|
著者 ジョン・ル・カレ 訳者 加賀山 卓朗 |
|
●ストーリー ナイロビ英国高等弁務官事務所に思わぬ知らせが入った。一等書記官ジャスティン・クエイルの妻、テッサが殺害されたというのだ。人権運動にのめり込んでいた彼女は、ある人類学者の発掘現場に向かう途中だった。運転手は頭部を切断され、同乗していたアフリカ人医師アーノルド・ブルームは行方不明。テッサは全裸で咽喉を掻き切られていたという。誠実な男として知られる夫ジャスティンは、陰口や警察の取調べにも耐え抜き、冷静に振舞っているように見えたが…。 |
|
●感 想 原作は“スマイリー三部作”や『寒い国から帰ってきたスパイ』で有名なスパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレの作品。本作は陰謀物ストーリーだが、夫が妻への理解を取り戻す愛の物語でもある。最初の方はジャスティンの上司である高等弁務官事務所長・サンディ・ウッドロウの視点での記述が多く、ル・カレらしいスローペースな序盤。ジャスティンが「何を考えているか分からない」状態でしばらく進行。でも警察の追求が一段落した後、ジャスティン自らテッサの死の謎を追い始めると緊迫感が高まってくる。結婚を失敗だったと感じて妻と距離を置き、全く別の世界を生きるようになっていたジャスティン。しかし妻の死と共に再び彼女の生きていた現実と向き合う。妻の意思を継いで巨悪に立ち向かおうと決意するところは感動的。テッサと同じ危険を共有することで彼女たちの「仲間」に入れたと感じるジャスティンの悲壮感が哀しい。企業利益を優先する巨大製薬会社への告発でもあるが、苦く重い結末はちょっと凹む。70歳を超えてこのような作品を書いてしまうル・カレのパワーには驚かされる。 |
|
製作年度 2005年 製作国 アメリカ 上映時間 128分 |
|
●感 想 巨大な陰謀を探るサスペンス、社会派の重いテーマでありながら、夫婦の愛を再確認するストーリーは感動的。ガーデニング好きで硬派の外交官ジャスティン・クエイル役にレイフ・ファインズ。亡き妻テッサの意志を継ぎ、悲壮な覚悟で巨悪に迫る男を好演。そして本作でアカデミー助演女優賞を受賞したレイチェル・ワイズもイイ。生意気な勘違い女みたいな登場で、夫から見ると腹の立つ行動も色々するのだが、アフリカの現実に立ち向かおうとする姿が印象深い。原作は結構ボリュームがあるので、省略・カットされた部分は多い。警察での長い執拗な取調べ場面、ジャスティンに協力しようとする捜査官、製薬会社の関係者らしい謎の三人組の背景…みたいなところが省略。しかし内容的にはかなり忠実で、原作の雰囲気を上手く再現。ケニアの大地など風景描写も美しく、出来の良い映像化と言えるだろう。 2007/03/09 |