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著者 アガサ・クリスティー 訳者 中村 能三 |
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●ストーリー 中東での事件を解決した名探偵エルキュール・ポワロは、帰途オリエント急行に乗車することになった。乗客のひとり、富豪のサミュエル・ラチェットという人物から声をかけられるポワロ。ラチェットは自分の命が狙われていると言い、大金を払うから自分を護衛しろとポワロに持ちかける。彼の人柄に胡散臭いものを感じたポワロはこれを固辞。しかしその夜、殺人事件が発生する…。 |
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●感 想 アガサ・クリスティーの代表作のひとつ。有名すぎて『アクロイド殺人事件』と並んで「読んだことなくても犯人を知っている」人が多い作品(笑)。ヘイスティングズ大尉のいない一人旅のポワロ。山崩れで停止した列車が動き出すまでに犯人を突き止めることができるのか?列車内というクローズドサークルでの殺人、乗客のひとりひとりに聞き込みをしていく中で浮かび上がってくる意外な真実…。実際に起こった「リンドバーグの息子誘拐事件」が元ネタとなっているが、やはりこの作品のキモは「真犯人」の設定だろう。『アクロイド殺人事件』では「フェアかアンフェアか」論争があったようだが、この作品は読者に素直に受け入れられたらしい。ポワロの人柄が窺える最後の決着は、ほっとさせられる。 |
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製作年度 1974年 製作国 イギリス 上映時間 128分 |
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●感 想 シドニー・ルメット監督が豪華キャストで映画化した作品。結構原作に忠実で、クリスティー原作映画の中でも評価は高い。映画では冒頭で「アームストロング事件」の背景が手際よく描かれる。原作通り、乗客たちに順番に尋問していくというスタイル。手堅くまとまっていて、豪華キャストの演技もあって飽きさせず、テンポよく最後まで見せる。ポワロ役はアルバート・フィニー。原作ポワロのイメージとは違う部分もあるが、特徴あるキャラクターで(少々オーバーアクト気味ではあるが)独特のポワロを熱演。今は廃止されてしまったオリエント急行の優雅な車体、沿線の風景も美しく、旅情感も楽しめる。アンソニー・パーキンスはこの作品中でも『サイコ』をネタにされていて、ちょっと気の毒。真犯人の意外性などはやはり原作の力が大きいが、オールスターキャストの多彩な演技も楽しめるミステリー映画の名作。 |
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製作年度 2001年 製作国 アメリカ 上映時間 89分 |
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●感 想 TVムービー版リメイク。ポワロ役はアルフレッド・モリナ。冒頭、ある事件を鮮やかに解決するポワロ。女泥棒ベルとの恋人関係が描かれ、従来のポワロ像とはかなり違う印象。この辺、原作でポワロがある女性を想っていたというエピソードから膨らませたのだろうか?ベルのプロポーズを断り、オリエント急行でロンドンへ向かうポワロ。昔のオリエント急行は廃止されているので、別の「オリエント急行」路線らしい(私は鉄道にはあまり詳しくないので…)。走る列車の外観や車窓からの風景などがあまり写らないので、旅気分は少々薄い。 時代設定が現代ということで、なんとポワロがノートPCを使う場面あり。「アームストロング事件」の詳細をネットで検索、PC画面上の動画からある人物を特定したりする。被害者のアームストロングはIT長者の設定だし。しかし時代が変わっても、オリエント急行という限定された舞台設定は同じの為、本筋の印象はあまり変わらない。全体的には原作にかなり忠実。「二つの真相」を提示するラストもそのまま。事件に関わった人たちの「その後」も軽く触れられる。ラストでは追いかけてきたベルがポワロに合流、ロマンスの予感? |