で、怪我で体が欠損していたり、病院治療が必要な動物は6頭もいまし
たし、人間恐怖、飼い主にしか頼れなくなっている精神的な苦痛を持っている
動物も多分いると思います。

                     以上


C真教寺ふれあい動物公園の虐待事例

     資料提供:鳥取市動物公園飼育係・村田次夫氏
     村田氏手作りの「こんにちは、動物君」から抜粋


□昭和62年7月 猿舎の二重金網が切断される(縦30cm、横50cm)。
金網は外側がペンチでも切れる亀甲網、内側は菱網(十番線)で家庭用工具で
は切断出来ない太さ。
開けられた穴の前には傷を負ったボスザルが陣取り、16頭の内、4頭が負傷。
サル同士の争いで負った傷と思われる。脱走したサルはいなかった。
同様にウサギ舎にも直径10cm程、網が切り取られていた。

□S63年4月 キジ舎、ウサギ(23頭)が全頭死亡。死体は現場に残されていた。
犬の足跡と噛み跡の痕跡。飼育係は、犬を連れた人間の犯行と推測したが、警
察は野犬の一点張り。依頼された新聞社の調査でS63年3月から6月にかけて、
美保南、日進、美保、稲葉山、岩倉の5小学校で動物小屋が襲われ、動物達が姿
を消していた事実が判明した。

□同年7月、同じ小鳥舎で修復したばかりの箇所が破られる。前回同様、死体は
きれいに並べられていた。

□平成元年10月、シマリス舎が破られる。二頭の死体が残り、8頭は行方不明。
同舎で飼育されていたコゲラとウズラも行方不明。
相次ぐ事件に、鳥取市は網を二重三重にして被害を防ぐことを決定。

□平成2年6月22日付、日本海新聞が「動物公園」の虐待を報道。
「サルを餌で釣り、隠し持った木の棒や鉄製の棒で突く」、「餌を求めてサル
が出してきた手をひっぱり、タバコの火を押し付ける」、「釣り用のテグスを
檻の外の植え込みにくくり付け、反対の端をオリの中に投げ入れ、子ザルが手
足をからませ身動き出来ない状態で騒いでいた事もあった。」
「原因不明でウズラが死亡。解剖したところエアガンの玉が胃の中に沢山たま
っていた。」「オリの中のオシドリが一突きで刺し殺される。」「保護されリ
ハビリ中のクマタカ(絶滅危惧種)が、南京錠を壊され盗まれる。」

  
                          第6回事業  First Strike Campaign「動物虐待と人間暴力の関連性」は終了しました。  参会者49名。アンケートの中で、数名の方から「参会者が少ない。主宰者 の努力不足ではないか。」とご指摘を受けましたが、地方都市における動物 関連のシンポジウムや講演会は、比較的集客力が低く、全国平均で多くて50 人の数字が出ています。会場の大きさで、多い少ないの印象が生じるので、 次回からは60名収容の会場設定を行います。  動物虐待で一番多い虐待は、児童虐待同様にネグレクト(neglect)です。 同じ地域で虐待されている飼い犬や飼い猫がいたら、正確な状況と飼主 の住所を保健所に通報して下さい。適正飼育指導をしてくれます。 関連サイト参照  動物との共生を考える連絡会  ファーストストライクキャンペーン  動物虐待と社会犯罪との関連 - 翻訳